早わかり中国特許:第15回 中国特許出願前の注意事項 (3) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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対象:特許・商標・著作権

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早わかり中国特許:第15回 中国特許出願前の注意事項 (3)

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早わかり中国特許

~中国特許の基礎と中国特許最新情報~

第15回 中国特許出願前の注意事項 (第3回)

河野特許事務所 2012年9月20日 執筆者:弁理士 河野 英仁

(月刊ザ・ローヤーズ 2012年7月号掲載)

 

5.出願から特許成立までの流れ 

 参考図1は発明特許出願から登録までの流れを示す説明図である。以下に概要を説明する。 

 

  参考図1 発明特許出願から登録までの流れを示す説明図

 

(1)初歩審査

 出願後出願公開前に、初歩審査(日本でいう方式審査)が行われ方式的要件を具備するか否かが審査される。方式的要件に違反する場合は、補正命令がなされる。出願人は補正命令に対し、2ヵ月以内に意見書及び補正書を提出し、不備を解消することができる。また出願に顕著な不備が存在する場合は審査意見通知書が出願人に通知される。この場合も出願人は意見書及び補正書を提出することができる。

 

 方式要件に合致する場合、初歩審査合格通知が発行され、公開の準備に入る。方式要件に合致しない場合、出願が却下される。出願却下の決定に対しては、復審委員会に復審請求を行うことができる。

 

(2)出願公開

 出願日(優先権を主張している場合優先日)から15ヶ月が満了した時点で出願公開の準備が行われ、出願から18ヶ月の期間満了時に公開される(専利法第34条)。

 出願人は知識産権局に対し早期公開の請求を行うことができる。早期公開を行うメリットは2つある。中国において出願の審査は、公開された順に行われる。従って早期公開請求を行うことにより、審査も早期に行われることとなる。

 また、中国においても日本と同様に補償金請求権制度が存在する。専利法第13条は以下のとおり規定している。

 

専利法第13条

 発明特許出願の公開後、出願人はその発明を実施している機関又は組織又は個人に対して、適当な費用の支払いを請求することができる。

 

 実務上は補償金請求権を目的とするのではなく、早期権利化を求めて早期公開を行うことが多い。中国企業は審査請求と共に早期公開請求を併せて行うことが多い。方式審査合格前に早期公開請求がなされている場合、方式審査合格後に公開が行われる。

 また、方式審査に合格している場合、早期公開請求があった時点で出願内容が公開される。

 

 出願から15ヵ月を超えた時点で方式審査に合格していない出願は、公開が延期される。方式審査を具備せず却下された出願、取り下げられた出願、または、秘密保持命令が確定した出願については、発明の内容が公開されない。

 

(3)審査請求

 発明特許出願の出願日から3年以内に、知識産権局に対し審査請求を行わなければならない(専利法第35条)。なお、優先権を主張している場合は優先日から3年以内に審査請求することが必要である(細則11条)。

 ここで、出願人が正当な理由なく期間を経過しても実体審査を請求しない場合、出願は取り下げられたものとみなされる。

 

                                                                コラム

                                       外観設計特許権技術評価報告書の運用実績

 

 外観設計特許権技術評価報告書制度は、第3次法改正に伴い新設されたものであり、無審査で登録される外観設計特許権の有効性について知識産権局が見解を示すものである(専利法第61条第2項[1])。主に人民法院が外観設計特許権侵害訴訟において審理を中断するか否かの判断材料として用いるものである。

 

 知識産権局は2009年10月1日から2011年12月31日までの本制度の運用実績を発表した。参考図2は無効理由の内訳を示すグラフである。

 それによれば報告書の請求は全部で427件あり、取り下げられた4件を除き、現在のところ341件の報告書の作成が完了している。そのうち、80件は特許性無しとの判断がなされ、残りの261件は特許性有りと判断されている。およそ76.5%の外観設計特許権が有効と判断されている。

 

 特許性が否定された理由は以下のとおりである。

専利法第9条第1項(ダブルパテント)・・・6件

専利法第23条第1項(新規性)・・・25件

専利法第23条第2項(創作非容易性)・・・48件

専利法第9条第1項(ダブルパテント)かつ専利法第23条第2項(創作非容易性)・・・1件

 

参考図2 無効理由の内訳を示すグラフ

 

 有効と判断される割合が高い一方で、無効と判断される主な理由は創作非容易性であることが理解できる。創作非容易性要件は、第3次法改正により導入されたものであり、外観設計は現有設計または現有設計の特徴の組合せに比べて、明らかな相違がなければならないとするものである。

 

 なお、特許権評価報告書自体は審査官の一見解にすぎず、何ら法的拘束力は有さない。外観設計特許権を無効とするためには復審委員会に無効宣告請求をするほかない。

 

                                                                                                                                         以上



[1] 専利法第61条第2項

 特許権侵害の紛争が実用新型特許又は外観設計特許に関わる場合、人民法院又は専利業務管理部門は、特許権者又は利害関係者に、国務院特許行政部門により係争実用新型又は外観設計に対する調査、分析及び評価の上で作成された特許権評価報告を提出するよう要求し、それを特許権侵害の紛争を審理、処理するための証拠とすることができる。

 

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