(続き)・・それでは少しでも血管を健康に保ち、動脈硬化に起因する病気から身を守るために、我々はどのような工夫をすべきでしょうか。そのために最も重要なことの一つは、とにかく新鮮な野菜と果物をたっぷりと食べることです。野菜や果物にはビタミンCを始めとする各種ビタミンやカルシウム、亜鉛などのミネラル、食物繊維、そしてポリフェノールなどのファイトケミカルが豊富に含まれています。
ファイトケミカルには多くの種類があり、食材によって含有量に違いがありますが、共通しているのは抗酸化力に優れ、活性酸素を除去する作用があるということです。例えばトマトにはリコピンという成分、ベリー類にはアントシアニンという成分が豊富に含まれており、いずれも抗酸化力を発揮して血圧を安定させ、動脈硬化を抑制し、血液をサラサラにする作用が認められています。
大豆製品も積極的に摂りたい食材です。大豆にはイソフラボンやサポニンなど抗酸化力に優れた成分が豊富に含まれており、また良質なタンパク源でもあります。丈夫な血管を作るには欠かせない食材で、肉と違ってコレステロールが少ないのも長所です。大豆製品の中でも納豆は、ナットウキナーゼという酵素が血液をサラサラにする優れた効果を持っており、血栓症を予防する上では特に優れた食品です。
とりわけ優れたタンパク源となる食材としては魚介類が挙げられます。魚介類、中でもサバやアジ、イワシなどの青魚には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)がたっぷりと含まれています。これらの油脂には血小板の凝集を抑制して血液をサラサラにする作用があり、また神経細胞や血管を強化する作用もあります。日本人の健康は魚を食べることと密接な関わりがあり、大いに摂取したい食材です。
肉もたいへん優れたタンパク源ですが、コレステロールなどの問題もあり、品質と量に気をつけて食べる必要があります。まず脂身や霜降り肉は動脈硬化の原因となるLDLコレステロールが多いため、できるだけ避けるのが無難です。比較的安全なのは自然肥育された牛や豚の赤身の肉や、鶏のササミ肉などです。特に中高年の方は、このような脂の少ない良質な肉を、時々味わうくらいに留めておきたいものです。
糖質の摂り方にも注意が必要です。精白した穀物、つまり白米や精製小麦、白砂糖などは急激に血糖値を上げるために出来るだけ控え、玄米や雑穀、全粒粉パンやライ麦パン、ソバ、オートミールなどの全粒穀物を食べるようにしましょう。それによって血糖値の乱高下を防ぎ、動脈硬化を最小限に留めることができます。また甘味としては良質な黒砂糖やハチミツを少量用いることがお勧めです・・(続く)
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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