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丹多 弘一
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山本 雅暁
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閲覧数順 2016年12月04日更新

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日経記事;"高機能素材を海外生産 世界で優位性保つ"に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月7日付の日経新聞に、『高機能素材を海外生産 JX系がチタン、JSRが低燃費タイヤゴム 世界で優位性保つ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『JXホールディングス系の東邦チタニウムは2016年にもマレーシアで500億円を投じ、チタン製錬所を建設する。完成すれば日本とロシアの2社を抜きチタンで世界首位に立つ。

低燃費タイヤの合成ゴムで最大手のJSRはタイで工場を建設、海外生産比率を7割にする。

電力コストなどの高い日本より海外に投資し世界での優位性を守る動きが高機能素材に広がってきた。

東邦チタニウムが海外生産するのはスポンジチタンと呼ばれる製品。鉄の2倍の強度を持つ一方、4割軽く、航空機や海水淡水化装置の素材として世界需要が年率7%の割合で拡大している。国内のチタンメーカーが最も上流の製錬設備を海外に持つのは初めて。

設備はボルネオ島のサラワク州に建設、年産1万5600トンの能力を持たせる。稼働すると年産能力が計4万4400トンとなり、大阪チタニウムテクノロジーズとロシアのVSMPOアビスマを抜き世界首位になる。今後も需要の拡大には海外での増産で対応する。

これまでは日本だけで生産し、日欧の航空機部品メーカーへ販売していた。マレーシアで生産するのは円高対策に加え、電力コストを大幅に抑えられるため。大量の電力を消費するチタンは価格の約3割が電力コストとされるが、マレーシアの同コストは日本の半分から10分の1程度という。

JSRはタイで13年6月から低燃費タイヤに使う付加価値の高い合成ゴムを年5万トン生産する。15年までに再度投資し、国内の年産能力(6万トン)を上回る年10万トンまで拡大する。今後も「アジア以外の海外」(小柴満信社長)にプラントを新設する方針だ。

三菱ガス化学は13年4月からタイで、スマートフォン(高機能携帯電話)に使うプリント基板材料の生産を始める。現在は福島県にある工場で生産しているが、輸出比率が8割を超え、生産体制の分散が課題だった。』

素材産業は、国内経済を支える重要な事業分野の一つですが、アルミや鋼材など汎用性の高い分野ではすでに海外生産が進んでいます。

これは、価格競争力を維持・強化し、顧客に近いところで生産・供給するという基本的な生産体制構築の基本からみますと、合理的なやり方です。

特に汎用品を扱う事業では、価格競争力の維持強化が最優先の対応事項であり、製造コストは極力抑える必要があります。当然、国内生産だけを行っていては勝ち組に入れません。

海外市場・顧客に対応して収益を上げるには、海外に生産拠点を持つことは基本です。多くの国内製造企業は、海外生産を行っていますし今後も海外生産比率は増加していきます。

今の日本は、電力供給量の制約、化石燃料及び再生可能エネルギーによる発電量拡大に伴う電気料金の値上げ、異常な円高など、国内生産し輸出していくには、厳しい事業環境になっています。

一般的に、素材産業は多量の電気を使用しますので、電気供給量の制約と電気代の値上げは、国内での製造事業継続に大きな障害となります。

従って、汎用化したアルミや鋼材を海外生産する動きが広がっており、飲料缶に使うアルミニウム板では国内最大手の古河スカイがタイに400億円を投じ工場を建設中。鉄鋼各社も鋼材の生産拠点をアジアなどで建設するとのこと。

今回の記事は、素材産業で、海外生産の動きが高機能素材にも広がっていることについて書いています。

上記国内での電気の使用環境と異常な円高から、高機能素材でも国内生産⇒輸出のやり方が出来なくなりつつあることを示しています。

今まで、国内企業は、高機能素材の製造ノウハウなどの流出リスクを下げるためもあって、国内生産を維持してきましたが、収益性の悪化や海外企業との競合などから、海外生産を決断したとみます。

以前に、本ブログ・コラムでは、日本を代表する自動車メーカーであるトヨタ自動車と日産自動車が国内生産能力の削減に動き出していることについて述べました。

理由は、異常な円高や人口減、労働規制などの厳しい経営環境です。両社は日本国内での生産拠点を競争力の源泉と位置づけている点では、同じ考えです。

自動車は多くの素材を使うため、素材産業にとっては大事な顧客の一つです。今回の素材企業の海外生産強化の動きは、重要な川下産業であり顧客である自動車メーカーの海外展開とも関係しているとみます。

国内生産をある程度維持し、輸出で外貨を稼ぐには、円高や電気供給環境を改善する必要があります。

円高対策は、他国の通貨の強さも絡んで決まりますので、自国のみでの対応には限界があります。短期的な解決は難しいのが実情です。

電気供給状況の改善にも時間がかかりますが、これは国内の努力で解決できます。安定し、且つ廉価な電気供給量の確保を実現する必要があります。

今は、太陽光発電に注目が集まっていますが、より安定して廉価なコストで発電できる再生可能エネルギーの仕組み作りをより迅速に行う必要があります。

例えば、洋上の風力発電の普及加速も一つの方法です。羽根やその他装置の耐久性強化など解決すべき課題は山積していますが、安定したエネルギー源確保のためには、明確な方針を作って実行する必要があります。

7月5日付の日経新聞に、『英、洋上風力に13兆円 発電能力は原発30基分』のタイトルで記事が掲載されました。

これによると、英国が官民挙げて世界最大の洋上風力発電事業に乗り出している。13兆円を投じ7000基以上の風車を沖合に設置し、3200万キロワットの電力を発電する。

これを軸に2020年時点での英国の総電力需要の約3割を再生可能エネルギーでまかなう計画。英国は、裾野の広い風力発電事業を振興し雇用を創出するとともに、今後の国際規格作りも主導する見通しとのこと。

この動きは政府のいう成長戦略と全く同じです。

日本には世界何ナンバーワンの素材・部品企業が集まっています。オールジャパンで洋上の風力発電の普及のための青写真を作って、官民連合で早期に実行することを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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