日経記事;『パナソニック「小さな本社」10月始動』に関する考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

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日経記事;『パナソニック「小さな本社」10月始動』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月29日付の日経新聞に、『パナソニック「小さな本社」10月始動 津賀新社長「テレビ、コア事業でない」』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『パナソニックの津賀一宏新社長は28日、都内で開いた就任後初の記者会見で、「本社機能を改革し、(新体制を)10月にスタートする」と述べた。

本社機能を戦略立案や投資に特化し、人員を大幅に減らす。従来の経営の柱だったテレビなど大型事業に頼らず、小粒でも高収益の事業を積み上げて業績回復を目指す考えも示した。

同社は現在7000人いる本社の社員を大幅に縮小する方向で検討している。「小さな本社」で意思決定のスピードを上げ、「内向きの仕事を減らす」狙い。

研究開発や品質保証など各事業のサポート機能を切り離し、「全社サポート部門」を新たに設置する。一方、本社と事業部門との連携は今まで以上に密にし、適切な経営判断を下せる体制を築く。

「コア事業がなければ、高収益企業になれないとは考えていない」。巨額赤字の元凶となったテレビ事業はかつての稼ぎ頭。こうした収益規模の大きな事業を求めがちだが、津賀社長は「利益の積み上げで高収益を目指す」という。

ビジネス向けパソコンや航空機向けエンターテインメント装置、電子部品の実装装置などを例にあげ、各事業を地道に底上げする考えを示した。

「我々は本当にお客様が見えているのか、またライバルよりもお役に立てているのかという反省がある」。津賀社長は率直に述べ、顧客価値を徹底して追求する原点に戻ると宣言した。

テレビや冷蔵庫、電子部品といった商品軸による事業の切り分け方を修正。「住宅空間」や「非住宅空間」、「モビリティ」「パーソナル」といった消費者の活動領域に分けて、商品開発やサービスのあり方を見直す考えだ。

また、2012年度下半期の公表を目指し、15年度まで3カ年の中期経営計画の策定作業に入ったことを明らかにした。「創業100周年にあたる18年を見据えた内容にする。4月から各部門長などを中心に全社で課題の検討を始めている」という。

「1カ月、3カ月、6カ月、9カ月といった時間軸で勝負していく。スピード感を持って、必要な改革の手を打っていく」。津賀社長は専務時代に薄型テレビ用パネルの事業縮小を短期間で断行した実績がある。

「テレビはもはやコア事業ではなく、住宅向けの白物家電などと同じ」。7721億円という過去最大の連結最終赤字(12年3月期)から回復し、パナソニックの再生に向けて「まずは普通の会社にしたい」と決意を語った。』

本日の記事は、パナソニックの津賀社長が今後の事業展開の概略方針について述べたものです。今回の記事で特徴的なのは、パナソニックはテレビをコア事業として扱わないことを明言したことです。白物家電と同じ扱いになることのこと。

売上金額が大きくても、収益を上げられなければ、事業する意味はありません。この点はソニーも同じです。

集中と選択の行為で大事なことの一つは、不採算部門の事業縮小や撤退です。これをやるには、人員削減、工場縮小や廃止、取引先への説明や販路の再編成など、多くの気が滅入ることを行う必要があります。


私も会社勤務時に事業撤退を経験したことがありますので、この苦しみは実感・理解できます。

事業縮小や撤退しますと、売り上げが減りますので、固定費圧縮のために人員削減や不要資産の売却などの手を打つ必要もあります。同日付の記事に、「パナソニックが保有株の2割売却 JFE株など 成長投資へ資金確保」とありますのもその一環です。

テレビを大型電子端末ととらえると、他のタブレット型パソコンと同じような位置付けがみえてきます。

タブレット型パソコンに関しては、マイクロソフトやグーグルなどのソフトウエア事業者がメーカーとアライアンスを組んでアップルと同じように製品化しようとしています。

テレビは、家庭内のエンターテイメントの中心であったとしても、パソコンと同じように誰でも製品化できる時代になっていると、認識することが大事です。

この観点からみますと、津賀さんの見識は合理的です。ソニーとアライアンスを組んで行う有機ELのテレビ事業も、ある時期に今の液晶テレビと同じように汎用製品になるとの前提で行う必要がありますし、そのような経営判断をしています。

今のパナソニックに必要なことは、自社の強みを明確化して、それが生かせる事業分野では他社に絶対負けないものにできる分野でのみ、世界市場で勝ち組になることです。

ひと足早く、先行している東芝や日立と同様に、経営資源を集中する分野とそうでない分野を切り分けし、迅速に動く必要があります。

蓄電池を核に環境対応企業として専門化・特化していくやり方もあります。あらゆる家電製品を扱っていくやり方ではなく、専門化してその事業分野でナンバーワンの企業になる姿勢が重要です。

各事業分野の売上高は小さくても、各々で収益を上げられれば良いからです。言わば、各事業分野が、尖った技術を持つ中小・中堅企業であり、その集合体がパナソニックであれば良いからです。

パナソニックの強みは、そのブランド力です。そこが中小・中堅企業と比べた時の大きなアドバンテージになります。

例えば、国内で販売している業務用パソコンは、販売価格が他社品よりも高くても、堅牢性、軽量さ、長時間持つバッテリー性能などが評価され、業務用途で買われています。

津賀さんも例として上げていました通り、この業務用パソコン事業のような差別化・差異化ができる分野の柱をどれだけ持てて、維持・強化できるかが今後のパナソニックの復活のポイントです。人員や工場などの経営資源の持ち方も、事業分野の持ち方で変わってきます。

津賀さんは本社を軽量化して、迅速な経営判断と実行ができる組織体を目指すとしています。今年後半に発表される中期経営計画に期待します。

ソニーの状況や立場もパナソニックと同じです。ソニーの動きも注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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