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村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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日経記事;"オリンパス、提携合意を急がぬわけ(真相深層)"考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月31日付の日経新聞に、『オリンパス、提携合意を急がぬわけ(真相深層)』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『過去の損失隠しの訂正に伴って傷んだ財務体質を回復するため、他社から資本を受け入れる再建策を打ち出したオリンパス。

複数の企業から提案を受けるなか、6月下旬にはソニーとの資本業務提携で最終調整に入ったが、2カ月たった現在も合意には至っていない。決まらない背景には何があるのか。

「問題はカネじゃない。事業面でシナジー(相乗効果)を最大化する具体策づくりに時間がかかっている」。オリンパス幹部は資本受け入れ交渉の舞台裏を、こう語る。

■ソニーが最有力

同社には昨年末以来ソニーや富士フイルムホールディングス、テルモなどが資本業務提携を打診。各社と交渉が始まった。

オリンパスがソニーを最有力候補としたのは、主力である内視鏡のセンサーをソニーが生産し、オリンパスが不振のデジタルカメラでも世界シェアが高いなど、事業面で協業できる要素が大きいためだ。両社は技術者による検討チームをつくり、シナジー発揮の具体策を擦り合わせている。

オリンパスの内視鏡は世界シェア7割と強く、ソニーはこの分野で協業してテレビ不振などで苦しい自社の新たな収益源に加えたい。

一方のオリンパスは内視鏡事業はできるだけ自主性を保ち、赤字が続くデジカメ事業の採算改善でソニーの関与を期待している。

「受け入れる出資規模で両社に大きな違いはない。ただし協業の具体像で一致しておらず、結論を出し切れていない」(オリンパス役員)。

オリンパスが500億円前後の出資を受ける枠組みは問題ないもようだが、資金提供に見合う事業の組み方をどうするか。双方で落としどころを探る状態が続いている。

合意しなければ提携の果実である資金は入ってこない。オリンパスが出資の受け入れを焦らない背景には、不祥事があっても主力の内視鏡事業で「顧客離れ」が起きていないという事情が大きい。

損失隠しを公表し役員の大半が引責辞任した後でも、内視鏡関連の学会が開かれると、同社の展示ブースは最新機器を見ようとする多くの医師でごった返す。

「オリンパスの内視鏡は使い勝手などで医師の評価が高く、粉飾決算の発覚後も他社製に変える意見は医師から出なかった」(都内の総合病院)。

笹宏行社長が「医療事業は大変堅調」と話す通り、2012年4~6月期の医療事業の営業利益は124億円で前年同期比13%増えた。同社の4~6月期のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は47億円の黒字だ。

■自己資本は低下

投資家の視線も変わり始めた。東証が同社株の上場を廃止するとの観測が強まった昨年、株価は11月に424円まで下落した。今年に入り上場維持が決まって医療事業の堅調さが分かると上昇に転じ、欧米の投資ファンドによる買いも入った。8月28日には1583円と年初来高値を更新。再評価されつつある。

それでもオリンパスの6月末の自己資本比率は2.2%。笹社長が「危険な水準」と評していた3月末の4.6%よりも一段と下がり、マクロの経済動向によっては債務超過の可能性も取り沙汰されるようになった。

 竹内康雄・取締役専務執行役員は「為替動向など今後のリスクを考えれば、資本増強しない選択肢は考えられない」と繰り返す。交渉を通じて自社に有利な形で事業提携することも重要だが、経営を安定させるための資本増強が提携の本来の目的だ。あまり時間をかけすぎると、風向きが変わらないとも限らない。。。』

記事にありますように、オリンパスは提携先を確定するのに時間を要しているようです。提携先の決定に時間がかかるのか、或いは記事に書いていますように、提携先はソニーと決めていても、提携スキームの検討・構築に時間がかかっているのかは不明です。

一般的に、提携・連携先の決定や提携・連携スキームの検討・構築に時間をかけ過ぎると、上手く行かないケースが多くなります。

提携・連携は、両社の信頼感のあることが大前提です。両社の信頼感を持つために、お互いの企業カルチャーの違いを理解・認識しつつ、共通な事業ターゲットを共有できるかどうかが重要になります。

この事業ターゲットは具体的であればあるほど有効です。売上、シェア、利益などの経営数字を明確化すると共に、その数字を実現するための技術・商品開発、対象市場、顧客、販路開拓などの施策を明確化します。

この事業ターゲットを両社が共有化出来れば、当該提携・連携は、両社のビジネスを共に伸ばす「Win/Win」の関係が成立することになります。

また、本来あり得ないことですが、以下の行為は信頼感を消し去ります。

嘘をつく、本来開示すべき情報を隠す、こっそりと別の会社との交渉を並行して進めて、相手先との天秤をかけるなどの行為など。

もし上記のような事態が発覚すれば、その時点で提携・連携の交渉をストップする必要があります。


オリンパスの場合、赤字に直面しているデジカメ事業の採算改善でソニーの関与を期待しているとのこと。

一方、ソニーはテレビ事業の大幅赤字に直面しており、この事業を縮小しつつ、新規事業を立ち上げて収益アップを図ろうとしています。そのターゲット事業の一つが医療分野です。

ソニーはオリンパスとの提携・連携で、医療事業への本格参入を図ろうとしています。

仮に、オリンパスがソニーを提携・連携先と決めているとすると、両社は現時点で提携・連携スキームの全体像を描き切れていないとの印象を持ちます。

例えば、デジカメ市場の将来性をみますと、今後スマホの普及と共に当該市場は縮小していく可能性があります。スマホのカメラ機能や画質が向上し続けるからです。

ソニーとオリンパスがデジカメ市場で勝ち残っていくには、この市場で世界ナンバーワンのシェアを取る必要があります。

縮小していく市場で利益を出すには、残存者利益を獲得することが重要であり、そのためにはナンバーワンのシェアを取ることが大事になります。

ソニーとオリンパスの提携・連携で、デジカメ市場のナンバーワンのシェアを取る青写真を作れれば、この分野での「Win/Win」スキームを構築できます。

医療分野も同じように、両社の最先端技術を持ち寄って、内視鏡や画像処理などの事業領域で大きな青写真を描き、世界ナンバーワンシェアをとるための施策作りが重要です。

もし、両社が上記のような青写真作りに時間を要しているのなら、その成果に期待を持てます。

オリンパスとソニーは、共に集中と選択を行っています。

オリンパスは31日、希望退職者100人を10月に募集すると発表しました。オリンパス本体とデジタルカメラを製造販売するオリンパスイメージング、内視鏡を中心にした医療機器を手がけるオリンパスメディカルシステムズの3社の、満40歳から満60歳未満の正社員が対象。10月1~10日に募集し、11月30日が退職日となるとのこと。

オリンパスは、このように本業回帰の姿勢を鮮明にしています。これと並行して早期に提携・連携スキームを構築し、発表することを期待しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

 

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