(1)収益分配金
株式投資信託の収益分配金は、10%(所得税7% 住民税3%)の源泉徴収で課税が完結するため確定申告は不要です。しかし、株式組入の割合等によっては配当控除も受けられますので、課税所得金額が330万円以下の人など確定申告したほうが有利になる場合は、総合課税として申告することができます。
(2)株式投資信託の換金
投資信託の換金には、信託契約を一部解約して信託財産の変換を請求する解約請求と、証券会社が買い取る買取請求の2つの方法があります。
解約請求によって換金した場合には、解約価額と個別元本との差額の解約益は配当所得として(1)と同様に10%(所得税7%・住民税3%)の源泉徴収、解約価額と個別元本とのいずれか低い方と取得価額との差益はみなし譲渡益として10%(所得税7%・住民税3%、)の申告分離課税となります。
買取請求によって換金した場合には、株式等の譲渡所得に該当し、買取価額と取得価額等の差額の譲渡益について10%(所得税7%・住民税3%)の申告分離課税、「特定口座の“源泉徴収あり”」を利用すれば申告は不要となります。
(3)株式投資信託の解約損益、譲渡損益
株式投資信託の買取請求によって譲渡損益が発生した場合には、株式等の譲渡損益と相殺できます。また、解約請求の場合には、みなし譲渡損が発生した場合にのみ株式等の譲渡益と相殺することができます。どちらも相殺後に残った譲渡損は上場株式等の譲渡損として、翌年以降3年間繰り越すことができます。
解約請求で生じた解約損、買取請求で生じた譲渡損は、どちらも株式等の譲渡益と相殺することができます。
買取請求で生じた譲渡益と株式等の譲渡損を相殺することもできます。
ただし、解約請求で生じた解約益は配当所得となり、他の株式等の譲渡損と相殺することができません。したがって、株式投資信託で生じた利益を他の株式等の譲渡損と相殺する場合には、買取請求を選択しなければなりません。
このコラムの執筆専門家
- 佐々木 保幸
- (京都府 / 税理士)
- 税理士法人 洛 代表
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