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日経記事;"iPhone5の中国工場、ストで一時稼働停止"に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月7日付の日経新聞に、『iPhone5の中国工場、ストで一時稼働停止 3000人規模』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『米アップルの新型スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone5」を受託生産する河南省鄭州の工場で従業員のストライキが起きて一部ラインの稼働を一時停止したことが6日、明らかになった。

広東省東莞の工場でも労働争議が発生した。中国では今年に入ってアップル製品の工場で暴動やストが相次いでいる。中国に依存した生産体制が抱える問題が改めて浮き彫りになった。

iPhone主力生産拠点である鄭州工場の労働問題は解決していない。
 
 いずれも短期間で収拾し、出荷への影響は明らかになっていないが、ストの連鎖が続けばアップル製品の世界への供給に不安が強まりそうだ。

一部ラインの稼働を停止したのは、世界最大のEMS(電子機器の受託製造サービス)である台湾の鴻海精密工業の中国子会社、富士康科技集団(フォックスコン)の鄭州工場。富士康の関係者が6日、日本経済新聞の取材に対して従業員のトラブルが発生したことを認めた。

鄭州工場の従業員によると、5日にiPhone5の外装加工ラインでトラブルが起きた。加工の品質をチェックする検査員が従業員に不合格と告げた際に口論となり、殴り合いに発展。衝突はすぐに収まったが加工ラインの約3000人がストライキを起こしたという。検査で不合格が多い場合は給料が減るため不満がたまっていたという。

別の従業員によると、休養が不十分だったことも暴動の一因とみられる。中国の多くの企業は10月初めの国慶節にあわせて約1週間の休暇を従業員に与える。だが、同工場の休暇は1日だけで、毎日3時間以上の残業も強いられたとしている。

中国メディアによると、富士康は鄭州工場で大規模な暴動やストライキが起きて稼働が止まったことを否定。ただ、小規模なもめごとがあったことを認めているという。関係者によると、一時的に休止したラインは6日までに再開した。

鄭州工場は品不足とされるiPhone5の主力工場で従業員数は18万から20万人。もう一つの主力工場である太原工場(山西省)で9月に従業員の暴動が発生。一時的に操業停止に追い込まれたため、鄭州工場の負担が重くなっていた。

香港の有力紙、明報によると、iPhone5の部品を生産する台湾系の富港電子の広東省東莞の工場でも5日に労働争議が起きた。鴻海の郭台銘董事長の弟の郭台強氏が創業した会社とされる。

休暇を認めてもらえなかったうえ、解雇され月給をもらえなかった労働者が9月29日に工場で飛び降り自殺したことを巡り、遺族と警官隊が工場の門の近くで衝突。従業員数千人も集まり、残業の多さなど労働条件の悪さを訴えた。』


最近の反日暴動により、日本企業の一部工場は、略奪や火災などの被害を受けました。但し、この影響は、現時点では限定的です。

国内中小製造業者でこれから海外進出を考えている企業は、海外の動向により注意深く情報を収集し、検討・計画する必要があります。

中国では、上記アップルのiPhoeやiPadを作っている工場だけでなく、日本企業が運営する工場も労働争議の問題が発生するようになっています。

賃金や労働時間の改善などを要求し、状況によってはストライキが発生します。この問題は反日暴動前から起こっていました。

ここ数年の間に、中国政府の政策により労働者賃金は急上昇しています。また、一人っ子政策の影響で労働者人口が減少しつつあります。

この結果、労働者の立場は強くなり、権利意識も向上しています。いわゆる、労働集約型のきつい仕事には求人をかけても労働者を集められない事態が起こっています。

特に日本企業が運営する工場では、反日感情の影響で当分の間、労働者争議が起こり易い状況が続くことが予想されます。

中国はここ20年間で世界の工場としての地位を確保して、発展してきました。しかし、中国の工場環境は激変しつつあります。

中国から他国に輸出するというビジネスモデルは崩れつつあります。

アップル製品は、台湾の最大手EMSメーカーである鴻海精密工業によって中国国内で作られています。今後も、鴻海が中国を輸出基地として使い続けるのかどうか、注目しています。

鴻海がEMSの工場を中国外に作れば、輸出基地としての役割が大きく変わる可能性があります。

一方、中国は13億人の巨大市場です。上記しました様に、国力の発展や労働者の所得向上で、巨大な市場に発展しています。

この中国に食い込んで売り込むためには、国内中小企業は当該市場の要求仕様・機能・価格にあった製品を供給する必要があります。

中国向け輸出で収益を上げられない場合、一つの選択肢として中国に工場を作る決断をする必要があります。同時に販路開拓を行うことも重要になります。

上記のことは、中国内の市場・顧客開拓や獲得のためには必要なことです。

しかし、中国の工場で作ったものを輸出する事業については、安易に投資・展開しない姿勢が重要になります。

事業している分野や顧客などにより、状況は異なりますが、再輸出目的で新規に工場を作っても、高騰する労働者賃金や労働者確保などの問題に直面するリスクが高くなるからです。

本ブログ・コラムでも何度か書きました様に、繊維・アパレル事業のような労働集約型の企業は、工場を中国からバングラデシュ、インドネシア、ベトナムなどのアジア各国に移管しつつあります。中国国内の工場では採算が取れなかったり、労働者確保が難しいためです。

国からこれら新・新興国への工場移管を始めたのは、労働集約型の上記縫製業や靴、カバン、玩具など軽工業品が中心となっています。

もともとこれらの企業は、ほぼ無尽蔵にあると思われていた安価な労働力をあてにして中国に工場進出し、作った製品を日本に逆輸出するケースが多数を占めていました。

従って、中国国内で安く製品を作れなくなれば、もっと労働力コストの安い、他の国に工場を移すのは当然のことです。

例えば、バングラデシュは、労働者の平均月収が25ドル(約2200円)と世界最低レベルにあります。また、日本貿易振興機構(JETRO)の調査によると、中国の工場労働者の平均月収が217ドル(約1万9000円)であるのに対し、ベトナムでは101ドル(約8800円)となっているとのこと。

このような状況を反映して、国内及び中国に進出した中小・中堅製造業の新・新興国への工場建設加速の動きが活発になっています。

日本企業が中国以外の労働コストが安い国に進出・投資するのは極めて合理的です。


一般的に、国内企業が海外進出する時のパターンは、中小企業庁が発表した「2006年度版中小企業白書」などをみますと、下記4つのパターンになります。

〔1〕製造工程のコストダウンを目的として進出するケース(現地販路開拓はせず、製品を日本に逆輸入する)
〔2〕親企業の海外進出に伴い、要請を受けて進出するケース
〔3〕親企業を含む海外進出した日系企業との取引維持・拡大を目的に自社判断で進出するケース
〔4〕現地市場での新規顧客開拓をターゲットに進出するケース

これから海外進出・展開を考えている中小企業は、自社の行動目的が上記四つのパターンのどれに相当し、将来どのパターンに移るかなどを考えて事前準備を十分に行う姿勢が重要です。

また、海外進出は失敗するリスクがありますので、事前に撤退条件や方法についても明確に決めておき、その様な事態に直面したら迷わず当該方法に従って実行することがやけどを最小にするポイントになります。

少なくとも私が行う海外進出支援は、上記メニューを持って行っています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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