共有の居住用不動産を売却した場合の所得税の特例は? - 確定申告 - 専門家プロファイル

近江 清秀
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共有の居住用不動産を売却した場合の所得税の特例は?

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所得税

【譲渡所得質疑応答-6 共有の居住用不動産を売却した場合の所得税の特例は?】

<事例>
消費税増税が成立しました。消費税が増税になる前に自宅の買換えを
検討する方が増えると思います。そこで今回は、すこし複雑な買換え特例の
パターンを検討してみます

ABの兄弟は、15年前に2階建ての2世帯住宅共有名義で購入しました。
その後15年間兄のAは、1階で家族とともに生活をしていました。

ところが、弟のBは5年目に関東へ転勤することになったため
家族とともに転勤先で賃貸マンション生活をすることになりました。
転勤の期間中、2階部分についてはBが他人に賃貸し家賃収入を得ていました。


その後Bは8年間の転勤生活を終えて、家族とともに2階部分での生活を
再開しました。 しかし、その2年後にABともにこの2世帯住宅を売却して
それぞれが新居を購入することになりました。

このような事例の場合に、どのような所得税の特例を適用できるのでしょうか

<解説>
一般的に、居住用不動産を売却する場合に適用できる特例としては

・3000万円の特別控除
・長期居住用不動産の軽減税率
・特定居住用財産の買換え特例

この3項目が考えられます。ABそれぞれの立場で上記特例が適用可能か
どうかの確認をします

・まず特定居住用財産の買換え特例ですが最初に確認すべき適用要件は
『売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日において
 売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること。』

この点に着目すると、兄のAは15年間引越しをしていないので適用できますが
Bは、途中で転勤があったため居住期間が7年間しかなく適用できません。

なお、詳細な適用要件は下記URLでご確認ください
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3355.htm
(措法36の2、36の3、措令24の2、措規18の4)

・次に3000万円の特別控除ですが、
この制度には居住用不動産の所有期間・居住期間の制限がありませんので
Bは、3000万円の特別控除を適用することができます。

一方でAは、上記の特定居住用財産の買換え特例と3000万円特別控除の
重複適用は認められていませんので、どちらかを選択する必要があります

詳細な適用要件は下記URLでご確認ください
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm
(所法33、措法35、措令20の3、23、措規18の2、措通31の3-2)

・最後に長期居住用不動産の軽減税率ですが
この特例の適用要件のポイントは、所有期間であって居住期間ではありません
『売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間が
 ともに10年を超えていること。』

したがって、弟Bは3000万円の特別控除と、この長期居住用不動産の
軽減税率を併せて適用することができます

しかし、この特例も特定居住用財産の買換えとの併用ができません。
兄Aは、ここでもどの特例を適用するのかを選択する必要があります

詳細な適用要件は下記URLでご確認ください
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3305.htm

このように、居住用不動産を売却した場合の所得税の計算には
複雑な特例の適用要件の判断が必要となってきます。

実際に売却を検討する際には、事前に特例の適用要件を
充分に確認の上で資金繰りを計算する必要があります。


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