日経記事;"海外M&A成功の秘訣 買収は契約後が勝負"に関する考察 - M&A - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;"海外M&A成功の秘訣 買収は契約後が勝負"に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 事業再生と承継・M&A
  3. M&A
経営戦略 M&Aの事例と経営上の課題

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月10日付の日経新聞に、『海外M&A成功の秘訣 買収は契約後が勝負 永守重信・日本電産社長に聞く 方針示し経営委ねる』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
 
『日本企業が海外企業を積極的に買収している。今年1~6月の買収件数は丸紅が米穀物商社(2860億円)の買収に合意するなど、262件(レコフ調べ)に上り、上半期で過去最多となった。

円高を活用し国外に成長を求める傾向は強まる一方だが、成功の秘訣は何なのか。創業以来35社を買収した日本電産の永守重信社長に聞いた。

お買い得でない

――日本企業が海外でM&A(合併・買収)に積極的です。

「為替が円高に動くたびにM&Aブームは起きる。だが、買収後にうまくいったケースが少ないのはよく知られている通りだ。登山に例えれば、M&Aは契約の時点で2合目しか登っていない。残りの8合分は企業文化の違いを擦り合わせる『PMI』という手間のかかる作業で、これがまた難しい」

――円高は本当に追い風でしょうか。

「円高だからお買い得というわけではない。売り手もこちらの状況を知っているから価格をつり上げる。当社は6月にイタリアの老舗モーターメーカー、アンサルドを買収したが、入札では内外12社が競合し売値がじりじり上がった。結局通常より割高で買わざるを得なかった」

――それでも日本市場が縮むなか、海外への期待は大きいです。M&Aで重要なのは何ですか。

「私の場合は一生懸命働く、解雇をしないなどの理念を相手が持っているかどうかを見極める。海外企業であれば経営者も見る。

人事制度や企業文化が違うから日本人が経営するのは本来無理。任せられる人がいるかどうかがカギであり、大きな方針は示しても、オーナー株主という一歩引いた気持ちで経営を委ねている。シナジー効果や技術力も大事だが、優先順位はそれらの次だ」

「イチロー式」で

――日本電産はM&Aで成長しました。

「野球で例えればイチロー選手だ。小さな買収を重ね、ヒット、ヒットでつなぐ。私だってできればホームラン(大型買収)を打ちたいが、身の丈というものがある」

――経営不振企業も買収し、再生しました。

「そうした企業の多くは買収金額がほぼゼロの状態で買うので、意外に自己資本を毀損する危険がない。むしろ買収して再建したら、あとは価値を生むだけ。

日本電産サンキョーや日本電産シンポなどの子会社は今年になって韓国のモーター会社や米プレス機大手を買収している。M&Aによる成長循環は『第二のステージ』に入った」

――海外をみると米アップルや韓国サムスン電子などは意外にM&Aをしていません。

「アップルは新しいビジネスを創造している企業であり、買収すべき会社がどこにもないからだ。韓国などアジアの企業は日欧米の後を追う経営モデルだから、これまでは日本の技術者を引き抜いてアップルや日本企業と同じモノをつくっていればよかった」

「ただ中国などが台頭してきたから、今後は経営モデルも変わる。先端技術を開発するため、日本など先進国の企業を買いに来る可能性がある。そうしたら企業買収で時間を買わないといけない日本とM&Aでも競うことになるだろう」』


日本電産は、国内企業の中で例外的にM&Aを積極的に行って規模の拡大を目指し、コア事業である精密小型モーターの開発・製造で、世界一のシェアを持っている企業です。

永守重信さんは、日本電産の創業者です。

永守さんが創業者として陣頭指揮を取って、日本電産を引っ張ってきました。永守さんの明確な方針や指示のもとに、M&Aを多くこなして買収した各事業の再生と拡大に成功しています。

会社勤務時代及び、経営コンサルタントとして独立後、中小企業同士のM&A支援を行ってきた経験からいいますと、M&Aを行って買収側がシナジー効果を出すのは簡単ではありません。

永守さんは、上記記事の中で、「登山に例えれば、M&Aは契約の時点で2合目しか登っていない。残りの8合分は企業文化の違いを擦り合わせる『PMI』という手間のかかる作業で、これがまた難しい」と述べています。

この感じは、私の実感と全く同じです。

PMIとは、“Post Merger Integration”のことで、M&Aによる統合効果を確実にするために、M&A初期段階より統合阻害要因等に対し事前検証を行い、統合後にそれを反映させた組織統合マネジメントを推進することと定義されています。

私は、PMIを買収後の「組織融合」として理解しています。

M&Aは、言わば、他人同士の結婚みたいなものです。お互いに生まれ育った家庭環境、社会風土、経済力などが異なります。結婚は、このように背景の異なる二人が同じ屋根の下で共同生活して、社会の中で生きていくことです。

建設的かつ継続的に生活するには、二人の相互理解と思いやりなどが愛情に加えて必要になります。

企業同士のM&Aも全く同じです。
今まで異なった企業風土・文化を持つ企業同士が一緒になって同じ屋根の下で、事業活動することになります。

そこで、永守さんが言われるようにPMIが買収した企業にとって最重要課題になります。組織融合を失敗しますと、買収前に想定したシナジー効果を出せないばかりか、大きな経営的な痛手を被る場合もあります。

一般的にPMIは、経営方針やビジョン・戦略・マーケティングなどの経営に関することや、管理体制(組織、会計制度、業務管理、人事制度、コンプライアンスなど)を統合するとされています。

しかし、実際のところ、特に海外企業を買収した場合、全ての分野について買収企業側の風土に
合せさせることは至難の技ですし、不可能です。

多くの場合、買収後も既存の体制で経営を維持強化させるやり方になります。
この時に最も重要なことは、買収先企業のトップに経営を任せられるかどうかの判断ができるようにすることです。

この為には、M&Aの交渉を行っているときから、買収先企業のトップや企業文化や風土を良くみて理解しておくことが重要です。

特に買収側企業トップが、買収先企業のトップとの意思疎通や共通理解、信頼感を持てるかどうかの見極めが重要になります。

買収側にとって、上記信頼感を買収候補企業に見いだせない場合、M&A活動は中断した方が良いです。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム

このコラムに類似したコラム

M&A(合併・事業譲渡・会社分割)と労働契約関係 村田 英幸 - 弁護士(2012/09/30 10:23)

日経記事;"(社説)企業買収の手腕を磨いて成長の加速を"考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2012/09/06 10:14)

事業承継とM&A(合併) 村田 英幸 - 弁護士(2012/01/31 21:55)

日経記事;腰据えた現地化に果実 M&Aに賭ける(中) に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2011/10/15 09:20)

日経記事;海外M&A再加速 日本企業、震災後2割増 に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2011/05/31 08:23)