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日経記事;"日立,金型拠点を半減 プリント基板は28から5拠点"考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月26日付の日経新聞に、『日立、金型拠点を半減 プリント基板は28から5拠点に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所は生産資材や主要部品の国内生産を再編する。20カ所にある金型の生産拠点は2014年中に半分以下に減らす。28工場に分かれたプリント基板の主要ラインは5拠点に集約する。

高い人件費や円高で国内製造業は生産拠点の海外移転を進めている。日立はものづくりの基盤となる技術については国内にとどめる方針で、大幅な統合で効率化を進める。

日立は金型を家電製品向けから自動車部品、重電用の部品まで幅広く内製しており、全国に拠点が分散している。金型は製品や素材、製法による違いが大きく、生産拠点を集約するのは難しいが、現在の20カ所から10カ所以下に減らす。

拠点集約に伴う投資額や、どの拠点に集めるかといった詳細は今後詰める。

プリント基板は日立が生産する大半の製品に搭載される中核部品。岐阜県の子会社工場を主力拠点と位置付け、14年3月末までに家電や自動車部品、医療機器向けの基板を集約する。

そのほか製品ごとに神奈川県、福島県、茨城県(2カ所)に集める。十数億円で拠点間ネットワークを構築し、製品の工場と基板のラインが離れても、図面などの情報を円滑にやりとりできるようにする。

部品の標準化や集中購買も進め、生産コストの3割減を目指す。ライン統合後の14年度には、プリント基板だけで110億円のコスト削減効果を見込んでいる。

金型、プリント基板ともに生産量や雇用は拠点再編後も維持する見通し。日立は元々、工場やグループ会社ごとの独立性が強く、部品もそれぞれで自前生産する傾向が強かった。

4月に始めたコスト構造の抜本改革では、年間約9兆円の総コストを15年度までに5%圧縮する目標を掲げ、こうした「過度の自前主義」の見直しを進めている。

全社的には海外生産や生産委託を増やす方針だが、ほとんどの製品の生産に欠かせない金型やプリント基板については、技術維持の観点から、国内に拠点を残す。

「ものづくり白書」によると11年度の国内の電機・電子産業の海外生産比率は49.0%で、産業別では最も高い。最近では電力需給の逼迫や円高が引き金となり、先端的な製品の生産まで海外に移す事例が増えてきた。

技術や生産ノウハウの流出につながるとの指摘もあり、どのような機能を残すかは国内メーカー共通の課題となっている。』


日立製作所は、日本の総合電機メーカーであり、重電5社のうちの有力な1社になります。国内を代表する総合電機メーカーの一つです。

全体的に不振企業が多い総合電機・家電メーカーの中で、東芝と共にいち早く、「集中と選択」を開始しました。

日立は、もともと各事業部、各工場、研究所が独自に事業を行っていた組織体でした。この組織体を、市場に直結する、或いは、意識するやり方で再編を行ってきました。

日立の集中と選択は、その実行過程にありますが、幾つかの経営効果が生まれています。一つは、世界市場での成長分野となる、環境・エネルギー・上水道まどの社会インフラ分野への経営シフトです。

これらの社会インフラ事業は、企業の総合力がないと対応できない分野で、国内では日立と東芝が先行しています。

どの事業分野も世界で大きなニーズと巨大市場規模が見込まれますので、日立や東芝は積極的に投資して、米GEなどの海外競合他社に打ち勝つことが重要です。

日立の場合、各分野で上記しました様に集中と選択を実行中です。本日の記事は、国内の金型拠点の再編について書かれています。

日立の特徴の一つに、コア技術を全て内製化する垂直統合方式があります。金型やプリント基板も内製技術の一つであり、日立の競争力を維持するための源泉の一つとして考えられています。

日立は、金型は新しい技術・製品を生み出す競争力の源泉であるとし、海外調達を止めて国内調達に集中化するやり方を決めたようです。

金型事業の効率向上は、記事にありますように、拠点を集約して製造コストや固定費の圧縮を行います。

日立の扱い製品数は非常に多いため、これらに合せた金型の素材や製法が異なりますので難しい状況が予想されますが、今ある20拠点を半減する方針を固めました。


さて、現在の国内企業の状況をみると、海外生産や工場の海外移管比率の上昇と共に、金型関連の企業数や事業所数は、減少し続けています。


記事にありますように、「「ものづくり白書」によると11年度の国内の電機・電子産業の海外生産比率は49.0%で、産業別では最も高くなっています。この海外生産比率は、将来、60%を超えると予想されます。

円高による採算性悪化と海外企業との競合激化による販売価格下落への対応、現地仕様にあった製品の開発・供給体制の強化などによって、特に電気・電子産業の海外シフトが加速しています。

私が経営支援しています中小企業がある東京都大田区や埼玉県の状況をみていましても、事業所数が毎年減少しています。

その一つの要因が、海外シフトです。国内にいても顧客を確保することが難しいためです。その中に金型企業やプリント基板などの基板企業もいます。

同日付の記事にありますように、経済産業省の工業統計によると金型を製造する国内事業所数は2010年に約9200で、リーマン・ショック前の07年から1割減った、とのこと。

大田区や埼玉県内の金型企業の動きをみますと、この統計結果を実感します。

金型は量産品を造るのに欠かせないものです。この事業分野では、国内では中小企業が多く、業界の9割を従業員20人以下の事業所が占めるとされています。また、国内各所に分散しています。

電機や自動車・部品などのメーカーは、日立のように内製するケースもありますが、多くの製造業は、金型を外部に発注しています。

製造業の海外シフトの増加と共に、多くの金型企業は既存顧客を失い、廃業するか海外展開を行う決断を迫られてきました。

差別化・差異化可能な技術で複雑な金型を作れる企業は、海外顧客から注文を受けて、事業継続できます。

しかし、簡単な金型は海外企業、特に中国や韓国、でも安価に作れるようになってきており、国内企業が、これらの海外金型企業に発注したり、海外シフトした企業も発注先を海外企業に移すところも増えています。

金型は、国内製造業を支える基板の一つですが、簡単な金型は海外企業との競争を含めて顧客から常に値下げ要求の圧力にさらされています。

これが、金型企業が廃業する一つの理由です。

今まで行ってきた金型中小企業の支援経験も含めて考えますと、金型企業が勝ち残るための施策は以下の通りとなります。

1.金型の制作・納期期間短縮
2.金型の寸法精度・生産性・耐久性の向上
3.製造・管理コストの見直しによる価格競争力の向上(どんぶり勘定からの脱却)
4.複雑な設計・加工を可能にするIT(CAD/CAMを含む)の活用
5.中小企業同士の連携による、加工の高度化や規模の拡大、など


日立のやり方は、大手企業として金型の内製化維持を決めたものです。一つの参考事例になりますが、中小金型企業はどうやって勝ち残っていくか、自分で考え・実行する時期に来ています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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