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日経記事;"石炭火力、CO2を2割削減 日立・東北大が新技術"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月3日付の日経新聞に、『石炭火力、CO2を2割削減 日立・東北大が新技術 低コスト・環境を両立 新興国に設備売り込み 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所と東北大学は石炭火力発電所の二酸化炭素(CO2)排出を2割削減できる新技術を開発した。

国内で主力の液化天然ガス(LNG)火力と比べ、石炭火力は燃料費が半分程度と安い魅力があるが、CO2排出の多さが難点だった。日立などは2020年にも実用化し、環境面と低コストを両立する新型の発電設備として、石炭火力の設置を増やす新興国を中心に売り込む。

新技術は設備の耐熱性を高め、CO2排出が少ない効率運転を可能にする。
 
石炭火力は石炭を燃焼した熱で蒸気を発生し、その蒸気でタービンを回して発電する。燃焼温度を上げると効率良く石炭を燃やせるようになり、発電効率やCO2の排出を減らせる。

最先端の設備でもセ氏600度までしか耐えられなかったが、日立などは素材の改良でセ氏800度の高温運転に耐えられる新技術を開発した。

新たにコバルトなどの金属を合金原料に採用し、耐熱性を高めた。開発にあたっては東北大が持つ金属化合物に関する技術を導入。ボイラーチューブやタービンなど、高温の蒸気が通過し、耐熱性が要求される部分に使う。セ氏800度に耐えられる蒸気タービン型プラントができれば世界初となる。

新技術を使った石炭火力プラントの発電効率(発電分から発電所で使う分を差し引いた送電端ベース)は50%で、従来の約40%から向上する。発電量1キロワット時あたりのCO2排出量は約700グラムと2割減る。

石油火力のCO2排出量は約740グラムのため、800度の高温石炭火力プラントが実現すれば逆転する。約600グラムの蒸気タービン型LNG火力のCO2排出量にも近づくことになる。

世界の火力発電能力は30年に08年比6割増の約50億キロワットに拡大する見通し。原発再稼働問題で火力発電の位置付けが重くなっているが、日本では今後もLNG火力が中心になる見通しだ。

ただ、石炭産出量の豊富な米国や中国、インドでは石炭火力の需要が今後も伸びる。日立はCO2回収設備など得意とする関連設備と今回開発した耐熱素材を組み合わせることも検討。環境面や効率面でライバル企業に対する競争力を高め、新興国などで増える受注活動に備える。』

石炭火力の高温運転は、 粉砕した石炭をボイラー内で燃やして水蒸気を発生させ、その圧力で発電機を回す仕組みです。

従いまして、石炭火力発電は、発生する蒸気が高温・高圧であるほど発電効率が高まることになり、排出する二酸化炭素(CO2)も減ることになります。

現在、国内企業が商用化している石炭火力発電設備で最も効率が良い「超々臨界圧型」では、ボイラーの鋼管内の水をセ氏600度程度まで高めた後に一気に気圧を下げ、沸騰させた水が蒸気となり膨張を始め、圧力で発電機のタービンを回す仕組みです。

この方式以上に発電効率を高めるためには、圧力が急激に変わる過酷な条件に対応できる素材の開発が課題だったとのこと。

今回の記事は、日立と東北大学が「超々臨界圧型」でより高熱処理を可能にする素材と技術を確立したことを示しています。

日立など国内重電大手は火力発電設備の技術開発で海外の競合他社より先行しています。石炭火力分野では1970年代の石油ショック以降、発電効率で世界一の水準を保ち、新興国を中心に大型受注を相次ぎ獲得してきたとのこと。

環境事業は、日本が今後世界市場で勝ち組となって強化していく必要があります。現時点で国内企業は上記のように海外勢に対して強みを持っています。

海外勢の中では、中国や韓国企業が、特に石炭の高効率発電分野で競争力をつけてきており、低価格化を武器に国内企業との競合が激しくなっています。

石炭の高効率発電分野では、中国・韓国企業は、1世代前の技術である「超臨界圧型」を生産・供給しています。国内企業は、上記しますように最新の「超々臨界圧型」を供給しています。

「超々臨界圧型」は、発電効率が約43%の最先端技術を持っていますので、これが差別化・差異化につながっています。

しかし、中国・韓国企業も数年後には「超々臨界圧型」の生産が可能になるとみられていますので、日立などの国内企業は更に競争力を高める必要があります。

今回の日立と東北大学の共同開発は、CO2削減効果を高めながら、低コスト化を実現した優れモノです。

今後、新興国や新・新興国では、エネルギー需要がさらに増加していきますので、石油や天然ガスに比べて安価な石炭による火力発電の必要性が高まります。

日立の新型「超々臨界圧型」は、この需要増に応えながら、CO2排出量を抑えますので、今後のエネルギー需要増とCO2削減の両面で貢献できます。

日立などの国内企業が、「超々臨界圧型」の石炭火力発電設備で圧倒的なシェアを獲得することを強く期待します。

競合メーカーは、中国・韓国勢になります。これらの企業との競争に打ち勝つためには、一層の低コスト化を進める必要があります。

家電製品が良い事例になります。国内企業は、技術開発の強化と中核部品の製造コスト削減を急いで行うことが重要です。

石炭火力発電の設備容量は2030年に08年比2倍の約14億キロワットに増える試算があるとのこと。石炭埋蔵量の多い中国や東南アジアなど新興国のほか、「脱・原発」政策のドイツで発電所の建設計画が相次ぐとされています。

このように巨大市場が存在しています。米欧メーカーも市場拡大をみて、石炭火力発電事業をインドなど新興国で強化しています。

国内企業は、圧倒的な最新技術と低コスト化で海外勢との競合に打ち勝つための継続的な努力が必要であり、十分に認識されているとみます。

別の日経記事によりますと、政府は今秋にも、インドネシア、ベトナム、インドなどと環境技術輸出の協定を結ぶ。アジアの新興国がインフラを整備する際に日本企業が温暖化対策で協力。見返りとして温暖化ガスを削減した分を日本が排出枠として取得できるようにする。。とのこと。

国内企業はこのような支援策も積極的に活用してさらなる事業拡大を期待します。周辺の中小企業にも新規事業機会が生まれます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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