日経記事;"(社説)抜本的出直しを迫られる日本の電機産業"考察 - 各種の事業再生と承継・M&A - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:事業再生と承継・M&A

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;"(社説)抜本的出直しを迫られる日本の電機産業"考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 事業再生と承継・M&A
  3. 各種の事業再生と承継・M&A
経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、

おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月2日付の日経新聞に、『(社説)抜本的出直しを迫られる日本の電機産業』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の内容は、以下の通りです。

『日本の家電産業の危機が止まらない。パナソニックは2013年3月期に7650億円の最終損失を計上する見通しだ。同社は12年3月期に7721億円の最終赤字を出したばかり。2期連続の巨額赤字となり、配当も見送る。

シャープも今期の最終損益予想を従来の2500億円の赤字から4500億円の赤字に下方修正した。前期(3760億円の赤字)に比べても赤字幅が拡大する。

不振の根底にあるのは戦略事業の行き詰まりだ。パナソニックは「会社の顔」だった薄型テレビなどの消費者向けデジタル機器市場で競争力を失い、「この市場で負け組になった」(津賀一宏社長)という厳しい現実がある。

成長戦略の決め手として巨費を投じて買収した旧三洋電機の太陽電池事業でも、中国勢などとの価格競争の波にのみ込まれた。

液晶テレビに社運をかけて大型投資に踏み切ったシャープも、その液晶事業でつまずいた。両社とも自らの生命線と位置づけた事業で円高などの逆風にさらされ、韓国サムスン電子のようなライバルに力負けし、大きな危機を招いてしまった。

今後の一つの方向性は思い切った事業領域の転換ではないか。みずほコーポレート銀行によれば、世界のテレビ市場の規模は年間約10兆円だが、空調・照明市場は12兆円に達する。いわゆる冷蔵庫などの白物家電や、インフラ関連の事業も利益率は意外に高い。

空調やインフラ事業は一見地味だが、価格競争はそれほど激しくない。擦り合わせによるものづくりや顧客との長期の信頼構築といった日本企業の強みが威力を発揮する分野でもある。

従来路線の行き詰まりがはっきりした以上、しがらみや過去への郷愁を断ちきった大胆な意思決定が不可欠だ。

何事も自社でやろうとする自前主義を改め、内外の事業パートナーと互恵的な関係をつくる努力も欠かせない。

ふり返れば、日本勢の先輩格である欧米企業も深刻な危機を経験しつつも、痛みを伴うリストラで再生してきた。米IBMは事業の軸足をハード(機器)からサービスに移し、オランダのフィリップスは家電に見切りをつけ、医療機器などに活路を見いだした。

危機が延々と長引くと、こうした構造転換に耐える体力さえ失われてしまう。経営のスピード感も非常に重要である。』


私は、上記記事の内容に賛同します。

国内家電メーカーは、大胆に経営の方向性の舵をきる時期になっています。今、経営の方向性を間違えると、倒産するリスクが高まります。

大手家電メーカーが倒産すると、関連する中堅・中小メーカーは大きな打撃を受けますので、何とか踏ん張って、新規事業を含めて次の成長の柱を早期に明確化し、確立することが非常に重要です。

この時に、社説に書かれていますように、どの分野での事業基盤を確立していくかの判断が今後の事業展開を左右します。

例えば、家庭用テレビを例にとります。今までのパナソニックやソニーのテレビに対する経営姿勢は、「家庭向け商品として会社の顔になる」、或いは、「売上額が大きくこれに代わる事業の柱がみつからない」などの理由で事業を継続してきています。

しかし、液晶テレビは汎用化して価格競争に入った商品です。この分野では、韓国勢や中国勢が低価格品を提供していますので、現時点では国内勢に勝機が無いことは明白です。

国内メーカーは、収益の出ない事業分野からは早期に撤退し、新規事業を早期に立ち上げる必要があります。

パナソニックは、既存事業としては白物に競争力を持っています。この白物をアジアなどの国々で当該地域の要求仕様や価格にあったもので出していけば、商機を確保できます。アジアは、新成長経済地域であり、今後の拡大が見込まれます。

また、エネルギー・環境分野は今後の成長が見込まれ、大きな世界市場に成長します。パナソニックは、三洋電機を買収して電池関連技術を手に入れました。

蓄電池の応用範囲は、自動車、オフイス、工場、家庭などの各分野で使用されますので広く、社会インフラの一部として非常に大きくなり、巨大市場が構築されます。

パナソニックを含む国内電機メーカーは、蓄電池事業で勝者になる必要があります。蓄電池は、上記の通り、社会インフラですのでこの事業分野では海外勢に負けるわけにはいかない、重要なものになります。

パナソニックは、中国や韓国勢の低価格蓄電池に対抗して、勝てるように経営資源を集中することを期待します。

ソニーの場合、新規成長分野の発表が明確にされていませんので、どの分野を新規事業の柱にするのか明確ではありません。

今までの報道記事では、医療分野を新事業の柱の一つにするとして、オリンパスへの出資を決めて動き出しています。

テレビ事業に関しては、縮小するものの継続する方針の様です。売上や世界シェアの拡大にこだわらず、収益性の確保が出来る商品や地域での事業展開を行う方針とみます。

これは、一つの事業展開のやり方ではありますが、正直に言いますと経営方針の曖昧さを感じます。テレビ事業からの撤退もありとみます。

ソニーとパナソニックは、有機EL事業で連携して、収益の確保出来る分野に集中して事業化することを決めています。

これは、有機EL事業を汎用化した分野に入らずに、確実に競争力を確保して収益を上げられるビジネスモデルの構築を目指すものと理解しています。

高画質を可能とする有機ELテレビやモニターを徹底な差別化・差異化を図り、業務用途や医療分野に応用できれば価格競争に巻き込まれることなく、確実に収益を上げることが出来ます。

ソニーとパナソニックの共同事業で確実に収益が上がるものとして事業化していくことを期待します。


中小企業の場合、大手と比べて経営資源に余裕がありませんので、現行事業の収益が落ちますと、何の手も打たないと即時に倒産のリスクが発生します。

このため、現行事業で差別化・差異化が出来なくなる事態に備えて、常に新規事業分野の準備をしておく必要があります。

新規事業立ち上げに際し、一般的には市場調査などから入っていくやり方があります。しかし、私の場合、市場調査はセカンドステップとして必要な時に行うよう、中小企業にアドバイスしています。

先ず、大事なことは、自社の経営資源を徹底的に見直して、圧倒的な差別化・差異化を図れる分野を探し出すことです。

その次に、その差別化・差異化を可能にする技術・製品を売る市場を市場を特定します。中小企業の場合、中堅や大手が参入しない、或いは、参入できないニッチ市場である方が競争を避けることが出来ます。

このようにしてオンリーワンの収益を確保するビジネスモデルを作ります。

大手の場合も同じで、先ず、自社の圧倒的な強みを見出すことから始めることが肝要です。大手の場合、資金力があればM&Aでその強みを買い取ることが出来ます。

次に大事なことは、その強みを最大化して収益も最大化出来るビジネスモデルの構築です。対象市場は世界で考える必要があります。

大手の場合、中小と異なり、ニッチ市場で考える必要はなく、世界市場で圧倒的な収益を確保出来るビジネスモデルの作成と実現が重要です。

集中と選択では、合理化の過程で発生するリストラの負の面(解雇)に注意が集中します。しかしリストラの本来の意味は、新規事業に必要な人材の確保も含まれます。

新規事業に必要な人材を積極的に確保していかないと、ビジネスモデルの実行が出来ません。M&Aで必要な人材も確保するやり方も有効です。

今まで何度か本ブログ・コラムで書いていますように、パナソニックやソニーの動きを注目し続けます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム