- 松山 淳
- アースシップ・コンサルティング コンサルタント/エグゼクティブ・カウンセラー
- 東京都
- 経営コンサルタント
対象:人材育成
知識の弊害
数年前、ベストセラーとなった養老孟司氏が書いた
『バカの壁』という本があります。
氏は、解剖学の権威であり大学教授ですから、
それこそ私など逆立ちしても追いつけない
優秀な学生に対して医学のことを教えています。
そんな日々の中で、とても「がっくり」することがあるそうです。、
養老氏は何にがっくりきたのでしょうか?
それは、こんなエピソードです。
***
妊娠から、出産までを詳細に追った番組を学生にみせたところ、
女子は、将来的な自分の体験にひきつけて考えられるから、
「勉強になった、参考になった」という感想をもちます。
ところが、男子は「そんなの知っている。」
と情報を遮断してしまうそうです。
そして、こう安易に「知っている」という学生ほど、
すぐに「説明して下さい」とすぐ言うそうです。
***
このことに対して養老氏は、
そんな簡単に説明しろと言うけれど、
陣痛の痛みを口で説明できるか!
そんな口で説明したことで「わかった」と思われたら、
これはどこかおかしいんだ!
と、憤ります。
医学部に進むほどの学生さんですから、
砂漠が水を吸い込むように、
どんな「知識」でもどんどん吸収してしまうのでしょう。
ただ、知識はあるけれど、映像で見ただけで、
実際には妊婦の経験も、
間近で命の誕生の瞬間を見たこともない。
そんな学生ほどすぐに「説明して下さい」というのは、
自分が「わからない」ということが人一倍不安で、
その不安をすぐにでも解消したいがために、
「説明して下さい」と言うのかもしれません。
私は2度、出産に立ち合った経験があります。
養老氏が言うように口で説明できるものではないですね。
陽明学に『知行合一』という言葉があります。
「知識と行動は、一体であるべし」
という意味です。
知識が行動に結びついた時、
知識という種は、その花を咲かせたことになる。
そんな気がします。
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