大手のハウスメーカーでも「坪単価X延べ坪数」で建物総額を割り出して、契約しているところもあります。便利ですが合理的なのでしょうか?
木造住宅の場合、総予算を概ね3分割にすることが出来ます。1/3は構造に必要なお金です。1/3は仕上げに掛かる費用です。残りの1/3は設備に関係する費用です。
もう少し具体的に云いますと、30坪で1800万円の家があった場合、1200万円は構造と仕上げに要する費用です。残り600万円が設備に要する費用です。
構造と仕上げに掛かる費用は建物の大きさに比例します。しかし設備は建物の大きさに関わらず一定費用が必要です。
先ほどと同じ仕様で20坪の家の場合坪単価はどうなるでしょうか。構造と仕上げは建物の大きさに比例しますから、20坪x20万円+20坪x20万円=800万円となります。設備は坪数が減ったからと云って、キッチンも浴室も便所も減らす事が出来ませんので、600万円そのまま掛かり、800万円+600万円で、総額1400万円の家になります。
1800万円の時は30坪でしたので坪単価は60万円です。1400万円の場合20坪ですので坪単価は70万円に上がります。
40坪の家であれば構造・仕上げで1600万円になり、設備は600万円ですから2200万円になります。坪単価に直しますと55万円です。
同じ仕様の同じ建物でも規模が違えば坪単価が変るのです。工務店さんに「お宅は坪単価幾らで工事してくれますか?」と尋ねる事の無意味さがお判り頂けるでしょうか?坪単価は想定が違えば同じ仕様でも全く変ってしまうのです。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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また、IAU型免震住宅設計資格取得者として、免震住宅等の相談も行っています。
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