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閲覧数順 2016年12月08日更新

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日経記事;"デュポン,知財紛争で韓国大手に完勝日本企業注目"考察

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情報・知識 事業者側からみた機密保持契約(NDA)の扱い

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

9月9日付の日経電子版に、『デュポン、知財紛争で韓国大手に「完勝」日本企業が注目 製販20年禁止勝ち取る、アラミド繊維』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『米化学大手のデュポンが代表的な高機能素材のアラミド繊維を巡り、韓国繊維大手のコーロンと激しい知的財産権訴訟を繰り広げている。

8月30日には米連邦地裁がデュポンの訴えを全面的に認める命令を出し、コーロンは韓国工場の操業停止に追い込まれた。争点は元従業員を通じた技術流出。紛争の行方は、韓国企業との間で同じ問題に悩む日本企業にとっても注目を集めそうだ。

「判事の決定に満足している。40年以上かけて培ってきた知的財産権が守られた」(デュポン)

「当社の従業員の職場を奪う乱暴な命令で、(控訴や執行停止の仮処分申請などの)法的な手続きに入る」(コーロン)

米バージニア州リッチモンドの連邦地裁の判事が8月30日に出した裁判所命令は異例の内容だった。コーロンに対し、デュポンから盗用したとされる秘密情報を今後一切利用しないように命じたほか、米国を含む全世界でのアラミド繊維の製造と販売を20年間禁止したのだ。

実は、判決自体は2011年9月に出ていた。コーロンの知財盗用によるデュポンの損害額は9億1900万ドル(約730億円)と認定。同年11月には懲罰的な賠償金を上乗せして、総額9億2000万ドルの支払いをコーロンに命じていた。

■韓国工場も停止

韓国の報道機関によるとコーロンの年間純利益は200億円前後で、賠償金の支払いをのめば経営が傾きかねない。控訴の手続きに入っていた直後に製販禁止命令の追い打ちを受けた格好だ。

アラミド繊維の技術流出を巡る米韓の訴訟は日本も無縁ではない。

特許などの知財権は国ごとに効力を認める「属地主義」が原則。米裁判所の決定は基本的に米国内だけで効力があるため、コーロンは他国での製販禁止まで従う必要はない。

判事は「命令に従わず営業を続けるのなら、先の判決の賠償金では済まなくなる」と警告。デュポンもコーロンに対する厳しい姿勢を崩さず、同社は韓国のアラミド繊維工場の操業を止めざるを得なくなった。

韓国内では「米国の横暴を許さず、政府は世界貿易機関(WTO)に提訴すべきだ」との意見も出始めた。が、裏返せば、米地裁判事の目にはコーロンの行為がそれだけ悪質に映ったということにほかならない。その論拠が、デュポン元技術者の囲い込みだった。

アラミド繊維 ナイロンの一種で、重量比で鉄の6~8倍の強度を持ち、熱や化学薬品に強い。ブレーキ摩擦材、タイヤや光ファイバーケーブルの補強材、防弾チョッキの素材などに使われ、世界的に需要が増えている。1位の米デュポンと2位の帝人で世界シェアの8割以上を占めており、韓国コーロンのシェアは10%未満とみられる。

今回の米連邦地裁の決定で、コーロンは米国への輸出ができなくなった。また韓国工場の操業停止が長引けば、自動車部品メーカーを中心に取引先が離れるとみられ、代替需要の一部を帝人が取り込む可能性がある。。。。』


退職した従業員が競合先に就職後に、元の企業の特許やノウハウなどを流出、或いは、開示する問題は古くて新しいことです。

以前にも国内家電大手は、何度か大量リストラを行いました。その結果、多くの日本人技術者が、韓国や中国企業に就職しました。

その後に、韓国や中国企業が技術力を向上させたのは周知の事実です。韓国や中国企業は、最新技術情報獲得に熱心です。

その熱心さが、時として競合企業の機密情報を不正な方法を取ってでも最新技術を獲得する行動につながっています。

近々に大手家電メーカーは、再び大量従業員(1万人相当)のリストラを行いますので、再度、機密情報が競合先に流出するリスクが発生します。

通常、退職者は元の企業や職場で得た機密情報を第三者に開示しないということを約束して、「機密保持契約書;NDA(Non-Disclosure Agreement)を結びます。

従って、機密保持は担保されるのが基本です。しかし、実態はかなり異なります。

かって、国内大手メーカーの中には、特別な技術を持った中小企業に技術者を派遣して、詳細な説明を聞いたりしてノウハウを吸収し、自社の開発技術としたところもありました。

経済産業省は、2011年年12月1日に 「営業秘密管理指針(改訂版)」 を公表しました。「営業秘密管理指針」は、以下のことがポイントになっています。
「営業秘密管理指針(改訂版)」のURL;http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/111216hontai.pdf

1.「営業秘密管理指針(改訂版)」では、改正不正競争防止法において刑事罰の対象とされた行為の明確化を行うとともに、より現実的・合理性のある秘密管理の方法が提示された。

2.中国,韓国,台湾などによる営業秘密の侵害によって日本企業の技術的優位性が揺らぐリスクが増大し,実際に事例が発生している。また、競合企業による不正行為などに加えて,元役員や元従業員といった退職者を通じた営業秘密侵害が深刻化している。

2005年の不正競争防止法の改正では,(1)営業秘密の国外使用・開示処分の導入,(2)退職者への処罰導入,(3)法人処罰の導入,が主なポイントになっていました。

最新の改定では、中小企業を意識して営業秘密侵害を防ぐ手段についても書かれています。

私も時々、中小企業から機密情報の管理のやり方や、機密保持契約書の作成・管理などで相談を受けて、支援しています。

一番大事なことは、機密情報をどう防ぐかです。何でもかんでも機密情報にする企業がありますが、これでは本当に重要な秘密情報が埋もれてしまって管理しづらい状況に陥りやすくなります。

最も基本的な条件は,情報を区分して重要な秘密情報を厳格に管理していることです。情報の区分では,営業秘密の対象となる情報に加え,情報にアクセスできる人を特定する必要があります。

次に重要なことは、秘密情報の管理体制を確立しておくことです。具体的には、情報を収録した媒体(文書やCD-Rなど)や保管場所などの管理,あるいは情報を収めたコンピュータの管理,アクセス権者の明確化しておくことです。

最近ではパスワード設定したデータセンターで保管する方法が広がっています。

情報区分・管理を行う事により,秘密情報以外の情報が秘密情報に混入すること(コンタミネーションと言います)を防ぐ体制の整備が必要です。

現在、ほとんどの中小企業でパソコンやITを使っていますので、これらのシステムを上手く活用して、機密情報を不正アクセスすることを防止する方法も大型投資なしで導入できるようになっています。

機密情報の不正開示は明らかに犯罪です。上記不正競争防止法の法律で機密情報の不正開示は、海外企業であろうとも処罰対象になります。

法律面では、機密情報の不正開示対応は明確に規定されました。

あとは、企業がその機密情報をどう守るかの運用が課題になっています。特に、中小企業の場合、機密情報の管理体制があまいところが多いのも事実です。

中小企業は、国内外の競合他社から自社の財産である機密情報をどう守るか、真剣に考え・実行することが重要です。

なお、私は、2006年7月16日から8回にわたって「NDA(機密情報保持契約)の扱い」のタイトルでブログ記事を書きました。
URL; http://bzsupport.blog.so-net.ne.jp/archive/c357062-1

秘密情報の管理についてエッセンスを知りたい方は、先ずこのブログ記事を読むことをお勧めします。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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