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丹多 弘一
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閲覧数順 2016年12月04日更新

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日経記事;"伊藤忠,アジアの縫製拠点拡充 中国から分散加速"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月15日付の日経新聞に、『伊藤忠、アジアの縫製拠点拡充 中国から分散加速』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。
 
『伊藤忠商事はアジアの衣料品の生産拠点を拡充する。カンボジアやインドなどに縫製工場を持つ英国の衣料品製造卸を買収し、中国に集中する生産拠点を分散する「チャイナプラスワン」戦略を加速する。

中国の人件費上昇を受け、縫製を受託している日本のアパレル企業に採算悪化への懸念が広がっていることに対応。現在70%の中国の比率を2013年3月期中に65%まで下げる。

伊藤忠はこのほど、欧州子会社などを通じて、英衣料品製造卸のブラムホープ・グループ・ホールディングス(ノッティンガムシャー州)を買収した。創業者らが保有していた全株式を取得。買収額は50億円程度とみられる。伊藤忠は今後、ブラムホープに最高経営責任者(CEO)と取締役を派遣する。

ブラムホープは英大手スーパー、マークス・アンド・スペンサー(M&S)のプライベートブランド(PB=自主企画)商品の製造が主力事業。M&S向けに製造する紳士シャツや婦人下着などが売上高の97%を占めている。

衣料品の企画部門に加え、M&Sの管理基準を満たす縫製工場をカンボジアとインド、スリランカに計5カ所持つ。生産能力はシャツが年間450万着、婦人肌着が2100万着。12年3月期の売上高は約145億円だった。

伊藤忠の繊維部門は売上高が12年3月期で約6千億円と総合商社では最大の事業規模。アパレル企業からの縫製受託を主力とし、中国のほかにはベトナムやミャンマーなどの東南アジアに協力工場を抱えている。

ブラムホープを傘下に入れることにより、自社工場がなかったカンボジア、インド、スリランカにも生産拠点が広がる。

縫製受託事業の70%を依存する中国は人件費の上昇に加え、縫製ラインの不足などの問題も顕在化。縫製を請け負っているアパレル企業からリスク分散を求める声が強まっている。

伊藤忠は今回の買収をテコにこうした要請に応える環境整備を急ぐ。ブラムホープの知名度を生かし、欧州のアパレル企業からの縫製受託も拡大する。』


衣料企業が、生産拠点を中国から他のアジア諸国に移管し始めていることは、何回か本ブログ・コラムでも書いてきました。

理由は、中国内の人件費が高騰している(人件費が5年で約2倍に高騰)ことと、縫製工場での労働力確保が困難になっているためです。

工場の移管先は、ベトナム、カンボジア、バングラデシュ、ミャンマーなどの新・新興国と言われている国々です。

衣料産業は労働集約型であり、熟練作業が可能で、且つ、低い労働コストでないと採算がとれません。

国内のアパレルや衣料品専門店は国内工場を持たず、商社を通じ海外生産するケースが大半です。
かって安い人件費を背景に中国へ集積が進みました。その結果、中国からの輸入比率は8割を超えるまでになりました。

国内衣料品の大半が、「Made in China」となりました。この当時、中国では農村から大量の労働者が供給され、低賃金で容易に労働力を確保できました。

その後、中国内の経済発展により国民所得が向上し、低賃金の労働に対する人気が下がりました。また、一人っ子政策により労働者数も減少した結果、衣料のような労働集約型工場の運営が難しくなり、採算も取れないようになっています。

この経済発展に伴う労働力環境の変化は、日本も通った道です。昨年から総合商社や繊維企業などは、中国からシフトして、東南アジアで衣料品の生産・調達を拡大しています。

今回の記事のように、伊藤忠のような総合商社が本格的に動きだすと、繊維産業の「脱・中国依存」の動きが加速することは必須です。三井物産や住友商事なども、ミャンマーやベトナムに工場を確保しつつあるとのこと。

例えば、住友商事の場合、縫製子会社が設立した現法は約50人の日本人などの技術指導員を組織。ベトナム生産を拡大し、カンボジアやラオスの協力工場の品質を高めるとのこと。

工場の海外展開を考える時に、作る視点からは労働力の確保と労働コスト(賃金)を最優先で考える必要があります。特に繊維産業のような労働集約型の場合、工場立地は事業の生命線の一つになります。

同時に、市場性の視点からは、可能な限り市場に近いところで作るようにすることも重要です。

将来、ベトナム、バングラデシュ、カンボジア、ミャンマーなども所得水準が上がり、労働コストも上昇し、繊維産業は最適な立地場所を探す必要が出てきます。

市場の動き。業界の動きなどを良くみながら、柔軟に対応できるようにしておくことが、工場展開のポイントの一つになります。

技術集約型の工場の場合、異なった展開方法になります。少ない労働力で工場運営が出来れば、市場へのアクセスを最優先に立地場所を選べます。

キャノンやファナックなどのように、工場を自動化すればどこでも工場を建てられます。国内に建てた場合、問題になるのは輸出の採算性のみです。

日本HPのように、国内向けパソコンを国内工場で作って短いリードタイムで顧客に提供することを売りにする方法もありです。


現在、多くの中小企業が海外に工場を持とうとしています。海外市場での販売展開や取引先からの要請によることなどが要因になっています。

海外に工場展開する時は、事前に入念な情報収集を行い、労働環境、賃金、政治・社会情勢、経済状況、市場性や販路などを総合的に検討し、確実な事業計画を作った後に行動することがリスクを最小化する方法になります。

慎重に考えた結果、実行すると決めたら迅速に行うことも大事です。
これが中小企業の幾つかの海外進出を支援してきた経験に基づく感触です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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