- 岡野あつこ
- 株式会社カラットクラブ 代表取締役
- 東京都
- 離婚アドバイザー
対象:離婚問題
- 岡野あつこ
- (離婚アドバイザー)
友達夫婦が離婚を考えるとき
-
学生時代からの交際から、結婚したまどかさん(25歳)。
2歳年上の夫・隼人さんとは文字通り友達夫婦になれると信じていたのです。
隼人さんは、男女は平等だという考えの持ち主。
だから、まどかさんはずっと自分らしさを失わないでいるからと思っていたそうです。
彼は、私が大学に入ってすぐに入部したテニスサークルの先輩。
優しくていろいろなことを教えてくれたし、先輩ぶったところもないし、あっという間に意気投合。
周りの人の目も気にせず楽しく交際していました。
「今日はどこにメシ食いに行く?」
「そうねぇ。イタリアンがいいな」
「じゃあ、僕が予約しておくから、昼に駅前で!」
私たちの学生生活は毎日がデートでした。
午前中の授業が終わると、彼が予約しておいてくれたお店に行ってランチタイム。
午後の授業が終わると、彼のバイクの後ろに乗ってテニスコートへ。
ときには将来の夢も話し合いました。特に彼の就職が総合商社に決まってからは、
「海外勤務になったら、一緒に来てくれるよね?」
「もちろんよ! 子供がバイリンガルになっちゃうかも!」
などと言っては笑い転げていました。
「僕は、料理も好きだし、一人暮らしが長いから家事も分け合ってできる。(※1)まどかは、まどからしくいてくれよ」
「ホントに? でも、私もこれからお料理なんかも習っちゃうから、隼人には負けないわよ!」
私は大好きな彼と結婚して、たとえ専業主婦になったとしても(※1)、
自分らしい人生を歩めそうだということを、とても嬉しく思いましたし、そういう考えを持つ彼が誇りでした。
ですから、交際中は何を話していても楽しい日々でした。
そして、私たちは、私の卒業を待ってすぐに結婚。
2人で選んだマンションを借りて、部屋の内装も2人で相談して決めました。新婚家庭を満喫していたのです。
彼は、仕事が忙しく、帰宅時間も遅かったのですが、休日には私はいたわってくれました。
学生時代みたいに、バイクの後ろに私を乗せて、風を切って郊外に遊びに行ったりしてくれました。
子どもがいないうちは、一人で家にいてもそんなにすることもないので、
私は友だちの会計事務所を手伝っていました。
それでも、家事は一生懸命にこなしてきたつもりです。
ところが、半年ほど経ったころ、私の帰宅が遅くなってしまったことがありました。
彼が帰宅したときに、洗濯物も出したままで、私が走って帰ってきても、
夕食はコンビニで買ったお総菜ということになってしまったのです。
彼は、黙って洗濯物を片づけるのを手伝ってくれ、すぐに2人で食卓につくことができたのですが・・・・・・。
「まどかさぁ、おまえ、どういうつもりなんだ?」(※2)
「どういうって、何が?」
「僕が帰ってきたのは10時だよ。こんな時間まで、家事を放り出して平気だなんてどういう感覚なんだ?」
「だって、今日は忙しくて・・・・・・」
「そんなこと、僕には関係ないよ。女のくせに、こんなこともできないなんてどうなっているんだよ」(※3)
彼とは、交際期間からいつも楽しい時間ばかりでした。
彼の言うことには、一度も違和感など感じたことはありません。
それが、いきなりこんなひどいことを言われるとは思ってもいませんでした。
「隼人は家事も分担しようって言ってたじゃない? だから、さっきも手伝ってくれたんじゃないの?」
「こんな時間まで、だらしなく洗濯物を干しているのがイヤだっただけだよ」
私は悲しくなりました。2人で力を合わせて、楽しい家庭を作っていこうと思っていたのに、
家事がうまくできなかったことが全部私の責任になってしまうなんて!
しかも「女のくせに」などと言われようとは・・・・・・。
それまでの2人の関係にはあり得なかった発想なので、気持ちが動転してしまいました。(※4)
涙ぐんでしまった私(※5)を見て、彼は不思議そうな顔をしました。
「何が悲しいの?」
「隼人は、私に何を望んでいるの?
私らしくいてくれ、って言ったのに、私が隼人のお手伝いさんみたいに生きている方がいいの?」
「意味がわかんないよ。だって、僕は一日中仕事をしているんだよ。それ、男として当然だろ?
まどかも仕事しているって思っているかもしれないけど、そんなのは暇つぶしに過ぎないんだし、
生活費の足しになるほどの収入があるわけじゃないじゃん!」
「私は、今の仕事にそれなりにやり甲斐もあるし、責任感も持っているの」
「そうかもな。でも、そのために僕と対することが、おろそかになるんだったら、僕は奥さんらしくしていてほしいよ」
「でも、帰りが遅くなったのは今日が初めてよ!」
「1回やってしまうと、ズルズルと遅くなっていくもんだよ。特に女はそうだ。父親がいつも言っていたけど、(※6)
今になってその意味がよくわかったよ」
「私、そんなに悪いことした?」
「ほら、全然わかってないところがいちばん悪いんだよ。まどかは、僕の奥さんじゃないの?」
「奥さんよ。だけど、隼人のものじゃない! 心もあれば、やりたいこともあるわ。自分なりの都合だってあるわよ」
「だけど、まどかがずっと家にいれば、こんなまずい出来合いのおかずを食わされることもないんだよ。考えてみろよ」
彼がそんなことを言う人だとは思っていませんでした。
この先、不安がいっぱいですこんなことを言われ続けるくらいなら、今のうちに離婚したほうがいいと思っています。
彼が私を大切にする気持ちには、"私がかれの専属である"という条件が付いているみたいです。
優しくて、なんでもやってくれた昔の隼人に戻ってくれることはあるのかしら。
今の隼人に合わせていくことが私の幸せなのかしら。
でも、今の隼人とだったら一緒にいる意味がない気もするのですが・・・・・・。(※7)
※1 妻の夫婦生活に対する甘い考えが見えてきます。
「"たとえ"専業主婦・・・・・・」とうのは"主婦"に対して後ろ向きな気持ちを持っています。
彼女は"大好きな彼"と"家事を分け合うこと"、この2つを担保として結婚を考えていますので、
もし、彼を「大好き」でなくなったり、彼が家事をしなくなった場合、この夫婦はダメになります。
妻はまず、"専業主婦"に対する犠牲の心をなくしましょう。
※2 夫婦である以上、夫がこういうことを言ってくるのは予測がつくことです。
もし初めてのことだったら、こういう旦那なのだということをまず知ることです。
これを機に、どこまですれば夫は何も言わないのか、どこまでしないと怒られるのか、
夫の性格をいろいろ試してみることです。
※3 「女のくせに」、この言葉は絶対言ってはいけません。禁句です。注意しましょう。
「こんなことも・・・・・・」は夫がよく使う言葉です。
こういう夫には、どこまでがよくて、どこまでが悪いのか、その許される範囲を早く探すことです。
要は、夫のキャパシティを知るということですね。
※4 ここは、女として我慢する場合と、言わなければいけない場合と、駆け引きがあるのです。
これは自信との兼ね合いなのですが、「女のくせに」に対しては断固、言うべきところですね。
※5 ここは涙ぐんでないで、思っていることをはっきり言うところです。
※6 自分の価値観を親に置き換えて言うのはよくありません。
このひと言を言ってしまうと、夫のいけなさが倍増するばかりか、
お父さんと嫁の仲まで遠ざけ、挙句は家族ぐるみの問題にまで発展することになります。
※7 一緒にいる"意味がない"、ということでしたら、
まずはそのメリットとデメリットをノートに書き出してみてください。そ
うすることによって、夫のいい面が見えてくるはずです。
【チェックポイント】
もともとは大好きだった2人、一緒にいる意味がなくなったと感じたときは、
まず感情の部分と経済の部分と夫婦のあるべき姿、この3つをじっくり考えてみることです。
経済の部分は問題ない、感情の部分も問題ない、要は夫婦のあるべき姿だけが問題なので、いくらでもやり直せます。
夫婦問題にお悩みの方へ 岡野あつこの離婚相談救急隊
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