日経記事;"ニコン,インテルから開発費次世代半導体製造装置"考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;"ニコン,インテルから開発費次世代半導体製造装置"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月8日付の日経新聞に、『ニコン、インテルから開発費 次世代半導体製造装置で』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『ニコンは米半導体大手のインテルと共同で、次世代半導体製造の中核となる露光装置を開発する。現行より大きい半導体ウエハーに回路を描くことでコストを半減させる技術を、2018年までに実用化する。

インテルは数百億円の開発費負担を決めたもよう。ニコンは同装置で世界2位。最大顧客のインテルからの資金支援を得て、開発を加速させる。

半導体露光装置で世界シェア8割のオランダASMLもインテルから出資などによる最大41億ドル(約3200億円)の資金協力を取り付けたばかり。半導体メーカーと装置メーカーの連携が進んできた。

ニコンとインテルは、直径を現行の300ミリメートルから450ミリメートルに大きくしたウエハーに対応できる露光装置を開発する。

450ミリメートルウエハーは1度に生産できる半導体チップ数が倍増し、製造コストは半減する。インテルとの共同開発により、ASMLよりも早い商品化を目指す。

インテルは製造装置大手2社との関係強化により先端技術の開発力を強め、半導体業界での優位を維持する考えがある。

半導体世界2位の韓国サムスン電子や日本勢も、装置メーカーとの関係強化などに動く可能性がある。』


半導体露光装置は、半導体部材のウエハー上に、ナノ(ナノは10億分の1)メートル単位の微細な電子回路を転写する工程に使う装置のこと。レンズを通した光で、電子回路の原画をウエハー上に焼き付けていきます。

回路が微細になるほど、高い解像度のレンズとナノメートル単位で原画とウエハーの位置を正確に合わせる精密さが必要になります。

最近の半導体は、微細技術が進んでおり、それに伴って製造コスト削減のためのウエハーの大型化や微細化に対応する半導体製造装置の新規開発には、数千億円程度の巨額投資を必要になるといわれています。

半導体露光装置メーカーは、オランダASMLと、日本のニコン、キャノンなどです。このうち、ASMLが、世界シェアの8割を持っているとされます。

このASMLも、次世代の半導体製露光置開発のために、巨額の投資を1社単独でカバーすることは出来ないため、顧客である半導体メーカーに出資(合計で25%を上限として)を提案していました。

その結果、ASMLは、インテルから最大15%、8月には台湾積体電路製造(TSMC)も出資と開発費など合わせて約1080億円を支援すると発表しました、TSMCから最大5%の出資を受け入れるとされています。

更に、韓国サムスンもASMLへの出資を検討中とのこと。

今回、半導体製造装置の中核となる露光装置で世界2位のニコンは、インテルから数百億円の開発負担の協力を得て、次世代露光装置の開発を行うことになったと発表されています。

このメーカー間の提携;連携の動きは、自動車産業の状況と似ています。

自動車産業の場合、次世代環境対応車(ハイブリッド車、電気自動車、水素自動車など)の開発には、巨額の投資が必要になるため、ホンダを除く自動車メーカーは、複雑な連携体を組んで、リスク分散を図りながら、最新技術を取り入れた自動車開発を進めています。

自動車業界では、提携;連携の巧みさが競争力の優劣に影響する状況になっています。国内メーカーでは、トヨタや日産はしなやかな提携;連携関係を構築・維持しています。

インテルが、ニコンとASMLの両半導体露光装置メーカーに出資、若しくは、開発資金を供与する理由は以下の通りとみます。

・次世代半導体露光装置は、将来の半導体の技術開発と低コスト化のために必要不可欠なものであり、1社に頼っての開発失敗のリスクを軽減する。

・次世代半導体露光装置の開発過程で、顧客側であるインテルの声を強く反映させて、将来の半導体競争で優位に立つようにする。

・ニコンとASMLを競争させて、より性能が良く低コストな半導体露光装置を使えるようにする、2社購買体制を確立する。

・同様に、ニコンとASMLに開発競争させて次世代半導体露光装置の開発スピードを上げさせて、インテルが競合他社より早く次世代半導体を事業化する。など


一方、ニコンにとっては、ASMLに先行された大規模な企業の提携;連携体作りに対して、一つの対応策を確保できた形になります。

しかし、ニコンの場合、インテルから数百億円の開発費支援を受けますが、現時点では残りの開発資金は自己調達する必要があります。

更なる提携;連携先を探して、開発資金確保を行うかどうか、状況をみていきます。

ニコンにとっては、より高性能、且つ、低価格の次世代半導体露光装置の開発を、ASMLより早く達成できるかどうかが今後の事業に大きな影響を与えます。ニコンは、資金面だけでなく技術面でもASMLとの激しい競争を行っていく必要があります。

今後の半導体は、インテルを中心に技術開発競争が加速していくとみられており、次世代半導体の開発・製造に必要な製造装置や検査装置などでも、露光装置と同じように、半導体メーカーと装置メーカーの提携;連携が増えることが予想されます。

自動車業界と同じように、提携;連携のやり方が、将来の事業性を左右する事態になります。

半導体装置メーカーと半導体メーカーの提携;連携のやり方は、中小製造業者が取引先と行う提携;連携の参考事例の一つになります。

今後も、インテル、サムスン、ニコンやASMLなどの動きを注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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