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村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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日経記事;"ソニー交渉10カ月、粘って実利 オリンパスと提携"考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

9月29日付の日経新聞に、『ソニー交渉10カ月、粘って実利 オリンパスと提携 内視鏡会社設立、主導権握る』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『ソニーとオリンパスは28日、資本業務提携すると発表した。ソニーがオリンパスに500億円を出資し、11.46%を持つ筆頭株主になる。

外科手術に使う新型内視鏡などを開発する共同出資会社を年内に設立する。過去の損失隠しの訂正で悪化した財務を回復するため、オリンパスが複数の企業と交渉を始めて約10カ月。ロングラン交渉の背景には微妙な駆け引きがあった。

オリンパスは昨年11月、粉飾決算があったことを公表した。株価は500円を割り込み、不祥事が発覚する前の5分の1以下に落ち込んだ。「資本増強をしなければ経営が安定しない」(幹部)

■出資比率で譲歩

同12月、他社から1千億円規模の出資を受け入れる交渉は始まった。しかし決着には長い時間がかかった。年明け以降にオリンパス社内のムードが変わったからだ。

今年1月、東証が上場維持を決めた。主力の内視鏡で「オリンパス離れ」も起きない。経営陣の間では「受け入れる資本は減らし、自主性を確保した方がよい」(役員)との声が高まった。

出資に名乗りを上げる企業が複数にのぼるなか、オリンパス社内のムードはソニーを有利にした。再建に向けて新規事業の開拓が不可欠な同社にとって、オリンパスとの提携はまたとないチャンス。「事業でシナジー(相乗効果)を出せれば出資比率にはこだわらない」(ソニー幹部)との立場だったからだ。

6月下旬、オリンパスは提携相手を事実上、ソニーに絞り込んだ。しかし、そこからさらなる曲折が始まった。

交渉を確実にまとめたいソニーはオリンパスに独占交渉権を求めたが、オリンパスはこれを拒否。ソニー幹部は「オリンパスが何を考えているのかよくわからない」とぼやいた。

■役員派遣も通す

 オリンパスがあいまいな態度を取ったのは、ソニーが500億円出資の見返りとして役員の派遣と療機器分野での共同事業化を求めたためだ。「経営の自主性」の声はさらに高まり、交渉は引き延ばされた。そのさなか、今度はテルモが経営統合を提案した。

オリンパスは独自の動きをとっていた。財務基盤は充実するが、事実上唯一の交渉先であるソニーの影響力は抑えるため、必要な500億円の一部を投資ファンドに出してもらおうとした。

「オリンパスはまだリストラが必要。現在の株価では十分な投資収益を見込みにくい」。9月早々、ファンドが出した結論はオリンパスにとって残念な内容となった。前後して取引金融機関からは提携交渉の早期決着を求める圧力も強まった。

「もう一度話し合いましょう」。9月上旬、オリンパスは再びソニーに歩みより、ソニーが役員を派遣、内視鏡開発の共同出資会社で主導権を握るなどのスキームがまとまった。28日夕方、テルモに提案拒否の連絡が入った。実利を求めたソニーの熟柿作戦は実った。』


9月28日付の日経記事で、オリンパスとソニーは、提携することについて発表されました。ソニーがオリンパスに500億円を出資し、11.46%を持つ筆頭株主になるとのこと。

本日の記事は、両社が10カ月間の長期交渉となった背景について書いています。通常、提携やM&Aは、長期間の交渉となると、破談になるケースが多くなります。

この提携が両社にとって真の「Win/Win」の関係が構築・確認を取れるまで、経営幹部の意識や思惑、自社に有利な条件引き出しなど、様々な交渉が行われたのだと推察します。

今回、提携が成立した背景は、ソニーの鷹揚さがあることが記事内容から伝わってきます。ソニーは、汎用化したテレビ事業に代わる新規事業の柱を探し続けており、一つの選択肢案が医療でした。

医療産業は、人口増加と高齢化で市場規模が拡大しており、今後も着実な成長が見込まれます。この医療分野に、得意のセンサー技術などを活用した医療機器の製品展開で新事業を立ち上げるやり方です。

医療市場は、既に多くの医療機器メーカーが参入しており、独自の製造・販売ネットワークを構築しています。

そこに部外者メーカーが新規参入することは非常に難しい状況になっています。ソニーが医療市場に参入するには、現在医療事業を行っている企業を買収するか、当該企業との提携:アライアンスが必要でした。

オリンパスが損失隠しなどの問題で経営状態が悪化し、財務基盤を安定化させるため、500億円の第三者割当増資を引き受けてくれる提携先探しを始めました。

ソニーにとっては、医療市場への参入の絶好の機会が生まれましたので、積極的にオリンパスに増資提案を行いました。

その結果、10カ月の長期交渉になりましたが、両社にとって「Win/Win」関係の確認が取れて、ソニーが出資比率11.46%の筆頭株主になり、2012年12月中に外科用内視鏡の開発などを手掛ける共同出資会社を設立することで合意が成立したとのこと。

医療事業は、人の命に直接かかわるものですので、常に最先端の技術・製品が要求されます。技術競争は激しいですが、他社と徹底的な差別化・差異化を実現できれば、価格競争に巻き込まれないでビジネスができます。

ソニーはそこに魅力を感じ、センサーなどの得意技術で差別化した内視鏡から事業開始することを決めました。

この決定とオリンパスとの提携成功は、ソニーにとって飛躍の可能性を引き出します。直ぐに、テレビ事業の収益を補う事業にはなりませんが、医療市場での足がかりを得たことは大きな意味があります。

テレビ事業の縮小などに伴う合理化を徹底的に行いながら、医療事業の早期立ち上げを行うための積極的投資が必要です。真の意味での「集中と選択」を行うことが肝要です。

ソニーの手本となる企業は、米GEです。GEもかって家電製品を多く作っていましたが。日本メーカーとの競争などで収益が悪化した結果、大幅に製品群を見直して撤退しました。

並行して、多くの新規事業分野を立ち上げました。その中に医療用画像機器があります。GEは医療分野に巨額投資を行い、現在ではGEを支える事業分野の一つになっています。

ソニーは、参入する医療分野では新参者です。オリンパスとの提携で老舗企業と共に事業展開できますが、大きな飛躍を図るには積極的な投資が必要です。

内視鏡から出発し、どの製品群まで拡大するか早期に青写真を描いて、実行することが重要です。短期間に必要な製品群を手に入れるには、M&Aやオリンパスと同じような提携;アライアンスを行って事業するやり方が重要になります。

ソニーが積極的な経営活動により医療を早期に事業の柱の一つにすることを期待し、今後の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

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