日経記事;"レアアース脱中国 トヨタなど使用ゼロの磁石開発"考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;"レアアース脱中国 トヨタなど使用ゼロの磁石開発"考察

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皆様、

おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月10日付の日経新聞に、『レアアース「脱中国」 トヨタなど使用ゼロの磁石開発 車や家電のモーター用』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『トヨタ自動車や三菱電機は、ハイブリッド車や省エネ家電のモーター用にレアアース(希土類)を使わない新磁石の開発に乗り出す。鉄の磁石にレアアースを混ぜなくても、強い磁力を保てる技術を生み出す。

月内に技術研究組合を発足し、2021年度の実用化を目指す。レアアースなど希少金属を中国などからの輸入に依存する体質を抜本的に見直し、次世代製品に不可欠な強力磁石の安定生産につなげる。

ハイブリッド車やエアコン用の高性能モーターに使う磁石は主原料の鉄に、磁力を高める「ネオジム」と耐熱性を高める「ジスプロシウム」を混ぜる。レアアース全体の中国依存度は5割程度まで低下してきたが、ジスプロシウムはなお9割超とずばぬけて高い。

これまで各社は中国依存を脱却するため、レアアースの使用量の削減や調達先の多様化、さらには他のレアアースへの切り替えなどの対策に取り組んできたが、今回の取り組みは全くレアアースを使わない強力磁石の開発という新段階に入る。

新たな磁石の開発にはダイキン工業やデンソー、愛知製鋼、NECトーキンなど11社・団体が加わり、10月中に「高効率モーター用磁性材料技術研究組合」を立ち上げる。

経済産業省は開発費の補助や税優遇などでこの組合を支援する。レアアースに代わる別の金属を鉄に混ぜて新磁石をつくる。すでに学術研究で理論上はネオジム磁石を上回る磁力を生み出せることを確認済みという。

10年9月に中国漁船が沖縄県・尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に衝突した事件後には、中国がレアアースなどの供給を絞り、国内生産が混乱した。今夏の尖閣諸島の国有化を巡る対立では「今のところ調達に大きな支障はない」(経産省)。

しかし政府はレアアースを含むレアメタルの安定調達に向け、日本企業が持つ海外の鉱山権益と国内でのリサイクル分を合わせた「自給率」を30年時点で5割に高める計画。

レアアースのうちネオジムやセリウムといった軽希土類は数年後に5割に達する見通しだが、ジスプロシウムなど重希土類は1割に満たず、脱中国依存が大きな課題となっている。

一方、レアメタルなど国内資源の採掘に向けたプロジェクトも動き出す。鉱山機械製造の三井三池製作所(東京・中央)や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は日本近海に多い海底鉱物の掘削に世界で初めて成功。18年度にも官民共同の採掘会社をつくる。

 三井三池などが試掘したのは、海底から噴出する熱水に溶けた金属成分が沈殿した海底熱水鉱床。沖縄近海や小笠原海域で約15カ所見つかっている。

銅、鉛、亜鉛、金、銀、ゲルマニウムなどのレアメタルを含む。経産省によると、推定埋蔵量は5000万トン。単純計算だが銅や亜鉛など国内需要の十数年分に及ぶ可能性がある。

経産省は海底鉱物の採掘計画の見通しを18年度までに立てる。民間企業による商業化を想定しており、商社や鉱山会社が採掘に参画しやすいよう、資源機構も出資して官民で共同事業体を設けることを検討する。』

本ブログ・コラムでは、何度かレアアースやレアメタルの代替技術開発に取り組む企業や政府の姿勢などについて取り上げてきました。

ここ1.5年くらいの間で政府や国内企業が最重要課題の一つとして取り組んだ結果、レアアース材料の代替品開発が進んで大きな成果が出てきました。

中国のレアアース全体への依存度は、5割程度まで下がってきたとのこと。可能ならば、近い将来に限りなくゼロにすることが望ましいし、設定すべき目標です。

中国は、一時期行ったレアアース全体の輸出禁止や今回の反日暴動をみても、日本を含む西側の政治的・経済的常識では起こらない行動を政府方針で行います。

このような事態に遭遇すると、中国事業や資源に大きく依存している産業や企業は大きなダメージを受けます。

海外進出する時は、この政治的・社会的リスクを可能な限り事前に情報収集し、検討・分析して今後の行動や対応に結びつけることが重要です。

特に中小企業の場合、このような政治的・社会的混乱に巻き込まれると最悪の場合、倒産に追い込まれます。

初めて海外事業を行う中小企業には、先ず輸出からスタートして海外顧客開拓や販路開拓などを行いながら海外市場の匂いや雰囲気を確認してもらうことから行うようアドバイスしています。

その後、事業環境などを総合的にみながら、工場建設や販売拠点設立などの施策を実行するステップを踏みます。


さて、中国のレアアースに話を戻しますと、「必要は発明の母」の言葉通りに国内企業は動いています。

日本は、当然のごとく、中国のレアアース依存度ゼロを目指して動く必要があります。

レアアース依存度ゼロを目指すには、国内を含む中国以外の国からの輸入を増やすことと、技術的に完全な代替品や不要とする技術・部品・製品を開発することが必要になります。

現在まで、政府及び国内企業は、上記の方向に沿って動いています。

本日の記事で注目することは、ハイブリッド車(HV)やエアコン用の高性能モーターに使う磁石材料に加えるジスプロシウムの使用量を、ゼロにする方法の開発をオールジャパン体制で開始することです。

ジスプロシウムは、強力磁石を実現するために現時点では使用する必要のある材料であり、中国から需要分の9割を輸入しています。

もし、中国がジスプロシウムの輸出を全面禁止したら、国内の主力産業の一つであるHVやエアコンの生産に大きな影響が出ます。

ジスプロシウムや他のレアアースに代わる代替品の開発・実用化を早急に行う必要があります。関係企業の創意と工夫で、開発期間の短縮と製造コストの低減を強く期待します。

代替品が開発できても、製造コストが高くなれば普及しません。今までのレアアース代替品開発をみていますと、安い調達費で購入できる汎用材料を主にしたものになっているとみています。

ジスプロシウムの代替技術・代替品にも、材料費や製造コストを安くする工夫で実用化することを大いに期待します。

国内企業が開発・実用化した代替技術や代替品自体は、国内企業が製品に使用するだけでなく、状況によっては当該素材・部品などを海外企業に輸出するビジネスモデルも取れます。

また、国内企業の競争力を維持するために、代替技術・製品を国内企業のみの使用に限定するやり方もありです。海外企業からも調達希望が多く出るとみます。どの企業もレアアースを特定国からの調達に依存したくないからです。

大量生産して代替品の製造コストを下げた方うが得策と判断できるなら、海外企業に販売する選択肢を取れます。

レアアース代替技術・部品・製品の開発を短期間に立ち上げ・実行できるのは、国内に素材、部品、製品までの一貫した企業や産業が集積していることによります。

これは、現在の日本の競争力の源泉の一つです。

官民が一体となって進めているレアアース代替技術・製品が、国内企業競争力の源新たな泉の一つになるように、守り・発展させていく創意工夫が必要です。


過去にたびたび起こった韓国や中国などへの技術流失をしっかりと防ぐ手立ても確立することが重要です。

いわゆる、機密情報の管理は、創意・工夫で一定程度まで効果を上げられます。


環境対応技術・製品、医療関連機器、電池などは、今後の国内産業が新規事業として伸ばす必要のある分野です。

これらの技術・製品には、現在多くのレアアースが使われている実態があります。究極的にはレアアースを全く使わない技術を確立することを期待します。

それまでは、レアアースの調達先を国内を含めて多様化してリスク分散を行うことを並行して行っていく必要がありますし、政府や企業もそのように動いています。

レアアース代替技術・部品・製品が確立する過程では、中小企業にも多くの事業機会が生まれますので、力のある企業は大いに活躍できます。

今後のレアアース代替技術・部品・製品の展開に引き続き注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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