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日経記事;"デンソー,エコカー向半導体材料部品の小型化可能"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月23日付の日経新聞に、『デンソー、エコカー向け半導体材料 部品の小型化可能 15年以降の実用化めざす』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『デンソーは昭和電工や独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などと共同で、エコカー向け高性能半導体の材料などに使う次世代半導体ウエハーを開発した。

ウエハーに含まれる不純物を大幅に減らし、世界最高水準の品質を確保したという。2015年ごろに同ウエハーを使った半導体を実用化し、エコカー基幹システムの小型化、高性能化につなげる。

開発したのは炭化ケイ素(SiC)製の6インチウエハー。大きな電流を流すパワー半導体の素材に使う。デンソーとNEDOのほか、昭和電工、豊田中央研究所(愛知県長久手市)が共同で開発した。同ウエハーを使ったパワー半導体は自動車のほか、鉄道やスマートグリッド(次世代送電網)など幅広い分野での利用が見込まれている。

デンソーはエコカーの基幹部品であるインバーターに採用。より大きな電流が流せるのでインバーターの大きさが半分以下になるという。モーターと電池の小型化が同時に進めば、基幹システムの小型化につながり、燃費性能を高めたり、車内を広くしたりできる。

6インチのSiCウエハーは米半導体材料大手のクリーなどが開発に成功しており、普及が期待されている。ただ、従来のシリコンウエハーと異なり、結晶製造が難しく、不純物が混じりやすい。量産に移行するには不純物を大幅に減らす技術がカギとされていた。

デンソーは不純物を大幅に減らす技術を確立。2年後の不良品率は5%未満に下がり、量産が可能になるとしている。

SiCパワー半導体の市場規模は25年に2000億円以上と、足元の40倍以上になるとデンソーはみており、今回の成果をもとに将来、SiCウエハーの生産事業に進出することも検討する。』

SiCウエハーは、現在主に使われているシリコンではなく炭化ケイ素(SiC)を材料にしたウエハーのこと。

大電流、高電圧に耐えられ熱としてロスする電力も大幅に減る特性を持つとされ、このため電子機器やモーター駆動の電気を効率よく制御する「パワー半導体」に使われます。

SiCウエハーを使ったパワー素子は、下記メリットがあるとされています。

1.オン抵抗が小さい。
2.スイッチング時間が短い。
3.高温動作に適している。など

従って、Sicウエハーを使ったパワー半導体は、AC-DCコンバータやDC-DCコンバータ、小電力~大電力インバータなどの電力変換装置に適用し、変換効率を高められるます。電力損失を低減できます。

SiCパワー半導体の具体的な応用用途としては、電磁誘導加熱(IH)機器や電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、産業機器向け汎用インバータ、無停電電源装置(UPS)、情報通信(IT)機器向け電源システム、エアコンなどの家電用インバータ、太陽光発電システムのインバータ、スマートグリッドなど幅広くあります。

既に、小型の4インチSiCウエハーを使ったパワー半導体は、エアコンなどへの搭載が始まっています。

当面の課題となっていますのが次世代の6インチウエハーの開発でした。この6インチウエハーを使うパワー半導体は、は現行の約20倍の電流に耐えますので、EVやHVなどのエコカーや鉄道などに使えます。

記事によると、エコカーではインバーターの大きさが半分以下となり、課題だった車内空間の狭さが解消され、エコカー本格普及に役立つとのこと。

SiCパワー半導体を電力変換装置に採用した場合の省エネルギー効果は、エンジニアリング振興協会の試算によると、汎用インバータ市場の30%に相当する4100万台にSiCパワー素子が採用されると見込まれる2020年には、省エネ効果は原油に換算すれば231万キロリットル/年となるとされています。

このように、SiCパワー半導体は大きな省エネ効果が期待できます。記事にありますように、米半導体材料大手のクリーがSicウエハーの開発に成功しており、この分野ではトップを走っていました。

国内企業では、新日鉄、信越化学、デンソーなどがSicウエハーの開発に取り組んできました。本日の記事では、デンソーなどの企業連合が、エコカー向け半導体材料として高純度のSicウエハーの開発にメドをつけたと発表しました。

エコカーを含めた環境対応事業は、日本の次世代産業の柱の一つです。Sicパワー半導体は、その基幹部品の一つとなります。

今回、エコカー対応品の開発に成功したことは、国内EVやHVのインバーターの大きさを半分以下にできるメリットがあり、モーターや電池の小型化も組み合わせて、より高効率の車や小型車を容易に開発・商品化できます。

また、これを機会に、他の用途分野に適したSicパワー半導体が開発されれば、上記にありますように。電車や各種産業装置、スマートグリッドなどの分野で大きな省エネにつながり、国内企業の競争力向上に貢献します。

Sicウエハーの課題の一つに、製造コストの高さがあります。これは、現在主流の3インチおよび4インチ口径では、デバイスの製造コストを下げることが難しかったためです。

コスト削減の切り札として期待されていたのが、6インチSicウエハーでした。新日鉄は、2011年12月に6インチSicウエハーの開発に成功したと発表していました。

このように、SiCウェハの6インチ化が実用化されますと、現在、商品化されている家電用インバーター、IT用電源、太陽光発電用パワーコンディショナー向けのSiCデバイスの生産効率が向上し、デバイスの製造コストの低下が期待され、国内電機メーカーの競争力向上にも貢献します。

デンソーや新日鉄などの関連企業が各種用途向けSicパワー半導体を早期に実用化して、環境対応製品に採用されて、国内企業の競争力に向上を図ると共に、パワー半導体事業でも世界の供給源になることを期待します。

インテルがパソコンのCPUで独占的な地位を確保し、パソコン用CPUでは業界のプラットフォーム企業になったように、Sicパワー半導体では、国内企業が同じ役割を果たすことが可能です。

国内には多くの環境対応事業を行っている企業の集積があります。Sicパワー半導体を各用途ごとに使って効果を確認しながら、実装される装置や製品に適した機能・性能を持ったパワー半導体を低価格で供給する仕組みを構築できます。

このようにして開発されたSicパワー半導体は大きな競争力を持ちますので、海外企業に売ることにより、世界の環境対応製品の開発に貢献しつつ、パワー半導体の供給源としての地位、つまりプラットフォームを構築できます。

廉価なSicパワー半導体は、中小企業にとっても扱いやすく多様な環境対応装置や製品の実用化が期待でき、新規事業開拓のトリガーになる効果が期待できます。

今後とも、6インチSicパワー半導体の開発や応用状況に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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