物件には、土地付きと借地権があります。土地付き物件は生涯に渡って物件の土地所有権を持っているのに対して、借地権の物件は、「一定期間、毎月借地料を支払ってその土地の借地権を地主から賃借し、物件を享受する」ものです。
さて、不動産を所有するに当たり、土地付き物件にするか、借地権物件にするか、迷うところです。
というのも、ハワイのように、土地そのものが狭く高価なところでは、必然的に土地付き物件は価格が高くなっているに対し、借地権の物件は、価格が低く、当然、選択肢としてそちらの物件に目が行きがちです。
また、以外と借地権の物件にロケーションがいいものがあったりするのも心を動かされる要因の一つです。
物件の購入価格は低いのにロケーションが良かったりして賃貸に出した場合、高い賃料が取れるなら、結局リターンも高くなり、投資家もそこに注目します。
それでは、「借地権の物件」の方が購入に適しているのでしょうか。
先にも述べた通り、借地権というのは、「一定期間、毎月借地料を支払ってその土地の借地権を地主から賃借し、物件を享受する」わけですので、この期間が終了すると、使っていた物件は手放さなければなりません。
そこで、借地権の物件を購入するには、以下の点を検討する必要があります。
1.月々の借地料
2.現在の借地期間がいつ満了となるか
3.次の借地権の交渉はいつか
4.この借地権は購入が可能か、過去にこの借地権が売り出されたことはあるか
5.地主は誰か
という点です。
コンドミニアムで言うと、月々、物件に支払う管理費と固定資産税があり、借地権物件は、これに毎月借地料が加わりますので、借地料が高いと毎月の支払いがかなり負担となります。
次に「借地期間」についてですが、現在の借地期間が切れればまた、次の借地契約を結べばよいというものではありません。むしろ、期間が切れれば、借地権は地主に返し、物件も手放さなければならないものも結構あり、そのような物件は、契約の切れる前に破格値で売り出されていたりします。つまり、借地権の残りの期間が短ければ短い程、その物件の価値が低くなるということです。
また、借地権の契約内容によっては、ただ物件を引き渡すだけでなく、細かな取り決めがあるものもありますから、契約前にその内容を吟味することが大切です。
当然のことながら、この借地契約には、次の交渉年や借地料の決定方法も取り決められていますが、ローンで購入され、30年ローンを組むには次の交渉年、つまり残りの借地権の期間が30年以上必要ということも考慮しておかなければならない点です。
次の借地料が急激に上昇することもあります。こうなると、ローンを払えなくなる可能性も高まり、同時に、そのようなコンドミニアムオーナーが増えることで、物件の価値が一時的に下がり、売買に影響を与えることもあります。
そこで大切なのは、「その借地権が購入可能か」という点です。
ワイキキのど真ん中にあるフォスタータワーは長年借地権物件でしたが、最近、土地の所有権を売り出すようになりました。
このように、土地の所有権が売り出された場合、「いくらで購入可能か」、「購入期限はあるのか、あるとすればいつまでか」を検討します。
借地権は、一定期間だけ売り出して、後に売り出さないという場合もあれば、いつまでも売り出しているものもあります。当然、後者はリスクが少ないですが、借地権の金額が高すぎると再販がむつかしくなる場合もあるので、この金額も要注意です。
そして、個人か、オーナー協会か等、その土地の地主が誰であるかによって今後の売買に影響を及ぼすこともありますから、借地権の物件の場合、これも検討材料に入れておく必要があります。
以上、借地権の物件は、土地付き物件と比べ、安価ではあるが、色々なリスクもあるということです。しかし、色々な条件を考慮して行きついたのが借地権の物件ということもあります。
投資家なら数字だけで見ることもできますが、そうでない方は、数字だけではなく、物件購入に当たって考慮される条件はひとそれぞれ。結局は、その物件で自分が満足して楽しめるかどうかということではないでしょうか。
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