取締役の退職慰労金の減額・不支給 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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取締役の退職慰労金の減額・不支給

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 近持、株主総会の決議を経て、内規に従い支給されることとなった会社法361条1項にいう取締役の報酬等に当たる退職慰労年金について、退任取締役相互間の公平を図るため集団的、画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから、上記内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼし、その同意なく未支給の退職慰労年金債権を失わせることはできないとした判例(最判平成22・3・16判タ1323号114頁)が出ました。

本判決は、「退職慰労年金の支給につき、退任取締役相互間の公平を図るために、いったん成立した契約の効力を否定してまで集団的、画一的な処理を図ることが制度上要請されているとみることはできない。」として、内規廃止の効力を、その同意なく、既に退任した取締役に及ぼすことを否定しました。

 退任取締役は、定款の定めまたは株主総会の決議により、具体的な退職慰労金請求権を取得し、その額及び具体的な支給方法は会社と退任取締役間の契約内容となりますから、その後、取締役会が上記内規を廃止して退職慰労金の支給を停止する旨の決議をしても、当該退任取締役が同意しない限り、退職慰労金請求権を失うものではないと考えられます(最判平成4・12・18民集46巻9号3006頁)。

他方、企業年金について、公的社会保障制度に代替する側面を有していることから、既受給者及び未受給者を含む制度加入者相互間の画一的公平を図る制度的要請から、その変更の効力が一定の要件の下に既受給者にも及ぼされるべきであるとの主張がなされることがあります。

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