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日経記事;『新日鉄住金、新興国で最先端鋼板』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月16日付の日経新聞に、『新日鉄住金、新興国で最先端鋼板 世界に迅速供給 低燃費車を後押し 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『新日鉄住金は2013年にタイ、メキシコ、ブラジルで強度が最高水準の自動車用鋼板の生産を始める。燃費向上に向けた車体軽量化のカギを握る先端素材で、輸出から現地生産に切り替える。

日系自動車メーカーが新興国で増産や部材の現地調達拡大を進めており、迅速に供給できる体制を築く。合併後のグローバル生産戦略の第1弾となる。

同社は今月1日に旧新日本製鉄と旧住友金属工業が合併して発足した。新興国での生産体制拡充を重点目標とし、人材や資金を集中的に振り向ける。

日米欧で手がけてきた高性能鋼板の生産を新興国にも広げ、低燃費車を軸にした自動車メーカーの世界展開を支える。

タイとメキシコでは、建設中の自動車用鋼板を最終的に仕上げる工場で高性能鋼板を生産する。いずれも13年に稼働する予定。品質を左右する母材と呼ぶ材料は主に日本から供給する。

ブラジルでは出資先の同国鉄鋼大手、ウジミナスとの既存の合弁工場を活用する。3工場合計の生産能力は年間約180万トン。高性能鋼板の生産量はこのうち数十万トン規模とみられる。

鋼板の強度が高いほど衝突時の安全性などを確保するために必要な鋼板使用量を減らすことができ、車体を軽くできる。

新日鉄住金が現地生産するのは、これまで高強度とされてきた鋼板の1.6倍の強度がある「超高張力鋼板」。既存の鋼板から置き換えれば1~2割軽量化できる。最新の低燃費車ではこの高性能な鋼板が鋼板使用量の5~10%を占めている。

日系自動車メーカーは新興国の自動車需要の拡大や円高対策などから、新興国への生産シフトを加速している。メキシコでは日産自動車やホンダやマツダが、ブラジルでは日産が工場建設を進めている。三菱自動車はタイを低燃費小型車の量産拠点にしている。

新興国向けにはこれまで必要に応じて日本から輸出し、現地生産は従来型の高強度鋼板にとどめていた。自動車生産の新興国シフトが強まり、現地の生産計画などに応じて柔軟に鋼板を供給できる体制づくりが必要と判断した。

自動車用鋼板は日本の鉄鋼大手の得意分野だが、韓国のポスコや中国の宝鋼集団など新興国の大手メーカーも技術面で追い上げてきている。新日鉄住金は鋼板自体の性能に加え、新興国を含めたグローバルな供給網の整備が自動車メーカーの採用のカギになるとみて先手を打つ。

同社の国内の自動車用鋼板全体の生産能力は年間850万トン。メキシコなどの新工場建設で海外の生産能力は約2割増の680万トンになる。新興国でも高性能鋼板を生産することで質量ともに世界生産体制を強化する。』


本日の記事は、合併後の新日鉄住金の新海外展開施策に関するものです。新会社は世界市場に対する攻めの姿勢を打ち出しています。

欧州市場や中国市場の変調による影響は多少あっても、世界市場で需要の伸びが見込める分野への積極投資は合理的です。

今後、新興国で自動車需要は拡大する見通しです。インドネシア、インドやバングラデシュなどの巨大人口国を含めたアジアは、今後大きな自動車需要の伸びが見込めます。

また、中南米もメキシコやブラジルを中心に、米国との自由貿易協定効果もあり自動車生産台数の伸びが期待されます。

今後の自動車は、国内でハイブリッド車が人気ナンバーワンを維持しているように、環境対応車(低燃費車)需要の伸びが予測されています。

ガソリン消費量が少ないことと、CO2排出量の低減化が理由です。

この低燃費車実現方法の一つが、車体の軽量化です。自動車の安全や信頼性を失わずに、重量を減らすには鋼板の厚さを薄くしながら、鋼板の強度を上げる必要があります。

鋼板の強度が高いほど衝突時の安全性などを確保するために必要な鋼板使用量を減らすことができ、車体を軽くできるからです。

既存の鋼板から置き換えれば1~2割軽量化できるとのこと。最新の低燃費車ではこの高性能な鋼板が鋼板使用量の5~10%を占めているとされています。

新日鉄住金は、国内自動車メーカーの海外展開に合わせて、上記高性能鋼板の現地生産化(タイ、メキシコ、ブラジルなど)を進めることで、当該メーカーの調達コストを下げると共に、売上拡大を目指すやり方です。

国内企業同士の間で、「Win/Win」の関係が維持強化されます。

勿論、新日鉄住金は、海外自動車メーカーにも売り込んでいきます。しかし、国内自動車メーカーが、新興国で高性能鋼板を調達しやすくなるメリットは大きいものがあります。

新日鉄住金にとって、競争力の源泉の一つである高性能鋼板の製造ノウハウの他社への流出は、何としても防ぐ必要があります。

そのために、今まで新日鉄住金は高性能鋼板の製造を国内と欧米に限定して行ってきました。

しかし、自動車需要の伸びが今後しばらくの間、アジアや中南米の新興国中心になることから国内メーカーの当該地域への生産展開が加速しています。

新日鉄住金は、顧客である自動車メーカーの動きを支援することで売上拡大を図るやり方です。現地生産化により海外メーカーからの需要もより容易に取り込みやすくなる可能性が高くなります。

高性能鋼板の製造に必要な母材と呼ぶ材料は主に日本から供給するとのことであり、このやり方で製造ノウハウの流出リスクは、ある程度避けられます。

中小・中堅・大手の各企業は、規模の大小に関係なく国内だけでなく、海外市場も取り入れて事業展開を考え、実行しないと勝ち残れない状況になっています。

また、国内企業にとってもう一つ考える必要のあることは、自社の強みを生かせる新規事業分野に関連したところで活動することです。

具体的には、環境、医療、エネルギーなどです。これらの分野に関係していれば、世界市場での需要は必ず存在し、伸びているからです。

今回の新日鉄住金は、高性能鋼板の供給による低燃費車実現支援を通じての環境対応(CO2排出量削減)と使用エネルギー量削減になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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