日経記事;"ヒット続く富士重工、独自技術でブランドに個性"考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;"ヒット続く富士重工、独自技術でブランドに個性"考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月24日付の日経新聞に、『ヒット続く富士重工、独自技術でブランドに個性 吉永社長に聞く』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『富士重工業の業績が円高にもかかわらず好調だ。世界販売に占める国内生産の比率は7割と、自動車メーカーではマツダと並んで高い。

だが、主力車「レガシィ」などの売れ行きが国内や米国、中国で好調で、群馬県にある工場はフル操業の状態が続く。車が売れる理由は何か、吉永泰之社長に聞いた。

――レガシィや「インプレッサ」など売れている車が多い。

「ここ10年でみても突出している。『売る車が足りない』などと世界中の販売店から悲鳴が聞こえてくるのは、少なくとも私が入社して以降、初めてだ」

「好調が続くのは『差異化』と『絞り込み』の結果だと思う。足して2で割る開発は絶対にしない。例えば衝突防止装置『アイサイト』だ。“ぶつからない車”など、だれも手掛けていないコンセプトを織り込んで他社と比べられないようにする。すると価格競争にも巻き込まれない」

「レガシィが最も売れている米国ではインセンティブ(販売奨励金=値引き)が800ドル程度と業界平均の3分の1だ。車がよくなれば、マーケティングにも好循環が生まれる」

――開発の現場はどう変わったのか。

「発売のまさに直前まで、営業から上がってくる消費者の声を分析し、改善につなげてくれている。私は営業の出身だが、隔世の感だ。昔は営業の意見など聞く耳を持たなかった」

――消費者の声に寄りすぎると、逆に「らしさ」を損なわないか。

「スバル(富士重のブランド)の個性は技術志向にある。当社はやはり技術屋の集まり。しばらく前は自分たちの好きな車だけをつくっていたが、今は消費者の声や不満をひたすら聞きつつ、技術志向を失わないようにもしている。スバルがスバルでなくなったら魅力を失い、国内最小の自動車メーカーとしての個性が埋没する」

――軽自動車の開発と生産から撤退した効果は。

「インプレッサのモデル周期は7年間隔だったが、新型では4年に縮めることができた。まさに軽の開発人員を振り向けたからだ。

当社はフルラインアップの品ぞろえはできない。ではどこで戦うか。自分たちの強みを問い続け、『安心と楽しさ』という考え方にたどり着いた」

「世界の自動車販売台数は新興国を中心に成長を続けている。だが、車のコモディティー(汎用品)化もこれからは起きる。

車には移動のための車と、移動そのものを楽しむための車という2種類があって、スバルは後者だ。趣味や嗜好品的な車こそ我々の市場と考えており、あってよかったと思われる商品をつくるしかない」』

富士重のレガシーは、硬派の車として「走り屋」(主に男性ドライバー)から熱烈に支持されてきました。

富士重は、ゼネラルモータース(GM)の子会社でしたが、GMの業績悪化に伴い2005年10月に、GMが保有する富士重工株20%をすべて放出され、放出株のうち8.7%をトヨタが買い取って筆頭株主となり、富士重工業とトヨタ自動車が提携しました。

その後、富士重は2008年4月に、軽自動車の自社開発・生産を行わない方針を発表。2012年2月を以って軽自動車の生産を終了しましたた。新型の軽自動車は全てダイハツからのOEM車として供給されます。

このように、富士重は長い社歴を持っていますが、ここ10年くらいの間で大きな動きを行ってきました。

富士重は、トヨタ、日産自、ホンダのような大手と異なり、豊富な車のラインナップを持てないため、売り上げは景気の動向などに大きく左右されやすい体質であったことも一因です。

しかし、現在の富士重は、違った姿をみせています。富士重の好調要因は以下の通りです。

1.不採算事業であった軽自動車の生産を止めた。
⇒固定費削減に貢献した。
2.主力のレガシーを、米市場で売れるクルマとしてに経営資源を集中化させた。
⇒差別化・差異化可能な新車の投入で成長のための柱を確立できた。
3.トヨタとの連携の効果が出た。
⇒軽自動車の開発・生産からの撤退は、トヨタ子会社のダイハツ工業からの軽のOEM調達でカバー。
⇒トヨタとの「トヨタ86/スバルBRZ」の共同開発と、トヨタへのBRZの兄弟車「86(ハチロク)」OEM供給。

トヨタとの連携で、固定費を下げつつ、主力車のスバルBRZを共同開発したことで投資コストの圧縮も可能になりました。

その結果、米販売が軌道に乗ったことで、11年3月期の連結営業利益は841億円と、00年3月期に記録した最高益(914億円)に迫り、12年3月期の連結営業損益も、円高で11年比は減少したが、439億円の黒字を確保した。

富士重の国内生産比率は、7割とのこと。大手自動車企業の12年度の単独決算が、円高により赤字であることをみると、富士重の円高対応力が際立っています、
 
吉永社長によれば、円高に負けない経営とは「付加価値の高い製品」「値引きしないマーケティング」「工場操業度を高めること」の3つとのこと。

けれんみのない徹底した事業の選択と集中の結果です。固定費はトヨタとの連携で徹底的に削減したようです。

レガシィやインプレッサなどの少ない車種に経営資源を集中させて、「自分たちの強みを問い続け、『安心と楽しさ』という考え方にたどり着いた」とのこと。これにより成長の柱を確立できました。

車の市場は縮小しても決して無くなりません。差別化・差異化できる車を持ったことが富士重の好調さの一因です。

富士重は、レガシィやインプレッサなどを好む一部の顧客層に支持されるための車作りを徹底的に行いました。

私が支援している中小企業にも、自社の強みを徹底的に棚卸や再確認を行ってもらい、事業の柱を作るきっかけ作りを積極的に行っています。

想定する姿は、現在の富士重になります。ニッチな市場で徹底的に差別化・差異化可能な商品・サービスを提供して、フロントランナーとなってオンリーワンの事業基盤を作ることが、事業継続・拡大に必要不可欠なことです。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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