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日経記事;"三菱化学やクラレ植物使う樹脂量産 車部品等向け"考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月11日付の日経新聞に、『三菱化学やクラレ、植物使う樹脂量産 車部品など向け』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『素材大手が植物を原料に使う合成樹脂や合成ゴムを量産する。三菱化学は8月に専用の樹脂プラントを立ち上げ、2025年に原料の2割を植物にする。

クラレも植物由来のゴム生産設備を来年にも稼働させる。植物を原料に、硬い高機能な樹脂を作る技術などの開発が進んできたため、いち早く量産して自動車や電気製品向けの用途開拓を急ぐ。

三菱化学は植物に含まれる糖を原料にした透明樹脂を開発した。黒崎事業所(北九州市)で8月中に稼働する年産5000トンの設備で生産する。

自動車部品や電気製品に使う高機能な樹脂に代わる素材として販売する。米バイオベンチャーとも提携し他の石化製品でも代替を進める。

クラレはサトウキビの糖を発酵させた原料からタイヤ添加剤の液状ゴムを生産する。鹿島事業所(茨城県神栖市)にある年産1万トンの既存設備を改造するなど本格生産への準備を進める。

植物由来の原料は環境負荷の軽減と同時に、高値が続く石油の代替にもなる。生産技術の進展で石油由来の素材にない利点も出てきた。

素材自体が硬いため傷つきにくくする表面処理が不要になり、用途によってコストを1~3割減らせる。タイヤ用ゴムでは走行中に熱が発生しにくく燃費を向上できる。』

植物使う樹脂は、既に実用化されており、多くの素材や製品が身の回りに存在しています。例えば、植物由来プラスチックがあります。

植物由来プラスチックは、飼料用トウモロコシ(食料用とに使えません)などの植物資源を原料にして作られるプラスチックのことです。その代表的な樹脂としてポポリ乳酸(PLA)があります。

トウモロコシのデンプンから乳酸を作り、ポリ乳酸とします。ポリ乳酸から様々なプラスチック製品が商品化されています。

記事にあります、三菱化学やクラれは、植物由来樹脂の代表的な企業の一つです。

植物由来のプラスチックが燃焼や生分解する際に放出されるCO2は、植物が成長過程に光合成で取り込んだCO2を再放出したもので、それは再び植物の光合成に使われます。植物由来プラスチック素材の利用は、CO2発生抑制につながり、地球温暖化対策に貢献するとされます。

経済的観点からは、植物由来樹脂は石油などの化石資源の使用量削減につながりますので、使用依存度を下げる効果が大きくなります。

特に、今のように石油の高値が続いている状況では、植物由来樹脂の用と範囲が広がることは、製造コストの削減に寄与します。

植物由来樹脂の用とを広げた量産は、環境対策と国内の石油依存度を下げるダブル効果となります。

使用する植物は、食用のものではありませんので、一時期米国やブラジルで食用のトウモロコシを、バイオエタノールとして活用したこととは一線を画します。

国内素材メーカーは、植物由来樹脂の開発で世界最先端の技術をもっています。また、国内に多くの部品・製品メーカーが存在しており、新素材の開発から量産、使用するまでの一連のプロセスを可能にする産業集積が出来あがっています。

これが、国内の素材産業が世界市場で差別化・差異化できる原動力の一つです。

8月4日の日経記事に、『ブリヂストンはタイヤ主原料「ブタジエン」を植物由来のエタノールからつくる技術を開発した。

低コストの新型天然ガス「シェールガス」を使った化学品原料の生産が広がっているため、ブタジエンの原料が不足する懸念がある。

三菱化学も別の新製法を開発済み。シェールガス革命に対応した生産技術の開発が化学メーカーの競争力を左右する局面に入った。。。』とあります。

石油や液化天然ガスの価格は高止まりしています。シェールガスは埋蔵量が豊富ですので、今後シェールガスの使用量が飛躍的に伸びることは確実です。

石油加工過程で出るブタジエンを植物由来のエタノールから作る意義がここにあります。

この他、国内の素材産業の技術的な厚みを示す事例として、レアアースがあります。2~3年まから、中国はレアアースの生産と輸出を抑制した結果、一時期ほどでないにしろ、レアアースの価格は高止まりしています。

また、中国はレアアースの輸出規制を更に強化する可能性は高いものがあります。国内企業は必然的にレアアースへの依存度を下げる必要があります。

この必要性が母になって、各社は一斉にレアアースの代替材料や使用量を減らすための技術開発を加速化させています。

例えば、信越化学工業が開発したのは、レアアース磁石に含まれるジスプロシウムを減らす技術です。

耐熱性向上のために入れるジスプロシウムは用途によって使用量が異なります。

自動車やエアコン向け磁石なら、ジスプロシウムは重量比で材料全体の5~7%を占めるとのこと。製法を見直し、このうち3%分を減らすことに成功しました。もともと3%分のジスプロシウムを含む磁石であれば、ほぼゼロにできるとされます。

TDKもジスプロシウムの使用量をゼロに抑える技術を開発済み。インゴットを粉砕する工程で、粒子の大きさを従来の半分以下に微細化する。磁石は粒を細かくするほど、高温下でも磁力を保つ「保磁力」が高くなり、微細化は省ジスプロシウムにつながる、とのこと。など。

8月10日付の日経記事では、『経済産業省は海外からのレアアースの調達量を減らす技術開発を支援する。レアアースを使わずに済む部材や廃棄した家電からレアアースを回収する技術の研究開発費を補助する。。。』とのこと。


上記事例は、各種の代替素材などを開発できる国内素材産業の技術的厚みと強さを示しています。新素材や代替素材が出てきますと、必ず新規事業につながります。

また、周辺の中小企業は、大手が開発した技術を応用して独自の技術を取り入れて、新技術や新製品の開発を行える力をもっています。

これも産業集積がもたらすプラス効果です。

日本初の素材・部材・部品・製品を海外市場に売り込んで、環境対応や石油などの依存度を下げながら、新規事業を伸ばしていくことがますます大事なことであり、国内産業の育成強化につながります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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