後見登記等に関する法律
(平成十一年十二月八日法律第百五十二号)
最終改正:平成二三年五月二五日法律第五三号
(最終改正までの未施行法令) | |
(未施行) | |
|
|
(趣旨)
第一条 民法 (明治二十九年法律第八十九号)に規定する後見(後見開始の審判により開始するものに限る。以下同じ。)、保佐及び補助に関する登記並びに任意後見契約に関する法律 (平成十一年法律第百五十号)に規定する任意後見契約の登記(以下「後見登記等」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
(登記所)
第二条1項 後見登記等に関する事務は、(注)東京法務局・・(次条において「指定法務局等」という。)が、登記所としてつかさどる。
(後見等の登記等)
第四条 後見、保佐又は補助(以下「後見等」と総称する。)の登記は、嘱託又は申請により、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。第九条において同じ。)をもって調製する後見登記等ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。
一 後見等の種別、開始の審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び確定の年月日
二 成年被後見人、被保佐人又は被補助人(以下「成年被後見人等」と総称する。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
三 成年後見人、保佐人又は補助人(以下「成年後見人等」と総称する。)の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
四 成年後見監督人、保佐監督人又は補助監督人(以下「成年後見監督人等」と総称する。)が選任されたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
五 保佐人又は補助人の同意を得ることを要する行為が定められたときは、その行為
六 保佐人又は補助人に代理権が付与されたときは、その代理権の範囲
七 数人の成年後見人等又は数人の成年後見監督人等が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め
八 後見等が終了したときは、その事由及び年月日
九 家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)第十五条の三第一項 の規定による審判(同条第五項 の裁判を含む。以下「保全処分」という。)に関する事項のうち政令で定めるもの
十 登記番号
2 後見等の開始の審判前の保全処分(政令で定めるものに限る。)の登記は、嘱託又は申請により、後見登記等ファイルに、政令で定める事項を記録することによって行う。
(任意後見契約の登記)
第五条 任意後見契約の登記は、嘱託又は申請により、後見登記等ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。
一 任意後見契約に係る公正証書を作成した公証人の氏名及び所属並びにその証書の番号及び作成の年月日
二 任意後見契約の委任者(以下「任意後見契約の本人」という。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
三 任意後見受任者又は任意後見人の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
四 任意後見受任者又は任意後見人の代理権の範囲
五 数人の任意後見人が共同して代理権を行使すべきことを定めたときは、その定め
六 任意後見監督人が選任されたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)並びにその選任の審判の確定の年月日
七 数人の任意後見監督人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め
八 任意後見契約が終了したときは、その事由及び年月日
九 保全処分に関する事項のうち政令で定めるもの
十 登記番号
(後見登記等ファイルの記録の編成)
第六条 後見登記等ファイルの記録は、後見等の登記については後見等の開始の審判ごとに、第四条第二項の登記については政令で定める保全処分ごとに、任意後見契約の登記については任意後見契約ごとに、それぞれ編成する。
(変更の登記)
第七条 後見登記等ファイルの各記録(以下「登記記録」という。)に記録されている次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める事項に変更が生じたことを知ったときは、嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請しなければならない。
一 第四条第一項第二号から第四号までに掲げる者 同項各号に掲げる事項
二 第五条第二号、第三号又は第六号に掲げる者 同条各号に掲げる事項
2 成年被後見人等の親族、任意後見契約の本人の親族その他の利害関係人は、前項各号に定める事項に変更を生じたときは、嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請することができる。
(終了の登記)
第八条 後見等に係る登記記録に記録されている前条第一項第一号に掲げる者は、成年被後見人等が死亡したことを知ったときは、終了の登記を申請しなければならない。
2 任意後見契約に係る登記記録に記録されている前条第一項第二号に掲げる者は、任意後見契約の本人の死亡その他の事由により任意後見契約が終了したことを知ったときは、嘱託による登記がされる場合を除き、終了の登記を申請しなければならない。
3 成年被後見人等の親族、任意後見契約の本人の親族その他の利害関係人は、後見等又は任意後見契約が終了したときは、嘱託による登記がされる場合を除き、終了の登記を申請することができる。
(登記記録の閉鎖)
第九条 登記官は、終了の登記をしたときは、登記記録を閉鎖し、これを閉鎖登記記録として、磁気ディスクをもって調製する閉鎖登記ファイルに記録しなければならない。
(登記事項証明書の交付等)
第十条 何人も、登記官に対し、次に掲げる登記記録について、後見登記等ファイルに記録されている事項(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
一 自己を成年被後見人等又は任意後見契約の本人とする登記記録
二 自己を成年後見人等、成年後見監督人等、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人(退任したこれらの者を含む。)とする登記記録
三 自己の配偶者又は四親等内の親族を成年被後見人等又は任意後見契約の本人とする登記記録
四 保全処分に係る登記記録で政令で定めるもの
2 次の各号に掲げる者は、登記官に対し、それぞれ当該各号に定める登記記録について、登記事項証明書の交付を請求することができる。
一 未成年後見人又は未成年後見監督人 その未成年被後見人を成年被後見人等若しくは任意後見契約の本人とする登記記録又は第四条第二項に規定する保全処分に係る登記記録で政令で定めるもの
二 成年後見人等又は成年後見監督人等 その成年被後見人等を任意後見契約の本人とする登記記録
三 登記された任意後見契約の任意後見受任者 その任意後見契約の本人を成年被後見人等とする登記記録又は第四条第二項に規定する保全処分に係る登記記録で政令で定めるもの
3 何人も、登記官に対し、次に掲げる閉鎖登記記録について、閉鎖登記ファイルに記録されている事項(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下「閉鎖登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
一 自己が成年被後見人等又は任意後見契約の本人であった閉鎖登記記録
二 自己が成年後見人等、成年後見監督人等、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人であった閉鎖登記記録
三 保全処分に係る閉鎖登記記録で政令で定めるもの
4 相続人その他の承継人は、登記官に対し、被相続人その他の被承継人が成年被後見人等若しくは任意後見契約の本人であった閉鎖登記記録又は第四条第二項に規定する保全処分に係る閉鎖登記記録で政令で定めるものについて、閉鎖登記事項証明書の交付を請求することができる。
5 国又は地方公共団体の職員は、職務上必要とする場合には、登記官に対し、登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書の交付を請求することができる。
(手数料)
第十一条 次に掲げる者は、物価の状況、登記に要する実費、登記事項証明書の交付等に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
一 登記を嘱託する者
二 登記を申請する者
三 登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書の交付を請求する者
2 前項の手数料の納付は、収入印紙をもってしなければならない。ただし、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律 (平成十四年法律第百五十一号)第三条第一項 の規定により同項 に規定する電子情報処理組織を使用して前項各号の嘱託、申請又は請求をするときは、法務省令で定めるところにより、現金をもってすることができる。
(行政手続法 の適用除外)
第十二条 登記官の処分については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二章 及び第三章 の規定は、適用しない。
(行政機関の保有する情報の公開に関する法律 の適用除外)
第十三条 後見登記等ファイル及び閉鎖登記ファイルについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律 (平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。
(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律 の適用除外)
第十四条 後見登記等ファイル及び閉鎖登記ファイルに記録されている保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律 (平成十五年法律第五十八号)第二条第三項 に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第四章 の規定は、適用しない。
(審査請求)
第十五条 登記官の処分を不当とする者は、監督法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。
2 審査請求をするには、登記官に審査請求書を提出しなければならない。
3 登記官は、審査請求を理由があると認めるときは、相当の処分をしなければならない。
4 登記官は、審査請求を理由がないと認めるときは、三日以内に、意見を付して事件を監督法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない。
5 法務局又は地方法務局の長は、審査請求を理由があると認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか利害関係人に通知しなければならない。
(行政不服審査法 の適用除外)
第十六条 行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)第十四条 、第十七条、第二十四条、第二十五条第一項ただし書、第三十四条第二項から第七項まで、第三十七条第六項、第四十条第三項から第六項まで及び第四十三条の規定は、前条第一項の審査請求については、適用しない。
附 則 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。
(禁治産者及び準禁治産者についての経過措置)
第二条 民法の一部を改正する法律(平成十一年法律第百四十九号。以下「民法改正法」という。)附則第三条第一項の規定により成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人とみなされる者又は当該成年被後見人とみなされる者の配偶者若しくは四親等内の親族は、政令で定めるところにより、後見の登記を申請することができる。
2 民法改正法附則第三条第二項の規定により被保佐人若しくはその保佐人とみなされる者又は当該被保佐人とみなされる者の配偶者若しくは四親等内の親族は、政令で定めるところにより、保佐の登記を申請することができる。
3 民法改正法附則第三条第一項又は第二項の規定により成年被後見人又は被保佐人とみなされる者について、民法改正法の施行後に確定した審判に基づく変更の登記又は終了の登記の嘱託がされた場合において、当該嘱託に係る登記事項を記録すべき登記記録がないときは、登記官は、職権で、当該者について前二項の登記をする。
4 登記官は、前三項の規定による登記をしたときは、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者に対し、その旨の通知をしなければならない。
5 戸籍事務を管掌する者は、前項の通知を受けたときは、法務省令で定めるところにより、当該通知に係る成年被後見人とみなされる者又は被保佐人とみなされる者の戸籍を再製しなければならない。
附 則 (平成二三年五月二五日法律第五三号)
この法律は、新非訟事件手続法の施行の日から施行する。
このコラムに類似したコラム
成年後見人等養成研修に参加しました 菅原 茂夫 - 税理士(2012/11/28 12:42)
成年後見人等養成研修に参加しました 菅原 茂夫 - 税理士(2012/11/28 12:41)
認知症と家族信託 その2 大黒たかのり - 税理士(2017/09/14 12:50)
認知症と家族信託 その1 大黒たかのり - 税理士(2017/09/12 11:00)
今から始める老後の準備~成年後見・相続と遺言など のセミナー講師を終えて|千葉県野田市 明石 久美 - ファイナンシャルプランナー(2014/02/22 08:00)