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日経記事;"いすゞ,国内で生産増強 トラックなど330億円投資"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。
 
8月5日付の日経新聞に、『いすゞ、国内で生産増強 トラックなど330億円投資』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

『いすゞ自動車は2012年度に約330億円を投じ、国内の生産拠点を増強する。トラックの生産を増やすほか、新興国に供給するエンジン部品の生産能力を4割程度拡大する。

トラック大手では日野自動車も国内に2つの新工場建設を計画している。基幹部品などを国内で集中生産する体制をつくり、円高下でも海外での製品競争力を維持する狙いだ。

日本企業では建設機械大手のコマツがエンジン、油圧機器、コントローラーを基幹の「Aコンポ」と名づけ、国内でつくり続ける戦略をとっている。集中生産でコスト競争力をつける一方、下請けの部品メーカーを含めたものづくりの基盤を維持しながら、長期的な視点で競争力強化を目指す動きがトラックメーカーにも広がってきた。

いすゞは主力の藤沢工場(神奈川県藤沢市)に約260億円を投じ、トラックやエンジンの生産能力を増強する。栃木工場(栃木県栃木市)ではエンジンの機械加工や組み立て設備に約40億円を投資する。東日本大震災からの復興需要に加え、大洪水後のタイを中心に海外で需要が伸びているのに対応する。

エンジン部品では製造子会社「アイメタルテクノロジー」でも鋳造部品の設備導入に30億円を投じる。別の子会社、いすゞエンジン製造北海道(苫小牧市)では来春までにタイのピックアップトラック向けエンジン部品の生産量を4割増やし、年間40万個体制にする。基幹となる部品の国内生産能力は車両換算で80万台分程度まで高まる見通しだ。

いすゞは4~6月期の純利益が前年同期比で2.5倍の216億円となり、4~6月期として過去最高を更新した。復興需要が続く国内のほか、アジアでの小型トラックの販売が同5割強増加。タイで生産するピックアップトラック「D―MAX」も5割弱増えた。

このため、今秋にタイで第2工場を本格稼働する予定で、12年度のピックアップトラックの出荷台数は前期より3割程度多い39万台に拡大する。

トラック業界では日野も昨年10月から茨城県古河市で車台などの基幹部品を生産する新工場を建設中。群馬県太田市にも新たにエンジン工場を建設し、国内外に供給する計画だ。

トラックは生産台数が少なく、部品も少量多品種のため、現地生産へのシフトは乗用車より時間がかかる。国内トラック2社は東南アジアや中国など新興国での需要が今後も拡大していくと判断。基幹部品の増産を国内で集中し、量産効果を高めることでコスト競争力を守る。』


今まで、何回か国内製造業の国内生産について書いてきました。一般的には、異常な円高が長期間定着していますので、主要な中堅・大手企業は海外生産を強化しています。

中堅・大手製造業を顧客にしていた中小企業は、既存顧客が海外生産を強化したため、集客に苦しみ、海外の顧客・販路開拓、海外移管や新規事業立ち上げなどをする必要に迫られています。

私も、ここ2~3年以内の中小企業支援は、海外販路開拓、新規事業立ち上げ、及びこれらに関連した市場調査や事業計画作成・実行支援が中心になっています。

一方、国内製造業の中には、海外に製造拠点を移さず、国内製造に特化して差別化・差異化を図る企業も存在しています。

今回の記事にあります、いすゞもその一つ。いすゞの場合、国内外(特にアジア)で需要が伸びていることを背景に、国内のトラック生産及び海外工場に供給するエンジン部品の生産能力増強のため、2012年度に約330億円投資するとのこと。

国内トラック製造企業大手の日野自動車も国内に2つの新工場建設を計画している。基幹部品などを国内で集中生産する体制をつくり、円高下でも海外での製品競争力を維持する狙いだ、とされています。

トラックは、乗用車と異なってほとんどの需要が業務用途ですので、生産台数が乗用車と比べると小さく、各国・地域に製造拠点を持つやり方は不要ですし、非効率です。

従って、製造拠点を集約し、供給するやり方になります。異常な円高影響を除けば、通常は開発拠点がある国内に製造拠点を集約します。

国内製造のポイントは、円高と高コスト対策です。顧客が国内にいる内需型企業は、円高対策は必要ありませんが、多くの製造企業は海外に顧客を持っているため、円高対策をする必要があります。

いすゞや日野自動車は、基幹部品の増産を国内で集中し、量産効果を高めることでコスト競争力を守る、としています。

量産効果によるコストダウンは、他の大手製造企業でも行われています。

一つは、5月14日に“日経記事;『キヤノン、デジカメ生産無人化 世界初』に関する考察 [ビジネス雑感]”のタイトルで書きましたように、徹底的な自動化・無人化工場による、労働コスト圧縮と量産コスト削減で、キャノンのデジカメ工場を国内に残すやり方です。

他企業としては、ファナックが行っています自社製の知能ロボットを活用した無人の生産ライン;工場のロボット化が有名です。同社は国内で集中生産し、海外に輸出しながら、この生産革新によって、40%近い営業利益率を稼いでいます。

かって、世界の工場と言われた中国では、労働者の人件費高騰が続いていることと、一人っ子政策の影響などから多くの労働力を確保できなくなりつつあります。

安い労働力を確保する必要がある製造企業は、他のアジア諸国に製造拠点を移していきますが、量産化や自動化で低コスト化を図れる企業は、円高対策が可能なら国内に拠点を戻すことも可能です。

ポイントは、当該製造企業が国内製造で、円高、労働コスト、及び電気代などのエネルギーコストなどを吸収できる事業の仕組みを作れるかどうかです。

いすゞや日野自動車、或いは、キャノン、富士通ファナックなどのやり方は、参考事例の一つになります。

決して全ての製造企業ができるやり方ではありませんが、ITの徹底活用や省エネ対策など創意工夫の結果で可能となれば、開発拠点がある国内で製造するメリットを得られます。国内には多くの関連企業が存在していることもメリットの一つです。

また、政府には、国内製造企業が投資しやすいように、法人税の引き下げや投資減税などの施策支援を期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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