日経記事"(核心)海外移転過ぎたるは製造基盤弱め競争力そぐ"考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事"(核心)海外移転過ぎたるは製造基盤弱め競争力そぐ"考察

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皆様、

おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月1日付の日経新聞に、『オピニオン (核心)「海外移転」過ぎたるは… 製造基盤弱め競争力そぐ』のタイトルでコラムニストが記事を書いています。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。 

『「米国は脱工業化でも生き延びられるという仮説を検証してきたが、いますぐ、この実験をやめなければならない」

ハーバード大のゲイリー・ピサノ教授らは今春、危機感あふれる論文を発表。製造拠点の海外移転によって、優れた製品を生む能力が弱まり、バイオ、航空宇宙、医療機器など重要分野で米国の優位性が脅かされていると警鐘を鳴らした。

日本企業にとって、人ごとではない。尖閣諸島問題をめぐる中国の反日行動でかの国への生産移転の危うさが認識されたが、その前からある懸念だ。海外移転が日本の競争力などに及ぼす影響を、企業も国も立ち止まって考える時だろう。

「新製品の試作品は自社で作っても、量産技術を確立せず海外に生産委託する日本企業が増えた」と語るのは、日本メーカーとの接点が多い米ボストン・コンサルティング・グループの水越豊日本代表だ。

それは製造技術に優れる外国企業が育ったことの裏返しでもある。シャープへの支援に期待がかかる台湾の鴻海精密工業はその代表格。だが、もし国内の製造技術が競争力を失うなら悲劇だ。米国では新技術を考えたベンチャー企業が、製品化する企業を見つけられない事態にもなった。

冒頭のピサノ教授の論文は、バイオ医薬品、ナノ素材、有機EL、超微細加工品などのハイテク分野では「製造工程の技術革新が活発で、それが製品に影響を及ぼすので、製造部門と研究開発部門の連携が重要」と指摘。製造部門も国内に持つべしと説く。

こうした、開発と製造の様々な部署間の密接な連携・調整が「なお多くの日本の現場の持ち味」とみるのが藤本隆宏東大教授。設計・試作の段階でもたくさんの調整が必要な「擦り合わせ型製品」で競争力のあるものを生むためにも、調整能力の高い開発、製造の現場を残すよう訴える。

設計がしっかりしていれば既存の部品でも作れる家電などは生産移転になじむ。だが日本の強みの調整作業がモノをいう新素材など多くの分野で製造の海外移転が進むなら心配だ。

また、深尾京司一橋大教授は「日本は資源など多くを輸入しなくてはならない。その外貨を得るため国内総生産(GDP)の15%程度の輸出は今後も必要」と指摘する。

雇用の創出でも頼りになるのは結局、製造業というのがオバマ米政権の結論。

製造業の国内回帰を促すため法人税減税を掲げる。

円高定着などで海外移転もやむなし――。経営者の偽らざる気持ちだろうが、あきらめるのは早い。

企業にもできることはまだあろう。「日本の工場の大半は、理にかなった作業改善により生産性を無理なく2~3倍以上に高められる」と藤本教授はみる。

もう一つは本社の戦略だ。特徴ある製品の開発やブランド戦略で付加価値の高い製品を輸出できれば、国内生産でも引き合う。

富士重工業のスバル車が好調で、8月の米国での販売台数は前年同月比36%も増えた。小売りの値引きは1台平均800ドルで他社の3分の1。無理な値引きをせずに済んでいる。

「別に高級路線を狙ったわけではない」と吉永泰之社長。「高い安全性や振動の少ない水平対向エンジン、四輪駆動などの技術を裏付けに、安心でたのしい車を目指して差別化を徹底した結果」と受け止める。

販売総数の8割弱を国内で生産しており、群馬県内の工場の一部は土日を含めフル操業という。

技術による差別化といえば、半導体の世界最大手でパソコンの心臓部などに使うMPUで圧倒的な競争力を誇る米インテル社では、75%が国内生産だ。

。。。。

もちろん、国内生産の魅力を高めるため政府の後押しも必要だ。先述の深尾教授は法人税減税や自由貿易協定、そして「国際通貨制度を改革し、安すぎる人民元などを妥当な水準にする」政策を提唱する。特に円高是正が急がれよう。

成長のため医療・介護産業などの育成は重要だが、競争力の源である製造の基盤も大切にした方がよい。国も、そして経営者も。』


製造業の海外進出には、二つの意味合いがあります。

一つは、労働賃金を含めた安い製造コストを求めて、海外に工場を作ることです。衣料・アパレルなどの労働集約型事業がその代表事例になります。この場合、多くの生産された製品は輸出されます。国内に未だ消費市場が整っていないからです。

二つ目は、消費者がいて市場が確立している場合です。当該市場の要求仕様・機能・価格に合った製品を製造するために、市場に近いところに工場を作るやり方です。

第一ケースの代表事例がタイや中国への工場進出です。これらの国々で作った製品を日本を含めた他国に輸出していました。

第二のケースは、欧米市場に工場を作ったことです。欧米進出した国内製造メーカーは、当初国内の工場で作った製品を輸出していました。

その結果、欧米市場では国内品の機能・性能の良さが認められて売上が伸びましたが、現地企業の破たんによる雇用喪失や、巨額の赤字になった貿易収支の改善要求などから、徐々に市場で近いところで現地生産する割合が増えてきました。

第一のケースの進出先の国々は、日本や他国からの工場進出や投資などで、国内の国民所得が向上し、消費市場としての力がついてきました。タイや中国が事例になります。

現在、タイや中国進出のへの目的には、他国への輸出だけでなく当該地域にいる消費者・市場に販売する比重が多くなっています。市場が育ってきたことによります。

市場が育ってきますと、必然的に労働賃金も上がっていますので、安い製造コストを目的にした工場運営は難しくなります。

繊維産業でみますと、中国での生産は、賃金の高騰と労働者の確保の困難さから継続が出来なくなりつつあります。

最近、繊維工場を中国から、バングラデシュ、ベトナム、ミャンマーなどに移管する動きが出ているのはこのためです。

国内中小製造業は、既存顧客の海外移転や円高による採算悪化などで、海外に製造拠点を移す企業が多くなっています。

私にも、中小企業から海外の販路開拓や工場移管などの相談件数が増えています。

海外の販路開拓には、二つの理由があります。一つは、国内顧客からの注文が減ったことによる海外市場での新規顧客開拓です。もう一つは、既存製品の輸出採算性が悪化したことから、新製品向けの輸出販路開拓です。

工場移管については、既存顧客からの要請、国内での競争激化、注文の激減などから新天地での開業による再生など様々です。

私は、輸出品の販路開拓には積極的に検討し、円高でも採算が確保出来る目処がつけば、計画・実行まで早期に動きます。

工場移管については、失敗した場合の影響が大きいので様々な視点から現状を確認・調査した結果に基づいて、アドバイスしています。

検討する視点は以下のようなものです。

・既存顧客の状況とVOC
・開発・設計・製造コストの状況とコストダウンの可能性検証
・国内販路の状況と改善の可能性
・製品・サービスの実力と他社の競合品との比較、シェアなどの確認
・従業員の技術力
・製造業の仕組みとビジネスモデル(収益確保)の再構成の可能性検証、など

幾つかの事例で言いますと、自社製品の強みを最大限にして欧米市場の医療などのニッチ市場に輸出したケースや、自社のビジネスモデルを見直して開発先行型企業に変身し、製造や販売を国内他社に委託したり、国内他社と連携して、自社を身軽にして勝ち残ったケースがあります。

安易に海外進出を考えないことが、上手く行った理由の一つです。

国内には、まだ多くの中小企業が存在しており集積パワーが強く残っています。知恵と創意工夫、及び熱意があれば、国内で事業継続できる分野は多くあります。

その観点から、本日のコラムニストによる見解に共感します。

私は、1社でも多くの国内メーカーが、国内に残って事業継続できるように支援する気持ちを再確認しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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