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日経記事;『(真相深層) BMW、トヨタと提携拡大』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月20日付の日経新聞に、『(真相深層) BMW、トヨタと提携拡大 欲しかったHV技術、2000万台市場へ出遅れ焦り 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『自動車大手の独BMWとトヨタ自動車が燃料電池車など環境技術の相互供与で包括提携した。BMWといえば欧州の高級車ブランド代表として独自技術にこだわり続けた老舗。

それが今回、先端の自社技術を差し出すうえ、お家芸でもあるスポーツ車の共同開発にも踏み込んだ。実はどうしても欲しいものがあった。日本のハイブリッド車(HV)技術だ。

BMWとトヨタが提携を発表したのは昨年12月。トヨタが欧州で販売する新車にBMWのディーゼルエンジンを使うとの内容だった。だがこの段階では水面下で進もうとしていた提携の「本丸」は明らかになっていなかった。それがトヨタからのHV技術供与だ。

BMWは当初からこの分野の日本の技術を狙っていたようだ。関係者によれば、トヨタと並行してホンダとも接触していたという。トヨタは本当にHV技術を出すだろうか。そうした疑心暗鬼がBMWには強かった。

実は、HVは欧州で「エンジンと電気モーターを組み合わせただけの退屈な技術」と言われてきた技術だった。低燃費エンジンの主役はもっぱらディーゼルエンジンであり、そうでなければ電気自動車(EV)が次世代技術と考えられた。実際、ドイツなど主要国はEVの開発に多額の補助金を付け、BMWも4億ユーロ(約390億円)を投じ、来年から量産化することになっている。

だがドイツの金融機関やシンクタンクが最近発表したシナリオは意外な見通しを示していた。2025年の世界市場でEVの比率はわずか5%。逆にプラグ・イン・ハイブリッド(PHV)などを含むHVは20%に達し、欧州勢が得意なディーゼルエンジンのシェアを奪うとの試算だった。

長期的に見ればEVは環境車の本命となる。だが現状では割高なコストや充電時間の長さを考えるとHVの方に分があるのは事実だった。20年ごろの世界の年間新車需要は約1億台。そのうち現在の欧州新車市場を上回る2千万台もの需要がHVで生まれるわけだ。

BMWのノーベルト・ライトホファー社長は焦っていたという。むろん手をこまぬいていたわけではない。過去には米ゼネラル・モーターズ(GM)や独ダイムラーと共同でHV開発を進めたが、どちらのプロジェクトも日本勢のHV技術には届かなかった。

世界再編のあおりも受けた。欧州メーカーのなかで比較的HVの開発力がある仏プジョーシトロエングループ(PSA)とは昨年、HV部品開発の合弁事業を立ち上げた。だがPSAは今春、GMと資本提携し、白紙に。

欧州金融機関の間では「BMWはHV開発で最も遅れた高級車メーカー」(独メッツラー銀行)との評価も聞かれ始め、ライトホファー社長は頭を抱えた。そんなとき、狙いを定めたのがトヨタだった。

「スポーツ車はどうでしょう」。両社にとってはメンツもかかった交渉。足踏みすることもあったが、最後はBMWが新提案を持ちかけた。トヨタ開発陣は驚いた。

BMWが他社と車をつくるのは同社の約100年の歴史を振り返っても例がない。しかもスポーツ車は最新の技術ノウハウの塊で、BMWにとっては最大の譲歩といえた。

トヨタはBMWの本気度を確信した。「お互いに考え方やカルチャーの共通性を発見し、わずか半年で提携を拡大できた」。6月29日、独ミュンヘンで開いた記者会見で提携を説明するトヨタの豊田章男社長の隣には、終始にこやかなライトホファー社長の姿があった。環境車戦略で致命的な出遅れを回避できた安堵の思いが見て取れた。』


トヨタを含む自動車企業の提携については、本ブログ・コラムでたびたび取り上げてきました。お互いに強みを持つ技術を持ち寄って、提携;アライアンスを組んで「勝者連合」を組むことが、激しい競争にさらされる世界の自動車業界で勝ち残るための有効なやり方です。

トヨタとBMWの提携についても、日経などで何回か取り上げられてきました。本日の記事は本提携の価値や内容の再確認となっています。

欧州市場のエコカーは、現時点ではディーゼルエンジン車です。ガソリン車に比べて圧倒的な低燃費性で市場に受け入れられています。

しかし、ディーゼルエンジンは石油と同じ化石燃料を使う点では同じですし、2酸化炭素量排出の抑制の観点から課題があります。

現時点で究極のエコーカーは、燃料電池車とEVですが、どちらもガソリン車と同じ性能や機能を出し、実用化されるまでは時間を要します。

その点、HVやPHVは、当面のエコカーの本命となることは合理的です。従って、エコカー市場である日本で受け入れられており、トヨタやホンダのHVやPHVの売上が好調です。

BMWのHVやPHVに対する考えも同じであり、トヨタとの提携で当該技術をどうしても手に入れたかったのでしょう。

トヨタは、HVやPHVが日本市場以外ではまだ認知度が低いため、欧米市場での普及が最重要課題の一つです。

米国市場では、昨年夏にHVの共同普及に関して米フォード・モーターと共同開発で合意しています。欧州市場開拓の決め手が、BMWとの提携です。

HVやPHV普及を日米欧の三大市場で確立させるやり方です。この三大市場で売れれば、HVやPHVの量産技術を磨き、コストダウンを追及できますし、新規開発のための資金創出にも貢献します。

BMWとの提携では、トヨタはディーゼルエンジンや車体軽量技術を提供してもらうことになるとされています。

記事によると、BMWはスポーツ車に関する最新の技術ノウハウの塊をトヨタに提供するとのこと。これはBMWの最大に強みの一つを外部に出すことを意味します。

BMWは、スポーツ車市場でベンツと並ぶ老舗企業であり、この車体技術は力の源泉の一つです。BMWにとっては、HVやPHVの技術獲得のため、自社の車体技術のノウハウ開示が同等の対価になると判断したようです。

トヨタにとって、スポーツ車の車体技術獲得は大きな価値になり、アウトバーンなどハイスピードと石畳の道路など欧州市場特有の環境に対応する車作りを進めることができます。

トヨタとBMWがお互いの強みを出し合って、同等な立場で連携を組めば、競合他社にとって大きな脅威になります。

トヨタとBMWの提携の動きを継続してみていきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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