子を巡る家事紛争に関する 最近の裁判例の研修を受講しました - 各種の離婚問題 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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子を巡る家事紛争に関する 最近の裁判例の研修を受講しました

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「子を巡る家事紛争に関する 最近の重要裁判例」(2012年05月29日開催の日弁連研修)      

の研修を受講しましたので、以下、参考となる個所を掲げます。

 

{講師]
榊原富士子弁護士(東京弁護士会)

1 親権者・監護権者の決定基準

親権や監護権を巡る紛争(家事審判・調停)は、2009年の司法統計で約5960件と、2000年と比較して約3倍に激増している。                                                                  

 決定基準は、以下の事情を総合考慮して、決定される。

 近時は、親権・監護権の決定基準は、男性の育児参画、紛争のグローバル化、子の意見表明権の尊重といった時代の流れとともに変化しつつあります。

(1)原則

・ 父母それぞれの事情

・ 子の意思                                                             

(2) 乳幼児の優先基準

時代につれて、裁判例の判断基準の変遷がみられる。

「母親優先」または「母性尊重」⇒「母性的な監護者」(例えば父方の祖母が養育している事例)⇒「主たる監護者」の基準へ。ただし、表現の言い換えに過ぎないとの批判あり。 

 現在、母が親権者となる割合は約8割。

 もっとも、実務上、父が親権者となる場合であっても、母が監護権者(養育者)となる例も多い。                                                             

(3) 子の連れ去りの違法性 

 母が別居する際の子の連れ去り(子連れ別居)については、違法とされた事例は、日本国内では存在しないようです。

 ただし、私の知るかぎり、アメリカなどでは、母による連れ去りも、kid-nap(未成年者誘拐)とされていますので、外国人と結婚され、外国に居住されている方は注意が必要です。

 別居後の父による子の連れ去りは、違法とされる可能性が強く、監護者としての適格性の欠如を示す重要な要素とみなされることが多い。                                                             

(4) フレンドリー・ペアレント・ルール 

 同居していない親に対して、面会交流に協力的な親は監護者として適性があると判断される傾向があるが、絶対的な基準ではない。

 しかし、面会交流に非協力的な親は、監護者としての不適格性を示す要素とされる傾向がある。

                                                            

2 刑事手続

別居後の父や父方の祖父母による子の連れ去りは、刑事上も未成年者略取罪に該当するおそれあり(実例として、最決平成17年12月6日、最判平成18年10月12日)

 

3 人身保護請求 

 人身保護規則4条の当該拘束が「顕著な違法性」がある場合に限って、人身保護請求は認められる。したがって、現在のところ、人身保護請求手続により子の引き渡しが裁判所によって認められる可能性は低い(最判平成5年10月19日、同平成6年4月26日、最決平成22年8月4日)。

なお、ハーグ条約に基づく請求の手続中は、人身保護請求はできない(同条約16条)。  

 

4 家事審判に基づく子の引き渡し請求の強制執行 

(1)間接強制

本案前であれば仮処分、本案であれば民事執行法172条

(2)直接強制 

動産執行(民事執行法169条類推適用)に準じて、執行官が子を義務者から監護権者に引き渡す方法。直接強制の対象となる子の年齢の上限は、せいぜい7歳程度(小学校2年生)までと解されているようである。

 

5 別居親と子との面会交流 

 平成24年改正民法766条1項は、協議離婚につき、監護者、面会交流、監護費用(養育費)を協議して定め、それに際しては、子の利益を最優先すべきと定める。                                                             

10年以上前は、別居の親(おおむね父)に子を(母親が)会わせないという慣行がまかりとおっていたが、近時は「面会交流は原則認める」という実務運用に移行しつつある

 

6 養育費                                                              

 2006年厚生労働省の母子世帯調査によれば、養育費の受給について、現在も受けているが19パーセント、受けたことがあるが16パーセント、受けたことがないが59パーセントである。                                                             

 なお、私見だが、子が乳幼児であって母が就労困難であり、かつ父が低・中級の所得者の場合、養育費を貰わずに、生活保護を受給したほうが、かえって生活レベルが高いのではないかという事例も見受けられる。                                                             

  裁判所の定める養育費の算定表につき、問題点を指摘されることがある。特段の事情(医療費、教育費など)による養育費の増額を裁判所は認めないことが多い。

  ただし、近時の不景気を反映してか、義務者の収入減少を理由に、養育費減額を認めた事例が散見される。

 また、子の成人後の大学在学中(例、20歳を超えて大学卒業予定の22歳になる年の属する年の3月まで)については、養育費の支払義務を認めないのが裁判実務である。                                                            

 

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