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対象:特許・商標・著作権
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米国特許判例紹介: アップルとサムスンのタブレット端末訴訟 (第1回)
~意匠特許の非自明性判断~
河野特許事務所 2012年8月13日 執筆者:弁理士 河野 英仁
Apple, Inc.,
Plaintiff-Appellant,
v.
Samsung Electronics Co., Ltd., et al.,
Defendants Appellees.
1.概要
米国における意匠特許も通常の特許と同様に以下に示す非自明性(米国特許法第103条)の要件が課されている。
米国特許法103条
発明が,第102条に規定するのと同様に開示又は記載がされていない場合であっても,特許を受けようとするその主題と先行技術との間の差異が,発明が行われた時点で,その主題が全体として,当該主題が属する技術の分野において通常の知識を有する者にとって自明であるようなものであるときは,特許を受けることができない。
本事件ではアップル社が所有するタブレット端末に関する意匠特許が、2つの引用文献の組み合わせにより、自明といえるか否かが争点となった。地裁は組み合わせにより自明と判断したが、CAFCは地裁の判断を無効とする判決をなした。
2.背景
(1)意匠特許発明の内容
アップル(原告)は、U.S. Design Patent No. D504,889 (以下、889特許)を所有している。889特許は、iPadとして商品化されたタブレットコンピュータに関するデザインである。参考図1は889特許の斜視図である。
参考図1 889特許の斜視図
889特許は、タブレットの前面においてガラス面が端面に達するまで覆われており、周面は幅の狭いベゼルにより囲まれている。889特許はミニマムデザインであり、表面に装飾、ボタン、スピーカスロット、穴、または、凸面等を有していない。参考図2は使用状態を示す図である。
参考図2 使用状態を示す図
889特許は2004年5月17日に出願され、2005年5月に発行された。
(2)訴訟の経緯
サムスン(被告)は2011年6月にGalaxy Tab 10.1タブレット(以下、イ号製品)の販売を開始した。原告は2011年7月、イ号製品が、889特許を侵害するとして、カリフォルニア州連邦地方裁判所に販売の仮差し止めを求めた。
地裁は、889特許が2つの引用文献の組み合わせにより、自明であると判断した。そして地裁は、889特許の有効性に関し実質的な疑問があることから、仮差し止めを認めない判決をなした[1]。原告はこれを不服として控訴した。
[1] Apple, Inc. v. Samsung Elecs. Co., No. 11-cv-1846 (N.D. Cal. Dec. 2, 2011)
(第2回へ続く)
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