日経記事;"iPS細胞、効率よく培養 ニコンや島津が専用装置"考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;"iPS細胞、効率よく培養 ニコンや島津が専用装置"考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 各種の新規事業・事業拡大
経営戦略 新規事業開拓・立上

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月6日付の日経新聞に、『iPS細胞、効率よく培養 ニコンや島津が専用装置 再生医療の普及に弾み』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
 『ニコンはあらゆる組織に成長できるiPS細胞から研究や治療に使う良質なものだけを自動選別する技術を開発した。研究機関や製薬企業向けの装置を1~2年以内に商品化する。

島津製作所もiPS細胞から作った治療用の細胞を効率よく培養して増やす装置を開発した。半導体関連装置などで培った画像処理や制御の技術を応用した。専用装置が実用化すれば、iPS細胞を使った再生医療の普及に弾みがつきそうだ。

病気やケガで失った体の機能を回復させる再生医療は、人工の皮膚や軟骨を使った治療が始まっている。政府は成長戦略の中で再生医療を新たな産業に育てる目標を掲げており、関連装置の市場は2015~20年ごろには世界で数千億円規模になるとの予測もある。

今後、京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞の利用が本命視されているが、品質が悪いとがん化する恐れがある。今は人手で選別、培養しており、治療に使うと患者1人あたり1000万円近くかかる。安全性を確保してコストを下げるには、良質な細胞を確実に選別し、効率よく増やす専用装置が必要だ。

ニコンが独立行政法人・医薬基盤研究所などと開発したのは、画像処理でiPS細胞の品質を見分ける技術。主に半導体の検査装置で磨いた技術を応用し、iPS細胞の形状から再生医療などに適した細胞を見分ける。


★iPS細胞以外でも再生医療用装置を開発する動きは広がる (企業:内容)
●カネカ:細胞を培養できる卓上装置を開発
●日立製作所: 細胞を移植に適したシート状にする装置を開発
●川崎重工業:無菌状態でロボットが細胞を操作する装置を販売
●パナソニック: 無菌状態で人間が細胞を操作する装置を販売
●ソニー: 細胞の分析装置を販売


普通の細胞を観察する装置を研究機関などに販売しており、これをiPS細胞向けに改良する。1台1000万円程度の既存装置に機能を追加する考えで、まずは研究用途の需要を見込む。

島津と大阪大学などは、iPS細胞から作った目の細胞を再生医療に使える品質にそろえながら培養する装置を開発した。不良品を除去する画像処理には大日本印刷が開発した技術を採用した。今後、再生医療を手がける病院が導入しやすいよう小型化する。

iPS細胞からは心臓の細胞や神経細胞など治療に使う様々な組織や細胞の作製が可能で、再生医療の対象となる病気は一気に広がる。

理化学研究所のチームが13年度にも世界初の臨床研究を実施する方向で準備を進めている。目の細胞を作製し、高齢者に多い目の難病、加齢黄斑変性の患者に移植する計画で、島津などは開発した装置を納める予定。

再生医療の研究を支援する機器の開発は加速しており、ソニーやパナソニック、川崎重工業など異業種企業が参入している。ただ、iPS細胞を見すえた専用装置は海外でも珍しく、大手の参入はまだないという。』

日本は、京都大学の山中教授が中心となって開発を進めてきたiPS細胞に関する技術の最先進国です。
最大の競争相手は米国勢です。

学界だけでなくビジネス面でも日本と米国勢との戦いは熾烈になってきています。良い意味で両国が切磋琢磨して開発を進めれば、iPS細胞を使った再生医療はまもなく人類に大きな恩恵をもたらす見込みです。

国内企業はその潜在性と成長性にビジネスチャンスを見出し、多くの製造企業が研究・開発を進めています。

世界中の人たちにiPS細胞関連技術・製品を使ってもらうには、安全、且つ、低コストであることが最重要です。

記事にありますように、iPS細胞は品質が悪いとがん化する恐れがあります。iPS細胞を使いこなすには、品質が良いiPS細胞を選別する必要があります。

現在、この選別作業を人手で行い、更に培養も人手で行っていますので、治療にかかる費用は患者1人当り1000万円かかるとのこと。

これでは、iPS細胞技術は普及せず一般患者の救済には貢献できません。

今回、ニコンが開発したのは、あらゆる組織に成長できるiPS細胞から研究や治療に使う良質なものだけを自動選別する技術です。

島津製作所も同じような技術・装置を開発したとのこと。

両社とも半導体製造・検査装置で培った技術をもとに、画像処理や制御技術を駆使して当該装置を開発しました。

2~3年後には実用化するように、両社は技術開発を進めるとしています。

この装置が実用化されますと、低コストでiPS細胞から様々な組織や細胞の作製が容易になり、一気に再生医療の対象分野が拡大します。

心臓、肺、目などに関する深刻な病気の決定的な治療法と言われる、再生医療実現化のハードルを下げることになります。

上記記事にありますように、多くの国内企業がiPS細胞を含む再生医療用装置を開発・商品化しています。

当該装置は、画像処理やITを使った制御技術だけでなく高密度実装技術などの基礎的な製造能力も要求されますので、国内企業が得意とする領域です。

パナソニックやソニーのような、電機メーカーも参入してきています。医療専門企業だけでなく、他業種からの参入で、各関連装置の開発競争が活発になれば、世界中の患者に再生医療を低コストで受けられる環境を国内企業が作ることに貢献できます。

同時に、国内企業は、iPS細胞を含めた再生医療技術・装置で世界をリードでき、勝ち組になれます。

パナソニックやソニーなどの家電メーカーは、汎用化した液晶テレビで多額の赤字状態にあります。汎用化した事業分野では、韓国・台湾・中国勢の力が強いのでその事業分野に特化しても、差別化・差異化が出来ませんので早期に見切りを付ける必要がありますし、そのように実行しています。

並行して、成長性が見込まれ、差別化・差異化が図れることで異常な価格競争に巻き込まれない新規事業分野への参入が必要です。

医療分野はその一つです。世界人口が増え、長寿化していますので、病気を持つ患者数も増えていきます。

低コストで再生医療を受けられる装置を開発・製品化していけば、大きな市場を形成できます。必要となる高度画像処理技術や分析技術などは、医療専門企業だけでなく半導体や電機関連企業なども潜在能力を持っています。

例えば、最近、オリンパスとの提携を決めましたソニーは、これをてこに医療事業に本格的に参入し、将来年間2000億円の売上目標を示しています。

ソニーもMOSやCMOSに代表されます世界ナンバーワンのセンサー技術や、医療用の高精細度モニターなどを持っています。

これらの技術・製品などと分析機能を強化した新技術を加えれば、iPS細胞関連装置の開発・製品化も可能になるとみます。

これが実現すると、ソニーの医療事業に大きな援軍になります。

多くの国内企業が切磋琢磨して、iPS細胞を使った再生医療を実用化し、大きな市場を形成することを期待し、今後も各企業の動きを注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム