独立・起業時のフランチャイズ加盟 検討のチェックポイント - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

葛西 幸浩
ワイデックス・コンサルティング株式会社 代表取締役
経営コンサルタント

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閲覧数順 2016年12月09日更新

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独立・起業時のフランチャイズ加盟 検討のチェックポイント

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独立・起業をしたいと考えた場合、まず最初に検討されるのがフランチャイズへの加盟でしょう。

自分自身も独立・起業を考えた時に、当時募集されていたあらゆるフランチャイズ・システムを検討しました。

また、独立後もクライアントの加盟の検討などにより、様々なフランチャイザー(以下、「本部」)を見てきました。

これらのことから、フランチャイズ加盟を検討する起業家のために、フランチャイズ事業検討のチェックポイントをまとめます。

 

■そもそもフランチャイズとは何か(筆者定義、解説)


本部が持つ、ノウハウ、ブランドの提供を受け、本部の商品・サービスを特定地域で提供する権利をフランチャイジー(以下、「加盟店」)が実施する。同時に、フランチャイジーは営業や運営に関する制限を受け、また、売上金額等により、契約で定めたロイヤルティー(対価)を本部に支払う。本部と加盟店は、双方の営業努力により、商品サービスの認知度、ブランド価値、顧客満足度、収益力を高めることを目的とした相互協力が求められる。そのため、本部は加盟店の開業、運営、課題解決等の支援を継続的に行うことが求められ、また、加盟店は本部の理念、ノウハウ、管理・運営規定等マニュアルを順守するとともに、独自の工夫、営業努力、人材の教育、育成を主体的に行う。以上のすべてが機能し、市場性、商品・サービスの魅力、価格、地域性が適合した場合に、事業継続が可能となる事業形態。本部としてのフランチャイズ事業の特徴は、事業展開が早い、自社店舗の管理と比較し店舗管理がしやすいなどの特徴がある。


■加盟のメリット

 

・事業開始のためのノウハウ、技能、システムが提供される

・その結果、事業開始までの時間が短縮される

・(独自開業することに比較し)総合的にクオリティーが高いレベルで開業できる

・既存店舗の収益モデルを参考とし、開業店舗の収益予測ができる

・独自開業で直面するであろう一般的課題は解決策を本部が持っており、相対的に開業・運営がスムーズにできる

・本部スーパーバイザーから、開業後の収益、その他の傾向が全国の傾向と比較・検討、提供される


これらは、すでに完成されたフランチャイズ・システムにより、機能が提供された場合のものです。

飲食系などのすでにどこの都市にもあるようなフランチャイズ・システムは相当に洗練され、機能的に運用されています。

また、商品力、ブランド力、収益性等の事業基盤もしっかりしているものが多いでしょう。

それらをAクラスとすると、あなたが検討する本部がどの程度のものか、自分の事業の方向性と適合しているかを独自にA,B,C,D~と格付けなどで客観的に評価をすることをおすすめします。


格付け評価を勧める理由としては、

自分にとって魅力的だと思われた本部が現れた場合、厳しく見ることができにくくなる場合があります。

それは、「一生懸命探してようやく見つけた」、「問い合わせした時の対応がすごく良かった」、「早く契約しなければエリアの独占権を失うかもしれない」といった心理的バイアスがかかり、正当な判断ができなくなる可能性があるためです。

そのため、次の項目により、フランチャイズ・システムや本部の検討を行いましょう。

 

■格付けのためのチェック・ポイント


・知名度

・財務状況

・本部のフランチャイズ事業開始からの加盟状況

・加盟店の伸び

・加盟店全体での売上の伸び

・加盟店の離脱率(廃業率)とその原因

・加盟店の収益モデル

・加盟費用の適性性

・商品・サービスの市場性(競争力、魅力、価値)

・商品・サービスの地域適合性

・開業支援体制

・開業後支援体制

・加盟店の営業努力の範囲(売上が目標に達しないなどの場合に、独自に営業を行い売上、収益向上策が打てるか)

・ビジネス・モデルの寿命(あと何年継続が可能か、あるいはビジネス・モデルの進化はあるか)

 

これらをエクセルなどに入力し、5段階評価などで客観的に評価してみます。

できれば、評価したものを他の専門家などにセカンド・オピニオンを聞きましょう。

ただ、最終的には自分で判断してください。


次に、特に注意が必要な本部、フランチャイズ形態について考えます。

 

■特に注意が必要な本部、フランチャイズ形態


・他国からのノウハウの提供(国内向けにローカライズしきれていない、そもそも市場がない可能性もあり、市場認知度がないため、独自の広告宣伝、営業活動が必要)

・開業予定地から遠隔市場で開発された事業(前記同様にその地域に適合するかが不明)

・業歴が浅い(経営基盤がぜい弱で事業の継続性に疑問がある)

・スーパーバイザー、営業スタッフが少ない(開業前のリサーチ、開業後の指導に疑問がある)

・フランチャイザー自体にマーケティングノウハウが希薄(最も問題がある、今後の事業革新に限界が見える)

・最初に高額な機器の導入が必要(売上が損益分岐点を超えるまでのキャッシュフロー確保が課題)

・加盟店が全て営業活動を行う(収益がすべて営業活動にかかってくるため、強力な営業力が必要)

・相当の年数にわたり、同様の募集が行われている(求人と同じで魅力的、継続的なものであれば供給市場は埋まっているはず。本部の加盟金、指導料、初期投資による売上獲得を目的としたビジネスモデルである可能性を疑う)


次に、事業化のためのフランチャイズ事業の融資について考えます。


■フランチャイズ事業の融資


飲食の場合、土地を借りる、建物を建てるなど初期投資が高額になりがちです。融資金額とともに、自己資金も多く必要な投資計画となります。そのため、本部からの市場調査結果をもとにした事業計画を綿密に組んでいくことが求められます。大きなチェーンの場合は、オーナー制度等のファイナンス面での支援をしている場合もありますので、独立・起業で飲食やコンビニなどを考える場合は、取り組みやすい制度です。


サービスの場合、初期投資は機器を購入する場合を除き、比較的低い金額で契約できます。しかし、この場合でも、事前リサーチを十分に行い、見込み客リストなどを添付した事業計画を策定するなどの準備は必須です。あまり有名でない、加盟店が少ない本部を、金融機関はほとんど評価しない可能性が高いと考えておきましょう。


■本人の志向との適合性


フランチャイズ契約は、加盟のメリットに比例し、加盟金、ロイヤルティー、規制、規則も多くなる傾向にあります。

例えば、有名どころへの加盟の場合、システム、収益、支援体制が整ってはいるが、その分、事細かな規制(契約)、規則、マニュアル等の遵守が求められます。

もし、あなたが規則やルール、継続性よりも、独自性、新しいことへのチャレンジ、柔軟性に重点を置く志向性を持っているのであれば、そもそもしばりの強いフランチャイズは避けたほうがいいのかもしれません。(サービスなどの場合は、加盟店の裁量が大きいものもあります)

自分とその本部、ビジネスの形態との適合性を十分検討しましょう。


■私の経験から

 

・アメリカで80年の実績のあるサービス系フランチャイズ・システムの日本展開での最初の加盟の検討

日本展開の最初の段階で、加盟の可能性についてクライアントから事業評価依頼がありました。

アメリカでの実績、業容ともに安定したものとして評価開始。

しかし、加盟店がロイヤルティー、固定費、活動にかかる変動経費を支払うには相当な売上が必要。

その必要売上高を得るために、どれほどの頻度で注文が入る必要があるのかを評価。

結果、エリアとして必要売上高の1/10~1/20しか、売上が期待できないと結論づけました。

その旨を、日本展開を行うフランチャイザーに報告すると、担当はそこまでのシミュレーションはしておらず、その結果、本部の全国展開というビジネスモデルが崩れたのです。

アメリカの会社には相当な金額と労力をかけて日本での営業の権利を得たはずです。

さらに、私は、そのサービスの根本的欠陥を発見しました。

実は、その会社の主力サービスは、そもそも日本では市場がないことを指摘したのです。

そのことを、フランチャイザーに丁寧に説明すると、担当役員は肩を落とし、帰っていきました。

私はクライアントの加盟を阻止し、大きな損失を防止しました。

また、フランチャイザーにとっても、募集中止により後の加盟店とのトラブルを防止できたと考えています。


その他、フランチャイズで様々なケースを経験しています。

もちろん、長期にわたって安定した運営を行っているクライアントもいます。

加盟するという意思決定は一瞬であっても、その決断の影響は人生に影響を与えます。

情緒的意思決定にならないよう、このレポートがお役に立てれば幸いです。

 

■執筆者 葛西 幸浩

プロフィール : http://profile.ne.jp/pf/kasai/

ワイデックス・コンサルティング株式会社 代表取締役

 

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