- 乾 喜一郎
- 『稼げる資格』 資格専門誌『稼げる資格』編集長
- キャリアカウンセラー
対象:キャリアプラン
- 宇江野 加子
- (キャリアカウンセラー)
- 冨永 のむ子
- (パーソナルコーチ)
以前に彼と飲んだ時の愚痴が印象に残っています。
要は、採用したばかりのスタッフが「使えない」と。
Webの資格を持っていて、実務経験はないものの、面接で作品なども持ってきていて、
受け答えには少し不安はあったけれど、技術的には大丈夫だなと思って採用したのだが、
何より「気がきかない」のだと言う。
「バイトの学生ちゃんのほうがよっぽど役に立つんだよ、まったく」
一応、ちゃんと仕事はする。でも、指示されたこと以上の要望を察することがない。
申し送りを事細かにしないと、確認の質問ばかりで手がかかってしようがない、などなど。
「お前に言うのはなんだけどさ、資格を持ってるからって採用しちゃいかんな。
普通に面接してたら落としてたんだから」
あれ?どこかで聞いたような。
そうか。
逆に、この新人側の立場に立ってみる。
Webデザインの資格を持っていなければ、採用されなかったということ。
対人スキルには若干不安があるのだろう。
確かに、育てていく側にとってはストレスがかかるかもしれない。
でも、誰もが、経験をつんで成長していかなければならないのだから、
こうして「もぐりこむ」のはとても大切なことだ。
そうすれば、自分の専門的なスキルを軸にして、さまざまな能力を伸ばしていくことができる。
今はこうやって偉そうにしているベテランの人たちだって、
過去に誰かにこうやって愚痴られながら育ててもらってきたのだから。
その後1年ほどが過ぎて、こないだ彼にまた会った。
気が利かないのは相変わらずながら、だいぶよくなってきたという。
副産物として、
会社の中で「申し送り」の文化が育ってきたという。
これまで「あうん」で「なあなあ」にしてきたことを、ちゃんと申し送りしていくようになったことで、
今自分たちの会社にどれだけキャパが残っているか、見えるようになってきた。
納期や利益率にもいい影響が出ているのだという。
「苦労させられたんだからさ、それくらいいいことがないとな。
でも確かに、へんに気が利くやつを採ってたら、ずっとドンブリ勘定だったかもしれんなとも思うよ」
(こういう発想は、さすが経営者やな、と感じさせられる)
人事の発言として語られる経験重視、コミュニケーション能力重視も、一面的なもの。
働く個人の側は個人の側で、自分にとって何が善いかだけ考えるのが正解、と思っておけばよいと思う。
このコラムの執筆専門家
- 乾 喜一郎
- (キャリアカウンセラー)
- 『稼げる資格』 資格専門誌『稼げる資格』編集長
働く個人の側に立ち、資格や学びを活用したキャリアづくりを提案
編集長を務める資格や大学院の専門誌をはじめ、就職、転職、U・Iターン、進学とこれまで一貫して個人のキャリアを提案するメディアを作ってきました。これまで取り扱ってきた3000人以上にのぼるライフヒストリーを元に、リアリティのある情報を提供します。
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