- 国府谷 明彦
- カウンセリングセンター聴心館 聴心館館長
- 東京都
- 厚生労働省認定 産業カウンセラー
【聴心記「心の炎」】第6回 感情と思考(2) [カテゴリーを変えて再掲載]
このところ,バタバタして,コラムのつなぎ目ばっかり書いてました。そろそろ,続きを書きましょう。前回は,「きっかけを察知して感情が出てくる。そして,感情から思考が出てくる。」というお話をしました。携帯を家に忘れたまま家を出て途中で気がついたとき,「やばい!」と察知して「やだなー」と感じ,「家に戻ろうか」と考えるという感じでしたね。
あなたがホテルマンだとして,お客様がフロントにチェックインをしに来たとしましょう。「ここに来る途中から気持ちが悪くなった」と言って,青い顔をしている。ここで,あなたが「大丈夫ですか」と声をかけた・・・・そんな状況を考えてみて下さい。
ここで「大丈夫ですか」と声をかけたあなたの反応に,3つのパターンが考えられます。一つ目は「やだなーさわぎになるのは・・・・」という気持ちだけれど「大丈夫ですか」と声をかけた場合。二つ目は「ここはプロとしてきちんと対応しなければいけない。」と思いつつ「大丈夫ですか」と声をかけたケース。三つ目は「心配だな。何とかしてあげたいな」と思って「大丈夫ですか」と声をかけた場合。ホテルマンのメンタルを考えたとき,あなたは,それぞれどんな風に評価しますか?
最初の場合は,気持ちと行動が一致していないケース。感情と行動が逆方向を向いていますから,その感情を表に出してはいけないと誰でも思います。結果として,こういう行動をチョイスするとき,ボロを出してはいけないと意識します。悪い印象を与えないように意識しながら,スキルを使って対応します。実際の所,一日に何百人も接客しなければならないケースで,すべての人に同じように気持ちを込めながら対応するのは,超人間ワザと言えます(それができる人貴重な人もいますが・・・・)。そんな時,スキルを使って相手を不快にしないことも大切なことと思います。
では,二番目のケース。「プロとしてきちんと対応する」という思考が働いています。この時,裏側に隠れている感情は「やさしさ」や「思いやり」といったものと言うよりも,「困った」や「不安だな」のようなマイナス感情であることが多いものです。こうした感情の前面に思考が出てきています。
最後のケースは,感情と行動が一致しています。いわゆる行動が感情に裏打ちされているケースです。「心のこもったおもてなし」ということになるのかもしれません。当然,感情は押しつぶされていません。
3つのケースを見てきましたが,最初のケースが一番厄介なように思うかもしれません。ところが, このケースでは,反対方向を向いている感情を本人が意識していますから,感情が押しつぶされることがありません。メンタル的には余り問題が無いのです。最初ではなく二番目のケースが大変なのです。「義務感」や「プロ意識」のような思考がメインに出てくると,感情が押しつぶされやすい状態になるのです。当然,プロ意識が本人の感情に良い刺激を与えて,プラスの感情で行動するなら,問題はありませんよ。
そんな意味で,思考が感情を押しつぶしていないか,是非とも「セルフモニタリング」して見て下さいね。次回は,感情と思考をもっと詳しく見ていきたいと思います。お楽しみに。
【2012.7.26: 聴心記「心の炎」は不定期で展開します】
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