こんにちは。
ビジネス・コンサルタント、ビジネス・コーチの葛西幸浩です。
今回は、起業家の方々のために、ライフワークの見つけ方をテーマに解説します。
私はこれまで数多くの起業家のサポートを行ってきました。
また、自分自身、小学生のころから「将来は自分で事業をやる」と決めていたこともあり、
30歳で起業するまでの間は明けても暮れても「何をやろう」ということを考えていました。
起業家が自らの事業テーマ(業種、業態)を決めることの難しさを知りつくしています。
起業家の方からの相談で、最も細心の注意を払うことの一つは、
この事業テーマの決め方についてでもあります。
その理由は、この事業テーマの決定プロセス次第で、
その仕事が、数年後に「食うための仕事」になるか「ライフワーク」になるかが決定されるためです。
「ただ食うために仕事をしていたら、それがライフワークになった」
それはそれで素晴らしいことです。
ただ、世の中では事業開始後に「こんなはずではなかった」という例が数多く存在することも事実です。
このようなケースで、開業後に相談を受けたことも多数あり、
軌道修正をした経験も数多くあります。
このように、起業家を支援するということは、
その人の人生そのものに関わることになるため、
細心の注意を払う必要があるのです。
「なんとなくハシゴをかけて上ったはいいが、目的の場所ではなかった」
これでは、上るのもつらいし、成果も行き当たりばったりとなるでしょう。
「何でも経験だ!」
それには賛成しますが、反面、人生は矢の如く時間が流れます。
「いつまで、何のために経験を積み続けるのか」、
という問いも生まれることにもなります。
世の中における最も重要な価値の一つである人生時間を、
ハシゴの上り下りだけに費やすことには注意が必要です。
相談される起業家には、
例え事業プランがある程度まとまっていたとしても、
「この事業テーマで良いのか」をゼロから問い直しをします。
そのプロセスにおいては、本当の自分、自分の資源、環境に光を当て、
なぜ、この事業テーマを選んだのか、
本当に自分が到達したいところはどこなのかを明らかにします。
それにより、起業家自らが決めていた事業テーマに違和感を生じ、
プロセスによって「明らかになった自分」を再認識し、事業テーマを考え直します。
この段階での感想を聞くと、
「あのまま起業していたらと思うとゾッとする」
「事業を開始した数年、そしてその後の人生をシミュレーションできた」
などの意見が聞かれます。
これらの意見が起業家をサポートすることの意義だと考えています。
次に、事業テーマがライフワークかどうかを判断する方法についての話をします。
ここで、今一度、ライフワークとは何かを考えましょう。
私のライフワークの定義は次の通りです。
個人の精神から発せられたインスピレーションと思考により具体化された、生涯を費やすに値する生き甲斐、幸福感を伴った仕事。
要するに、生き甲斐や幸福感を伴わないものはライフワークと呼べないということです。
「やりたいことをやる」、「わくわくすることをやる」だけでは足りず、
生涯を費やすだけの価値を見出すことができる必要があるでしょう。
そのためには、人生をどのように生きるのか、
最終的にどこを目指すのかというビジョン(ライフビジョン)が必要となります。
次に、”今、考えるビジョン”で事業テーマを決めて良いのか、という疑問も生じるでしょう。
これに対する答えは、OKです。
なぜなら、ビジョンは個人の成長に応じて成長するためです。
個人の成長に応じて、起業後も事業テーマを継続的に成長させていくことができます。
また、私のライフワークの定義に「思考により具体化された」と入れてある理由は、
生涯を通じて(長期にわたり)事業を継続していくためには、
マネジメント、マーケティング、計数管理などの個別能力を備えることが必要であり、
これらの能力を個人、組織で高めつつ、継続していく必要があるからです。
ライフワークというものの根源は自分発のシーズ発想であり、
顧客が求めているからこれをやろうというニーズ発想と違い、
事業として成立させるための「思考」がより必要です。
以上、ライフワークの見つけ方のステップをまとめると、次の5段階となります。
①自分を知る
②ビジョンを求める
③事業テーマを探る
④ライフワークとなり得るかの評価をする
⑤思考により事業プランを構築する
今までの永遠に続くかに思われた平安な時代や、高度成長が続いた時代は、ある企業や起業家をモデルとしていれば、一定の成果を得ることができました。
しかし、これからの時代は、オリジナルな自分という存在を見つめ、「正解」と言われるものすら自分らの心と頭で決めていくことが求められてくる時代です。
自分で決める・・・
そう言われると自由な反面、心細さも感じられたかもしれません。
そのためには、しっかりと受け止めてくれる理解者や同じ志、感性を持った仲間も必要でしょう。
そして、何より一生折れない自身と確信をもって、
自らの道を明るく豊かに歩むために、
自分のビジョンを適切に設定しましょう。
■執筆者プロフィール : http://profile.ne.jp/pf/kasai/
ワイデックス・コンサルティング株式会社 代表取締役
Winds of Shirakami 主宰
http://www.windsofshirakami.jp
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