M&Aにおける基本合意書 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:事業再生と承継・M&A

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M&Aにおける基本合意書

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M&Aの手続

 

1

M&A目的の明確化

2

M&A対象会社の選定

3

M&A対象会社への打診

4

基本合意書(Letter of Intent)の締結

5

デューディリジェンスの実施

6

本契約の締結

7

本契約の履行(いわゆるクロージング・代金の支払、引渡し)

 

4 基本合意書(Letter of Intent)の締結

(1)基本合意書とは

 「基本合意書」とは、売り手と買い手の間でM&Aについて基本的な合意が成立した場合に、両者間で交わされる文書です。内容(詳しくは後述)はM&Aに向けた今後のスケジュールを確定するものであり、原則としてM&A(合併等)についての法的拘束力はありません。すなわち、M&Aについての合意そのものではないので、当然に法的効力が発生することはありません。

 ただ、相互にとってM&Aの規模があまりに小さいために過程にコストをかけるべきでない、と判断された場合には、事実上、基本契約書が本契約書に代替される場合はあります。中小企業の事業承継の場合、M&A対象会社も小規模である場合がこれにあたります。

(2)基本合意書の合意事項

基本契約の合意事項としては、以下のようなものがあります。もちろん、これ以外の条件を付け加えてもかまいません。

・買収価格

・代金決済方法(現金授受か、株式交換か)

・M&Aの具体的方法

・Due Diligence(デュー・ディリジェンス、詳しくは後述)のスケジュール

・本契約に至るまでのスケジュール

・基本合意書に法的拘束力はない旨

・基本合意書の有効期限

・交渉の停止条件

(3)基本合意書に関する注意点

 たとえM&Aの交渉を複数の会社と進めていたとしても、基本合意書を交わす会社は1社だけです。また、基本合意書を交わす目的は、同時に秘密保持契約等を両社間で交わすことで、その後に控えているデューディリジェンスの準備をすることにもなります。よって、デューディリジェンスには合併契約等に対する法的拘束力はありませんが、その際に秘密保持契約(Non Disclosure Agreement、NDA)を交わすことにより、秘密保持に関する法的拘束力は生じます。事業承継においては、M&Aの情報が無作為に漏洩された場合に、現従業員や取引先に無用な動揺を招くおそれがあり注意が必要です。

 

 

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