日経記事;"ルネサスを官民で買収へトヨタ/パナソニックなど"考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

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日経記事;"ルネサスを官民で買収へトヨタ/パナソニックなど"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

9月22日付の日経新聞に、『ルネサスを官民で買収へ トヨタ・パナソニックなど 年内に1000億円超出資』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『業績不振の半導体大手、ルネサスエレクトロニクスに対し、トヨタ自動車やパナソニックなど日本の製造業を代表する企業が、政府系ファンドの産業革新機構と組み、1000億円超を共同出資する方向で調整に入った。

すでに交渉中の米投資ファンドへの対抗案をつくり、年内に過半数の株式取得を目指す。ルネサスは車や家電を制御するマイコンで世界首位。基幹部品の安定調達に向け、官民挙げて異例の支援体制を組む。

出資企業としては日産自動車やホンダ、キヤノン、ファナックなどの名前が挙がっている。自動車部品メーカーではトヨタ系のデンソー、ホンダ系のケーヒンのほか、世界大手の独ボッシュなど海外勢にも出資を求めている。

第三者割当増資などにより、産業革新機構と合わせて1000億円超を出資し、ルネサスを共同買収する方針だ。

現在、革新機構が中心になって出資案を策定中。10月中にもルネサス株主のNEC、日立製作所、三菱電機の3社や、三菱東京UFJ銀行、みずほコーポレート銀行など主力取引行に正式提案する見通し。

マイコンは車や家電製品、産業機械などに多く使われ、モーターなどの動きをきめ細かく制御するなど頭脳の役割を果たす。ルネサス製は長期間使っても性能が劣化せず、最先端品は他メーカーでの代替が難しい。

ルネサスの再建策をめぐっては、米投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が8月末、ルネサスへ約1000億円を出資する案を示した。

ただKKRが大胆な事業再編などに踏み切った場合、マイコンの安定調達に支障をきたす恐れもある。部品調達網の安定強化を目指すうえで、官民一体の支援の枠組みが必要と判断した。

ルネサスはデジタル家電などに搭載する高機能半導体のシステムLSI(大規模集積回路)が不振で、7期連続で赤字となっている。2013年3月期も1500億円の最終赤字を見込む。

このため約5500人の早期退職募集や、国内19工場を売却・閉鎖により半減させる大規模なリストラに取り組んでいる。システムLSIは富士通、パナソニックと事業統合に向け交渉中だ。

株主の電機3社と主力取引行による約1000億円の融資でリストラ費用は手当てしたが、巨額損失の計上で自己資本が急減。債務超過となるのを避けるため、自己資本を手厚くする必要に迫られている。

金融機関はKKRによる支援をいったんは受け入れる方向だった。だが中長期的にみて国内製造業の競争力強化につながる今回の出資提案が望ましいと考えているもようだ。

KKRはルネサス取締役の総退陣を求めているとされる。出資する条件として、金融機関や株主に追加融資などを要請していることも、KKRの支援を受け入れにくくしている。』


ルネサスは、自動車や家電製品などに搭載されるマイコンなどを供給している半導体メーカーです。

現在、唯一国内に残っているマイコンやシステムLSIを供給するメーカーであり、国内製造業はルネサスの供給に頼っている企業が多いのが実情です。

言わば、マイコンやシステムLSIなどの基幹部品供給を支えるインフラ分野を押えているのが、ルネサスです。

本来ならば、ルネサスはこのような産業のインフラを支えている国内唯一のメーカーですので、経営支援を受ける必要はないはずです。

ルネサスの経営の足を引っ張っているのが、システムLSIの巨額赤字です。ルネサスは、顧客である国内製造業のニーズを聞き取り、各顧客企業固有の要求仕様にあった特注品的なシステムLSIを供給してきました。

顧客企業は、このカスタムメイドシステムLSIを使って製品の差別化・差異化を実現してきました。海外勢、特に韓国、台湾、中国のアジア勢の企業が伸びてきて、汎用的なシステムLSIを搭載した廉価版の製品が売上拡大を実現してきました。

後押ししたのは、米国など海外のメーカーでした。汎用的なシステムLSIを大量に供給したため、ルネサスの当該部品は急速に競争力を失って巨額赤字に直面する事態になりました。

国内製造メーカーもカスタムメイドシステムLSIから汎用部品に切り替えを進めていますが、まだ道半ばです。

ルネサスが国内製造業界で重要な役割を持っていることを再認識させられたのは、昨年の大震災でルネサスの工場が壊滅的な被害を受け、システムLSIやマイコンを供給できない事態になったことでした。

この時、ルネサスは当初予想を超える速さで工場再稼働を実現しました。主要顧客企業である自動車や電機メーカーなどが、技術者をルネサスの被災した工場に派遣し再開を強力に支援したことによります。

これだけ、顧客企業にとってルネサスが供給する部品が重要であり、これなくして自社製品の生産を再開出来なかったためです。

何れにせよ、この時は、国内企業のサプライチェーンの力強さが印象的でした。

今回の、国内メーカーによるルネサス支援策は、精神的には似たものを感じます。国内メーカーや産業革新機構、或いは金融機関がルネサス再建を支援することは意義があります。

もし、ルネサスがKKRなどの外資の経営支配を受けた場合、システムLSIの供給停止やマイコン製品群の見直しなど、経営再建策に必要な施策を積極的に行う可能性が高くなります。

赤字企業を立て直すために行う上記施策は、合理的あり当然な行為です。

顧客である国内メーカーにとっては、このような事態が起こると、事業展開に影響が出ると判断し、支援を決めたとみています。

また、ルネサスは顧客企業と長い間、システムLSIやマイコンなどのコア部品を共同で開発・製造してきましたので、色々なノウハウなどを共有しており、競争力維持の点からも支援する必要があると判断したと推測します。

多数の顧客企業や関連企業がルネサスの株主になって支援する場合、下記の課題を解決する必要があります。

1.ルネサスの経営のスピードを遅くしないようにする。
今までの寄り合い所帯で再建を図った企業の失敗原因の一つです。株主は、金は出すが経営に口は出さず、ルネサス経営陣に経営を一任する姿勢が大事です。

2.ルネサスが提供するシステムLSIやマイコンの製品群と販売価格の見直しと、コスト対応力の向上が必須となる。

ルネサスの赤字の最大原因の一つが、顧客企業のニーズにこたえ、生産品目を増やしてきたことで高コスト体質に陥り、ルネサスは経営体力を奪われた経緯があるとのこと。

ルネサスと顧客企業は、短期間に真剣に最新状況をみて、最善策を計画、実行しないと共倒れになります。

ルネサスの今後の動きと、顧客企業との協業体制に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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