(2)遺産分割の具体的方法
遺産分割の具体的な方法としては,現物分割,換価分割,代償分割,用益権の設定,といったものが考えられます。
ア 現物分割
現物分割は,相続財産を例えば,土地建物は長男,預金は妻,というように現在ある相続財産をそのままの状態で各相続人に分配する方法です。
イ 換価分割
換価分割は,相続財産を全部または一部を処分して,その売却代金を各相続人に分配する方法です。この方法は,現物分割が困難な場合や相続税納税資金の捻出のために行われることもあります。
ウ 代償分割
代償分割は,一人または数人の相続人が相続財産を現物で取得する代わりに,他の相続人に対して代償債務を負担させる方法です。この代償分割を使えば,後継者に相続財産を集中させることができます。もっとも,後継者に事業承継に必要な資産や株式を集中させると,その代償債務は膨大な金額となるのが通常です。しかも,他の相続人は可能な限り一括払いを望むと思われ,それが不可能で分割払いとなれば,代償金の支払いにつき担保を求めてくる場合もあるでしょう。
エ 用益権の設定
用益権の設定とは,相続財産である建物を妻の所有としておいて,長男が賃借するなどして建物を利用する方法です。
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