経営者や管理者の方々から、「研修とか福利厚生とか、会社は社員にたくさん投資をしているのに、社員はそれが理解できない」「これだけ手をかけているのに退職者が減らない」というお話(グチ?)をうかがうことがあります。
そうおっしゃる会社は、確かにいろいろな研修機会を設けたり、社員をねぎらうためのイベントや、その他さまざまな機会を積極的に作っているところが多いです。「会社からこんなにいろいろしてやっているのに!・・・」という、ちょっと恨みめいた感情的な部分も感じます。
ある講演で、「社員も会社に投資しているんですよ」というお話を聴く機会がありました。
「ともすれば、会社は社員に対して一方通行で投資している感覚になるけれど、社員だって自分の人生で最も大切な“自分の時間”と“能力”を会社に投資している」というお話でした。「社員が辞めるというのは、その社員が投資する先を変えるということで、どんなに相手に尽くしたからといっても100%避けられるものではない。だから一方的に恨むものではないし、投資し合う者同士として良い関係が継続できればよい」ということでした。
特に中小企業では、社員のことを「仲間」「身内」「家族」という捉え方をする経営者の方は多いです。そんな思い入れを持っている相手が、自分たちから離れていこうとするのは、心の中の正直な気持ちとして、許容できないのも無理はないと思います。
でも、お互いに投資し、投資されるというイーブンな関係と捉え、もしも辞めてしまうことになっても「家族から巣立って独立する娘、息子」と思えば、ビジネス上の良い関係は続けていけるのではないでしょうか。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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