日経記事;"東芝、欧州で次世代水道網 コスト2割削減へ"考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;"東芝、欧州で次世代水道網 コスト2割削減へ"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月24日付の日経新聞に、『東芝、欧州で次世代水道網 コスト2割削減へIT使い漏水・使用量管理 10月実証実験、EU標準規格狙う 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝は独シーメンスなどと共同でIT(情報技術)を活用した次世代水道網づくりに乗り出す。10月からイタリアなどで家庭や企業に通信機能を備えた水道計を設置し、使用量や漏水情報を即時管理する実証実験に参加。

管理・運用コストの2割削減を目指し、欧州連合(EU)の標準規格採用を狙う。将来は原子力発電所や次世代電力網などとともに海外での展開を視野に入れ、インフラ事業の底上げを目指す。

EUの欧州委員会が採択した上水道システムを効率運用する実証実験に東芝の参加が決まった。イタリアのミラノ市とルーマニア西部のティミショアラ市の2カ所で3年間実験する。

実証実験では100世帯超の家庭・企業に通信機能を持つ次世代水道計を設置。総延長約1キロメートル程度の水道管に多数のセンサーを据え付ける。各機器を通信ネットワークで結び、水道の使用量や漏水状況を瞬時に把握できるようにする。

 EUはITで効率のいい水道管理技術を開発・検証し、経済効果を評価する。漏水、消費電力の低減などにより、最大で2割の管理・運用コストの削減を目指す。

 東芝は実験の中核となる通信インフラの構築を担当。傘下の次世代電力計(スマートメーター)大手スイス・ランディス・ギアのノウハウの転用を検討する。複数の上水道のネットワークや、地中・地下のセンサーなどからの無線通信を相互に接続する。障害の検出・復旧やシステム管理を含めて担い、商用化への課題を報告する。

EU域内では水道設備の老朽化が進み、漏水は深刻な問題。欧州では電力消費量の3%は水のくみ上げに使われながら、漏水で消失する水量は約2割にのぼるという。実験で経済効果が実証されれば、EUの標準規格につながる見通し。

上水道のIT管理は国際標準がなく、市場も細分化しているため、欧州で標準規格づくりに関与できればグローバルに商機が広がりそうだ。

東芝は実証実験を経て、水道のシステム管理事業で海外進出する考え。欧州や今後市場が拡大する東南アジアへの展開を視野に入れる。

欧州側の参加者はシーメンスのほか、イタリア、ルーマニアの水道会社、オランダのユネスコ水教育研究所など8企業・機関。EUの実証実験に域外の企業が承認されるのは異例だ。』


同日付の記事によりますと、世界の水ビジネス市場規模は2007年の約36兆円から25年には約90兆円に拡大するとみられているとのこと。

世界全体では、人口が増え続けていますので、水は食料やエネルギーと共に、人口増を支える上で重要なインフラの一つになります。

世界の水問題は、一般的に安全な飲料水と衛生施設の確保、食料生産のための水確保、水系生態系の保全、洪水などのリスク管理、水資源の効率的な利用と効果的な配分などが大きな課題と認識されています。

このうち、国内製造企業が社会インフラ事業として取り組んでいますのが、安全な飲料水と衛生施設の確保、食料生産のための水確保に関する分野です。

新興国を中心に上下水道の管理・運営から海水淡水化、水の再利用まで幅広く、東芝以外にも日立製作所など多くの日本企業が海外展開を急いでいます。

東芝は、本ブログ・コラムで何度か取り上げていますように、環境・エネルギーなどを中心とした社会インフラ事業を成長分野の柱としてとらえており、特に昨年来様々な事業展開を行っています。

昨年、東芝はスイスのスマートメーター大手ランディス・ギアを買収しました。既にランディス・ギアのノウハウを活用して、国内外のスマートグリッド事業を展開し始めました。

スマートグリッド事業は、東芝の大きな柱の一つになるとみています。

本日の記事は、東芝がITを活用したスマートメーターのノウハウを、上水道事業に展開しようとしていることについて書いています。

先進国では、どの国でも上水道施設の設置がほぼ完了しています。現在の課題は、既存の上水道の効率的な維持・運営です。

国内でも起こっていますが、既存の上水道施設は経年変化で劣化しており、漏水事故がたびたび起こっています。

どの国でも財政問題を抱えており、既設の上水道施設の維持・運営は大きな社会問題になっています。

上水道施設の維持・運営は、人の命に直結しますので、財政難化では効率的なやり方が求められます。

しかし、現時点までは有効な方法が確立されていませんでした。

今回、東芝が独シーメンスなどと共同でITを活用した次世代水道網づくりに乗り出すことは大いに意義があります。

東芝は、買収した上記ランディス・ギアのスマートメーターを活用します。この試みが成功しますと、上水道施設の維持・運営の一つの事業モデルになり、国内を含めて先進国の施設への展開が可能になります。

記事によると、イタリアなどでの実証実験にはシーメンス以外に欧州企業や公的機関も参加するとのこと。このような欧州の実験に域外企業が参加することは異例とされています。

東芝が参加できるのは、ランディス・ギアの買収とシーメンスとの連携が寄与していることと、実験プランが実用的であり、上水道施設の漏水問題を有効に解決できるものとして評価されたとみます。

現在、ITを使った効率的な上水道施設は世界に存在していませんので、欧州内での実証実験に成功すれば、東芝は欧州の標準規格作成に参加できることになります。

また、このやり方は、日本や米国でも標準として採用されれば、東芝にとって大きな事業機会になります。

上水道施設の効率的な維持・運営で、人のライフラインを守って社会貢献すると共に、新規事業機会を確保していくことになります。

国内の環境・エネルギーを柱とする社会インフラ事業の典型事例の一つになる可能性があります。東芝はその先駆者になるべく走っている印象を持ちます。

東芝の競合相手である日立も、同じように社会インフラ事業の強化を行っています。日立の場合は、ITを使った水道管理システムをインド洋のモルディブで事業化すると報じられています。

記事によると、日立は上下水道会社に出資済みで、複数の島々を効率よく結ぶ構想を進めるとのこと。同社全額出資子会社の日立プラントテクノロジーは6月、中国国有の上水道運営会社を現地企業と共同で買収し、中国の上水道運営に参入しました。

昨年来、東京都、大阪市や横浜市などの自冶体も水事業に参入することを表明しています。自冶体が海外市場で水事業をどこまでできるか現時点では未知数です。多分、商社などと組んで事業を行い、上水道施設の維持・運営に関するノウハウなど提供を行うことになるとみます。

効率的な上水道施設の維持・運営には、ITだけでなく、耐久性の高い水道管の開発や老朽化した水道管の交換時間の短縮化や新交換方法の確立なども課題となります。

国内にはこれらの課題を解決できる産業集積がありますので、東芝や日立などの総合メーカーは、これらの関連企業との連携も深めていくことも重要ですし、差別化・差異化の実現につながります。

上水道施設に関する市場規模は、上記の通り90兆円と大きいので、東芝や日立などの企業は、この市場で、競合他社である仏ヴェオリア・ウォーターや英テムズ・ウォーターなどに打ち勝って勝ち組になることが重要です。

今後も東芝や日立の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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