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日経記事;"石炭火力発電の新増設を検討 環境評価見直し"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

9月25日付の日経新聞に、 『石炭火力発電の新増設を検討 環境評価見直し 政府、原子力の代替で 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『政府は環境への負荷の大きさから難しくなっていた石炭火力発電所の新増設を認める検討に入る。年内にも発電所の環境影響評価(アセスメント)を見直し、どのような場合に建設を認めるかをわかりやすくする。アセスの審査期間も短くし、民間事業者の投資を促す。

東京電力は当面、原子力に代わる電源として石炭火力を新設する方針で、来年にも新たな基準の下でアセスを申請する見通しだ。

★環境影響評価(アセスメント)の見直し項目 【短縮】
・火力発電所の更新の審査は国、自治体、事業者の協力で短縮
・火力発電所の新増設の審査を迅速化
・風力・地熱発電所の審査を迅速化
 
【簡素化】
・火力発電所の更新は影響調査を事実上、省略。「更新」の定義を拡大も
 
【その他】
・石炭火力発電所はどのような条件ならば審査を通るか明確化を検討
・発電所の更新では審査完了前でも旧設備の撤去工事を可能に
 
 
経済産業省と環境省が近く発電所のアセス見直しで協議の場をつくる。年内にもアセスの指針の大枠を固め、来年中の実施をめざす。

具体的にはどのような環境性能の設備ならば認められるのか、二酸化炭素(CO2)排出量の取引でカバーできるのかといった点を明確にする。審査を通った過去の事例も示し、事業者の参考にしてもらう。ただ、環境省は石炭火力の容認に慎重な姿勢で、議論は曲折も予想される。

石炭火力の新増設では06年に東芝やオリックスが山口県で、10年には三菱商事系の新電力が福島県でそれぞれ計画を中止した。CO2の排出が液化天然ガス(LNG)火力の1.5~2倍と多いため、アセスの審査で「不合格」となった。

09年に化学メーカーのトクヤマが増設を認められて以降、アセスを終えた石炭火力はない。民間事業者は「石炭火力は途中で事業を止められるリスクが高い」とみており、新増設が難しくなっていた。

石炭火力は燃料費が1キロワット時あたり約4円と石油の4分の1、LNGの半分以下と安い。このため夜間も運転する「基礎電源」として活用しやすい。先にまとめたエネルギー・環境戦略でも「石炭火力は基礎電源としてより一層重要な役割を果たす」としていた。

実質国有化中の東電は19~21年度の稼働をめざし、計3基・260万キロワットの火力発電所を建設する。建設では外部事業者も含めて今年度から入札にかけるが、コストが安い石炭火力になりそうだ。石炭火力が新増設されると電気料金の上昇幅を抑え、日本経済にも一定の好影響が期待できる。

一方、アセス見直しでは審査期間の短縮も焦点となる。細野豪志環境相は火力発電所の更新では期間を約3年から1年強にすると表明したが、協議では火力の新増設も条件次第で2年程度にすることを検討する。風力発電所や地熱発電所のアセスも最短で1年半程度にして、再生可能エネルギーを後押しする。

審査内容も簡素にする。火力発電の更新投資では環境にどんな影響があるかの調査を事実上、省略することを検討。石油火力から天然ガス火力への転換などを「更新投資」に含めることも課題となる。更新投資の際の旧設備の撤去工事もやりやすくする方向だ。』


日本国内事業者が火力発電に石炭を利用しないのは、固形であることの扱いにくさと高いCO2排出量です。

一方、石炭の資源としての価値は、石油やLNGなどに比べて購入価格が安いことです。また、豊富な埋蔵量も魅力です。

中国やインドでは、コストの安さから石炭による火力発電所を数多く稼働させています。これがCO2排出量の増加につながっている一因になっています。

日本国内では、記事にありますように環境省がCO2排出量に関し厳格な基準を設けており、当該基準をクリヤーする方式の実現が難しく、2009年以降、新規に石炭を使う火力事業者が出ていません。

本日の記事は、政府が石炭火力に関する審査基準の見直しを行い、国内に石炭火力事業所数を増やして、火力コストの削減を図る施策について書いています。

当面、原子力発電の方向性が見えない中で、代替エネルギー源として石炭火力発電を使うやり方は、発電コストの上昇をおさえると共に、石油やLNGに比べて調達が容易であることから賛成します。

国内の電力供給源の議論の中で、発電コストの低減化は非常に重要な課題です。太陽光発電などの自然再生エネルギー源の弱点の一つが高い発電コストです。

現在、多くの企業や研究機関が高効率の技術開発・製品化を活発に行っています。数年後には、自然再生エネルギー発電コストも下がってくるとみますが、原子力発電コストレベルまで下がるには、長い時間を要します。

石油とLNGは、調達コストの高さと、調達先が限定される課題があります。

石炭は、これらの課題を解決可能です。

インドに代表される新興国や新・新興国の全てが、電力供給問題を抱えています。これらの国々にとって石炭火力は、大きな魅力です。

CO2排出量の削減が可能になれば、石炭火力は大きな需要を生みます。

現行の石炭火力は、石油火力と比べてCO2排出量は約1.3倍とのこと。このCO2排出量を石油並みにおさえられれば、国内で石炭火力を数多く使えるだけでなく、当該石炭火力発電装置は日本にとって大きな事業機会になります。

8月3日に、日経記事;『石炭火力、CO2を2割削減 日立・東北大が新技術』に関する考察 [新規事業開拓・立上]のタイトルでブログ・コラムを書きました。

日立製作所の新技術は発電設備の耐熱性を高め、CO2排出が少ない効率運転を可能にするものです。
 
現時点では、最先端の設備でもセ氏600度までしか耐えられませんが、日立などは素材の改良でセ氏800度の高温運転に耐えられる新技術を開発したとのこと。

セ氏800度に耐えられる蒸気タービン型プラントができれば世界初となり、新技術を使った石炭火力プラントの発電効率(発電分から発電所で使う分を差し引いた送電端ベース)は50%で、従来の約40%から向上します。

発電量1キロワット時あたりのCO2排出量は約740グラムのため、800度の高温石炭火力プラントが実現すれば逆転します。

約600グラムの蒸気タービン型LNG火力のCO2排出量にも近づくことになります。

この日立の新技術の実用化は、2020年ごろとされていますが、可能であれば前倒しを期待します。
政府も後押しをして、国内に実験的な火力発電所を作り、日立などの実用化検証を加速して早期実用化に持っていくやり方です。

二つのメリットがあります。

一つは、CO2排出量を石油やLNG並みに押えながら、低コストの石炭火力発電事業所を数多く稼働させることで、総発電コストをおさえられる。

もう一つは、新石炭火力発電装置を国内環境事業の柱の一つとして、新興国や新・新興国を中心に輸出できることです。

環境事業は日本企業の得意分野であり、今後も医療などと同じように成長産業として強化して世界市場で勝ち組になる必要のあるものです。

国内で低CO2排出量を可能にする石炭火力発電事業を強化しつつ、日立などの技術促進を加速させ、
価格競争力にも磨きをかけて韓国、中国勢に打ち勝つ最先端の装置開発と実用化を実現することが重要です。

なお、日立は9月22日に、ポーランドの国営電力会社エネアから、石炭火力発電所の建設を受注したと発表しました。同国での受注は初めて。ボイラーやタービン、発電機などを供給するとのこと。
日立は石炭火力発電所の建設計画が多い東欧での事業拡大を目指すとしています。

汎用化した家電のような単品製品分野では、韓国や中国勢との競争が激しく、国内企業は苦戦を強いられています。

国内メーカーは、環境、エネルギー、医療などの社会インフラ事業とそれを支える部材、部品、製品などの事業分野で勝ち組になることが最重要です。

単品中心の競争から脱却するやり方を再考し、実行する時期に来ています。

石炭火力発電事業は、その試金石の一つになるとみます。
今後の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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