- 金井 高志
- フランテック法律事務所
- 弁護士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
平成24年7月18日の朝日新聞の記事で、TSUTAYA(ツタヤ)を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)が、Tポイントカードを利用しているユーザーのライフログの一種である医薬品購入履歴(商品名等)を取得し、これをマーケティングに利用していることにつき問題があることが報じられています。
http://www.asahi.com/national/update/0717/NGY201207160032.html
(ネット上の報道記事なので既に削除されている可能性があることをご理解ください。平成24年7月17日)
この点、CCCは、T会員規約(2011年10月1日改訂版)第4条(個人情報について)第2項において取得する情報の種類を規定しています。
具体的には、
(2)において「ポイントプログラム参加企業における利用の履歴」
(8)において「サービスご利用内容」
などの情報をCCCは取得していると規定しています。
さらに、このような情報に利用目的については、同条第3項において規定されています。
具体的には、
(3)において「会員のライフスタイル分析のため」
と規定しています。
詳細はこちらのURLを参照していただくと分かると思います。
http://www.ccc.co.jp/member/agreement/index.html#agreement04
(T会員規約第4条)
個人情報保護法、ライフログに関する総務省の提言である「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会 第二次提言」(2010)、「行動ターゲティング広告ガイドライン」(2010、一般社団法人インターネット広告推進協議会)などに照らしてみると、このようなCCCによる規定に違法性があるものではありません。
具体的には、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会第二次提言」(2010、総務省)において、事業者がライフログを取り扱うにあたって配慮すべき事項をまとめた「配慮原則」の②透明性の確保において、事業者が消費者に明示すべき項目として、「ウ.取得される情報の項目」と記載されています。
このことからすると、「ポイントプログラム参加企業における利用の履歴」や「サービスご利用内容」というCCCが明示しているCCCが取得する情報は、配慮原則が透明性の確保において要求している取得される情報の項目として十分であると評価されうるものです。
しかし、今回の報道によると、一般消費者から見ると、透明性が確保されているとは言い難いと判断・評価されているように思われます。このあたりは、企業側から見るか、消費者側から見るかで、判断・評価が異なる問題といえそうです。
このコラムの執筆専門家
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