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日経記事;"ルネサス出資2000億円 日本連合,日産/キヤノンも"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月13日付の日経新聞に、『ルネサス出資2000億円 日本連合、日産・キヤノンも 11月合意めざす』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『業績が悪化した半導体大手、ルネサスエレクトロニクスを官民が2000億円で買収する計画が固まった。産業革新機構が1500億円強を投じ、株式の3分の2を取得する。

トヨタ自動車やパナソニックなど約10社も計500億円弱を出資し、車や家電製品の性能を左右するマイコンを安定調達する。ルネサスは買収案を受け入れ、11月にも合意する見通し。

2月に会社更生法の適用を申請したDRAM大手のエルピーダメモリは、米マイクロン・テクノロジーの傘下に入ることが決まっている。ルネサス買収の枠組みが固まったことで、日本の半導体産業の再起をかけた取り組みが本格化する。

ルネサスに出資する企業はトヨタ、日産自動車、ホンダの車3社と、デンソー、パナソニック、キヤノン、ニコン、安川電機など。独ボッシュなども検討しており、最終的に約10社となる見通し。

いずれもルネサスからマイコンを購入している大口顧客でそれぞれ数十億~約100億円を出資する。再建に協力することで、自社の製品の競争力向上につなげる。

日立製作所と三菱電機、NECの半導体事業を統合してできたルネサスは、前身企業を含めると2012年3月期まで7期続けて最終赤字となった。薄型テレビなどデジタル家電で頭脳の役割を果たすシステムLSI(大規模集積回路)事業の不振が主な要因だ。

ルネサスはシステムLSI事業を切り離し、富士通、パナソニックと統合する交渉も11月中の合意を目指し、調整している。産業革新機構などから年内に出資を受け入れ、2013年からマイコン専業会社として再出発する。

ルネサスは生産体制を効率化するため全国各地に19ある工場を半減させることを決めている。13年3月期は約7500人の早期退職者に支払う費用がかさみ、1500億円の最終赤字を見込む。

革新機構は、ルネサスをマイコン専業にしたうえで工場の稼働率を高め、財務を強化すれば再建は可能とみている。

ルネサスの設立母体のNEC、日立、三菱電機は革新機構などによる買収後も引き続き株主として残る。

革新機構は議決権ベースで3分の2の株式を取得したうえで、経営陣に外部の民間企業の人材を起用し経営の合理化を急ぐ。

日本の自動車や電機大手に広くマイコンを供給しているルネサスの再建は、産業競争力の底上げにつながると判断した。

先にルネサスと出資交渉していた米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は、官民一体の買収計画が固まったことを受けて出資交渉から撤退する見通し。

1000億円をルネサスに出資し、経営権を取得する案を打診していた。株主や金融機関から将来の事業再編など会社形態が不安視され、交渉が中断していた。』


ルネサスエレクトロニクスの再生方法については、たびたび報道されていました。今回の記事によると、産業革新機構が1500億円強を投じて株式の3分の2を取得し、経営権を取る枠組みでの再生に決まったとのこと。

再生資金として必要な2000億円のうち、残りの500億円は、トヨタ、日産自動車、ホンダの車3社と、デンソー、パナソニック、キヤノン、ニコン、安川電機などの国内顧客企業が負担することになるようです。

独ボッシュも出資する可能性があるようですが、基本的な再生の仕組みは政府と顧客企業によるオールジャパン体制下で行うことになります。

ルネサスは、マイコン供給会社として国内唯一の企業になります。もし、ルネサスが倒産していたらマイコン供給会社が日本から無くなりますので、自動車や各種機械メーカーの開発・製造能力に大きな影響があり、国内メーカーの競争力低下につながるリスクがありました。

マイコンは、高機能・高性能を実現し、競争力を実現する産業界の米の一つです。

今の日本は、官民上げて国内製造業の底上げを図り、強い経済力を復活させる必要があります。強い製造業を中心にした経済成長を再現させる必要がありますし、経済成長なしに日本の未来は語れません。

自動車と産業機械は、国内製造業の強さの源泉の一つです。マイコンはこれらのメーカーが競争力を維持強化するために必要なデバイスの一つです。

供給側と顧客企業が開発段階から密接な会話を行いながら、マイコンの開発仕様を決めて製造供給するのが一般的なやり方です。

お互いにトップシークレット扱いの技術情報を持ち寄って開発を進める必要があります。ルネサスは顧客企業の信頼を得ながらマイコン供給を行ってきました。

この信頼関係は、昨年の大震災時にルネサスの工場(那珂工場)が打撃を受けマイコン供給できなくなった時に、顧客企業が大勢の技術者を派遣して早期再開に協力したことで立証されました。

勿論購入企業は早期に工場再開されないと、自社製品の製造に影響が出るとの切実さもありました。

しかし、それ以上に各購入企業を突き動かしたのは、それまでのルネサスとの高い信頼関係であったと推測します。

日本の浪花節的な視点ではなく、マイコンの供給者と購入企業のそれまでに培った信頼関係がベースにあって事業してきたのは、国内製造業の強みの一つです。

これは、中小企業同士の関係も同じです。同業種・異業種の企業が協力して開発や製造を行うことが日常的に行われています。

国内に中小・中堅・大手の各企業が集積していることの強みです。

ルネサスのマイコンシェアは、世界市場で30%とされます。新ルネサスは、現時点でトップシェアを持っていますが、更に上乗せを図り50~60%のシェア獲得を目指す積極さが重要です。

マイコン事業に関しては、再生ではなく新経営環境下で世界市場での販売拡大を目指すことを最重点課題として取り組むことが大事です。

世界の競合他社に勝てる経営体制を作り、速い意思決定と実行が出来る仕組み作りが必要となります。

過去のオールジャパン体制にありがちな非効率な寄り合い所帯の経営ではなく、ルネサス固有の経営陣が自分たちの意思で決定・行動できる体制作りを行うことが大事です。

産業革新機構と出資企業は、この体制確立に協力して対応することが新ルネサスを大きく飛躍させるカギの一つになります。

新ルネサスの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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