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近江 清秀
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自宅売却後もその自宅で居住を継続する場合の所得税

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所得税

【譲渡所得質疑応答-9 自宅売却後もその自宅で居住を継続する場合の特別控除の適用について】

<事例>

株式会社Aの代表取締役Bは、会社の業績が悪化して運転資金が
足りなくなりました。

しかし、金融機関からの借入金はこれ以上残高を増やしたくないので
自宅を売却することにしました

Bは、自宅の土地建物を売却して、譲渡所得の3000万円控除と譲渡所得の
軽減税率の適用を受けることにより、売却に関わる税額を減らすことを
検討してます

そこで、自宅の土地建物の売却案として次の2案を考えました。

1.Bの娘婿であるXに自宅土地建物を時価で売却し、Bさんは
自宅の土地建物でそのまま生活を継続する。ただしXに適正な家賃を
毎月支払う

2.株式会社Aの外注先で買掛金の支払いが滞っているY社に時価で
売却し、その後Bさんは自宅の土地建物でそのまま生活を継続する。
ただし、この場合もYに対して適正な家賃を毎月支払います

1案2案の場合で税務上の扱いは異なるのでしょうか?

<解説>

生活の拠点となっている自宅を売却した場合の所得税については
所得税の負担を軽減するためのいくつかの特例があります

その中でも一般的なのが3000万円の特別控除です
これは、所得税の課税対象となる自宅の売却益(譲渡所得)から
3000万円を控除することのできる特例です
(所法33、措法35、措令20の3、23)

この特例を適用するためには、以下の様な要件を満たす必要があります
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm

(1) 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。
 なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から
 3年目の年の12月31日までに売ること。

(2) 売った年の前年及び前々年にこの特例又はマイホームの買換えや
 マイホームの交換の特例若しくは、マイホームの譲渡損失についての
 損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

(3) 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など
 他の特例の適用を受けていないこと。

(4) ~省略~

(5) ~省略~

(6) 売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないこと。
 特別な間柄には、このほか生計を一にする親族、内縁関係にある人、
 特殊な関係のある法人なども含まれます。

さて、今回の1案を上記要件に当てはめてみると
娘婿のXさんは直系血族でも生計を一にする親族でもないので
譲渡先の要件としてはクリアーです

また、自宅売却後もその家屋で生活を継続することによって
特例の適用は否認されません。 したがって売却先としてXを選択した
場合でも3000万円の特別控除は適用できます。

さらに、周辺の適正な相場から算出した家賃の相場の年間総額が例えば
贈与税の基礎控除(110万円)未満の金額である場合、課税上弊害が
無いと考えられるので、実際に家賃の支払いをしていない場合でも
贈与税の課税対象とはなりません(相続税基本通達9-10但書)


次に、2案の場合もY社は3000万円特別控除適用除外の譲渡先には該当しません。
また、自宅売却後もBさんがその家屋で生活を継続することによって
特例の適用が否認されることはありません。

さらには、BからY社への売却が譲渡担保の設定であるような場合には
一定の手続きを行うことによって譲渡所得税も課税されません


<参考>(所得税基本通達33-2 譲渡担保に係る資産の移転)

債務者が、債務の弁済の担保としてその有する資産を譲渡した場合において、
その契約書に次のすべての事項を明らかにしており、かつ、当該譲渡が
債権担保のみを目的として形式的にされたものである旨の債務者及び
債権者の連署に係る申立書を提出したときは、当該譲渡はなかったものとする。

この場合において、その後その要件のいずれかを欠くに至ったとき又は
債務不履行のためその弁済に充てられたときは、これらの事実の生じた時
において譲渡があったものとする。(昭52直資3-14、直所3-22改正)

(1) 当該担保に係る資産を債務者が従来どおり使用収益すること。

(2) 通常支払うと認められる当該債務に係る利子又は
  これに相当する使用料の支払に関する定めがあること。

(注)形式上、買戻条件付譲渡又は再売買の予約とされているものであっても、
 上記のような要件を具備しているものは、譲渡担保に該当する。

 

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