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日経記事;『原発に代わる電力は 石炭の技術力 世界に』考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月19日付の日経新聞に、『原発に代わる電力は 石炭の技術力 世界に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『原子力発電への依存を減らす場合、何が代わりの電力源となるか。古くて汚れたイメージで見られがちな石炭の技術が日本のエネルギー戦略のカギとなる可能性がある。

横浜港に近いJパワーの磯子火力発電所は、「超々臨界圧」と呼ぶ発電設備を2基備える。蒸気の温度と圧力を極限まで高め、石炭火力で世界最高の熱効率を達成した。

タービンの回転はマッハの速度。聞こえるのは「キーン」とジェット機のような音だ。煙突には煙の影もなく、黒煙をまき散らす過去の火力発電所の姿からはほど遠い。

石炭は原油や液化天然ガス(LNG)に比べ価格が安いが、環境への影響が弱点とされる。二酸化炭素(CO2)の排出量が多く、排気も問題視されるためだ。

このため日本では同じ火力でも燃料はLNGが中心。震災で原子力発電が止まり、電力各社が慌てて調達したため、そのLNGの輸入価格が跳ね上がっている。これが日本の経常赤字が膨らんだ最大の要因である。

世界の情勢は違う。米国や脱原発に踏み出したドイツでは、石炭の比率が45%と高い。中国は80%、インドも70%と、新興国は比率が高く、アジアでは今後20年間で石炭火力が2倍以上増えると予測されている。

国内の「脱原発依存」と海外の「石炭依存」――。ここに日本のエネルギー戦略の道筋が見えてくるのではないか。磯子発電所が象徴する技術力をいかせば、日本の経済安全保障を高める外交政策を描けるはずだ。

熱効率が高い磯子のCO2排出量は、最もクリーンな化石燃料のLNGよりは多いが、標準的な石油火力に迫る。一方、アジア各国の石炭火力の効率はまだ低く、磯子の7割程度だ。

中印を中心に石炭火力発電所の増設が続くのは間違いない。環境に負荷が少ない日本の技術と製品への需要は一段と高まる。高性能の石炭火力が新興国・途上国に普及すれば、地球全体でのCO2削減につながる。

問題は価格競争だが、プラントの輸出企業が相手国で削減したCO2を自分の排出権として使えれば、企業は収益に組み込める。2国間で排出権を共有する制度の導入が、経済外交の優先課題として浮上してくる。

中印が石炭を買いあさる事態にも備える必要がある。石炭は世界のどこにでもある資源。だからこそ安いのだが、産炭国である中国は2009年に輸入超過に転じ、日本に次ぐ世界第2位の輸入国となった。インドの輸入量も、03年から10年までに4倍以上に増えた。

日本の石炭の輸入先はオーストラリアとインドネシアが主だ。米国産の安いシェールガスに押され、米国とコロンビアからも石炭の輸出が見込まれている。安定調達のために連携を強めたいが、インドネシア以外とは、日本は自由貿易協定(FTA)を結べていない。

日本の石炭技術は1960年代の公害の試練を乗り越えて進化した。世界を見回せば、その戦略的な価値が増している。』


環境対応技術は、国内産業の強みの一つです。例えば、8月3日付の日経新聞に『日立製作所と東北大学は石炭火力発電所の二酸化炭素(CO2)排出を2割削減できる新技術を開発した。』と報じられています。

石炭火力の原理は、石炭を燃焼した熱で蒸気を発生し、その蒸気でタービンを回して発電します。燃焼温度を上げると効率良く石炭を燃やせるようになり、発電効率やCO2の排出を減らせます。。

現在の技術では、最先端の設備でもセ氏600度までしか耐えられませんでしたが、日立などは素材の改良でセ氏800度の高温運転に耐えられる新技術を開発したとのこと。

新技術は設備の耐熱性を高め、CO2排出が少ない効率運転を可能にします。石油火力のCO2排出量は約740グラムのため、800度の高温石炭火力プラントが実現すれば逆転します。約600グラムの蒸気タービン型LNG火力のCO2排出量にも近づくことになるとのこと。

つまり、日立の新技術で、石炭のCO2排出量は石油より低く、LNG火力に近づきます。

記事によると日立は、上記新技術で2020年に実用化し、環境面と低コストを両立する新型の発電設備として、石炭火力の設置を増やす新興国を中心に売り込むとされています。

国内の発電は現在、LNG火力が主力ですが、LNGの難点は価格の高騰です。現在、米国が主導して進めている安いガスであるシェールガス導入を検討していますが、実現までには時間がかかります。

石炭の魅力は、LNGと比べて燃料費が半分程度と低いことです。石炭の埋蔵量は石油よりはるかに多く、世界中にあります。

Jパワーや日立などの動きは、燃焼温度を上げると効率良く石炭を燃やせればCO2排出量を石油やLNG並みに抑える技術の実用化を示しています。

日立などの関連メーカーは、当然、この新技術を使った新石炭火力発電プラントをインドや中国などの新興国に売り込んで、環境対応に協力しながら国内産業の新規事業の柱の一つにできる可能性があります。

同時に、国内でもっと石炭火力発電プラントの導入促進を検討する必要があります。現在の日本は、原発事故以降、太陽光発電や風力発電などを中心にした自然再生エネルギーによる火力発電の増加を進めています。

現在の自然再生ネルギーの最大の課題は、不安定な発電量とコストの高さです。原発依存度を下げて、安定した発電量を安いコストで確保するための現実的な方法は、当面の間、火力発電になります。

記事によると、脱原発を決めたドイツは、石炭の比率が45%と高いとのこと。日本はもっと石炭発電の魅力を考えて、新規プラントの設置を検討する必要があります。

並行して、廉価な石炭の確保を、資源国であるアメリカやオーストラリアなどの協力を得ながら進める必要があります。インドや中国は電力供給量の不足に悩まされており、経済発展と共に、石炭火力発電プラントの新規設置が加速されます。

将来、石炭の奪い合いが起こる可能性もあります。新規石炭火力発電プラントを世界市場に売り込むだけでなく、国内でもより積極的に当該プラントによる発電量の増加と、廉価に石炭を調達できる仕組みを考え実現する時期に来ています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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