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日経記事;『ソニー・パナソニック有機EL提携発表』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月26日付の日経新聞に、『ソニー・パナソニック有機EL提携発表 低コスト量産技術、来年確立へ 日本1・2位連合で韓国勢に対抗 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ソニーとパナソニックは25日、テレビなどに使う大型の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルを共同開発すると発表した。

先行する韓国サムスン電子などより、低コストで量産できる新技術を2013年に確立することを目指す。家電製品でライバルだった両社が主力製品の開発で提携するのは初めて。韓国勢に対抗する新たな協業が動き出す。

サムスン電子は年内に55型の有機ELテレビを発売する計画だ。

両社は有機ELパネルを共同で開発するほか「量産段階での協業の可能性についても検討する」とした。それぞれの強みを生かし、競争力のある有機ELテレビや大型ディスプレーの商品化に取り組むとしている。

ソニーとパナソニックは印刷をベースにした新たな量産技術の開発に取り組む。家庭用プリンターなどに採用されている「インクジェット」と同じ要領で、ガラス基板上に赤緑青の有機材料の膜を均質に塗布する方式。

大がかりな装置が不要なため「既存の液晶パネルと比べても半分程度のコストで大型パネルを生産できる」(業界関係者)と期待される。有機材料の長寿命化などが実用化への課題だ。

スマートフォン(高機能携帯電話)などで使われる中小型の有機ELパネルは、有機材料を高温で気化させてからガラス基板上に膜をつくる。

中小型の有機ELで8割超の世界シェアを握るサムスンは、この「蒸着方式」でテレビ用の大型パネルも生産する予定。年内に55型テレビの発売を表明しているが、大型の真空装置が必要で、品質を安定させるにはなお多くの改善が必要だ。

LG電子の有機ELテレビは白色の有機材料をバックライトに使う。液晶テレビと同様にパネルの後方から光を透過させて映像を表示する。有機ELテレビの特長である「薄さ」や「省電力」は劣るが、サムスンの方式に比べ大型化しやすい。

有機ELパネルの製造には液晶パネルの製造ラインの7割を転用できるとされる。製造装置を入れ替えて量産するには数百億円の投資が必要。パナソニックはソニーが有機ELパネル開発で協力している台湾の友達光電を交え、3社で量産体制を築く可能性もある。』


5月頃から報道されてきました、ソニーとパナソニックの有機ELに関する提携が具体的になっているようです。

提携の背景は、記事にあるように、液晶パネルによるテレビ事業の巨額赤字からの脱却です。また、有機ELテレビは、韓国サムスンとLG電子が今年中に市場参入します。

液晶テレビの登場から現時点までの状況をみますと、有機ELにもそう遠くない将来、液晶と同じことが起こります。商品の汎用化による価格下落です。

韓国、台湾、中国メーカーは、ある程度の技術が確立しますと、量産効果によるコストダウンで低価格で売れる態勢を作り、市場を取るやり方で事業します。

もし、ソニーとパナソニックが、今後も家庭用テレビ事業を続けるのであれば、有機ELでは液晶で負けた状況を回避する必要があります。

今から、低価格化への対応を行うことが最重要です。逆に言いますと、低価格化して収益が上がらない状況が想定されるなら、有機ELによる家庭用テレビ事業は諦めるべきです。

企業は収益をあげることが要求される組織体です。テレビ事業で赤字を出しづづけることは本来許されないことです。

ソニーとパナソニックは、有機ELテレビで勝ち組なる見込みがつかなければ、当該市場に入ることは避けるのが賢明です。

一方、ソニーとパナソニックの最先端技術を持ち寄って、有機ELの特徴を最大限に発揮しつつ、低価格で販売しても収益を上げられる仕組みを作り、世界市場での勝ち組なることを大いに期待するのは当然のことです。

ソニーとパナソニックの提携;アライアンスは、世界市場でナンバーワンになることを目標に、徹底的に両社の経営資源を共有、且つ、有効活用することで効果を発揮します。

コストダウンを図ると言ったことを目標とする提携は、中途半端になりますので、海外勢に対し徹底的な差別化・差異化を行えるものにする必要があります。

昨日も紹介しました、トヨタが行っている大胆な提携策が参考になります。尖がった技術を持つ同業他社同士が提携して、補完しながら、新規事業を立ち上げ勝ち組となるやり方が、自動車業界で行っている提携です。

ソニーとパナソニックは、共に集中と選択を加速させて行うとしています。その過程で有機EL技術の位置付けを再確認しつつ、自社事業への適用を、当然考えます。

例えば、記事によると、パナソニックは液晶より薄く、高精細で曲げられるといった有機ELパネルの特性を生かし、主に業務向けの需要取り込みを想定するとのこと。

ソニーも放送業務用市場では、カメラやモニターなどで圧倒的なシェアを確保していますので、業務用途市場への活用を想定しているとみます。

また、ソニーは今後医療機器事業を強化するとして、オリンパスへの出資を決めました。医療市場での高精細度モニターに対するニーズは高いので、有機ELの医療用途適用は極めて有効です。

このように、有機ELの提携は、家庭用だけでなく放送・医療・業務用途への広がりを持たせて、高機能・高性能・低コスト化の三つを同時に実現することが課題です。

中小型有機EL市場は、現在サムスンが8割のシェアを取っています。スマホやタブレット型パソコンの普及と共に、中小型需要も伸びていきますので、ソニーとパナソニック連合がどうこの市場に参入していくのかも重要な課題の一つです。

ソニーとパナソニックが、大胆、且つ、明確な提携を迅速に行えば、大きな事業機会が生まれ、勝者連合になる可能性は高くなります。市場を限定せず、「Win/Win」スキーム効果を最大化して、大きな果実を生み出すことを大いに期待します。

今回、大手の家電メーカーとして初めての試みである、ソニーとパナソニックの提携;アライアンスの動きを注目して行きます。

自動車企業のようにしなやかに、且つ、巧みに実行することが重要です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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