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日経記事;"オリンパス,ソニーと資本提携へ 500億円受け入れ"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月22日付の日経新聞に、『オリンパス、ソニーと資本提携へ 500億円受け入れで最終調整』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『オリンパスはソニーから約500億円の出資を受け入れる方針を固め、最終調整に入る。7月中の合意を目指し、損失隠しで悪化した自己資本の早期回復を目指す。

ソニーは発行済み株式の1割強を保有する筆頭株主となる見通し。オリンパスが強みとする内視鏡を中心とした医療機器分野などでの事業協力を進める。

オリンパスは過去の証券投資の損失を決算に反映した結果、財務の健全性を示す自己資本比率が大幅に低下した。2012年3月末の同比率は4.6%。8日に発表した中期経営計画では17年3月期までに30%以上に高めるとしており、ソニーとの提携を通じて財務体質を早期に改善する。

オリンパスは内視鏡分野で約7割の世界シェアを持つ。ソニーは電子の目である画像センサーで高い技術力がある。両社の技術を持ち寄り、内視鏡分野での優位を確実にする。

オリンパスでデジタルカメラを手掛ける映像事業は前期までに2期連続の営業赤字に陥った。高価格帯の機種に絞り込んで今期の黒字化を目指しているが、価格競争は激化している。同分野で高いシェアを持つソニーと組むことで生産コストを削減し、採算性を改善する。

ソニーは主力のテレビ事業の長期不振を受けて12年3月期まで4期連続の連結最終赤字を計上した。医療分野への進出を成長戦略の柱の1つに位置付け、3~5年後をメドに1千億円の売上を目指している。オリンパスとの提携を通じて、課題となっている医療分野での販路を強化する。

オリンパスへの出資はソニーのほかパナソニック、富士フイルムホールディングス、テルモの4社が名乗りを上げた。このうちパナソニックはオリンパスとデジカメ事業で協業。提携先として有力視されていた。

しかしパナソニックは21日までに出資を見送る方針を固めた。経営の主軸を環境・エネルギー事業へシフトするなか、医療分野への出資は効果が得にくいと判断した。

オリンパスとソニーは今後、事業面で相乗効果を出すための具体策を詰めるが、条件面で折り合わないことも考えられる。オリンパスの笹宏行社長は「自己資本比率4%台は極めて危険な状態」としており、ソニーとの交渉が不調に終わった場合、新たな提携先を探す必要がある。このため資本提携関係にある医療機器大手テルモとの交渉の余地は残す方針だ。』

オリンパスの提携先探しについては、本ブログ・コラムでも何回か取り上げてきました。オリンパスの最終決定までもう少し時間がかかるとみていましたが、予想より1カ月ほど早く候補先を選定しました。最終候補はソニーとのこと。

ソニーは、テレビ事業の長期間にわたる赤字問題を解決できません。テレビをソニーを支える収益源にするのは、ほとんど不可能です。

ソニーの平井社長は、2012年4月12日に行った経営方針説明会にて新規事業について以下のように説明しました。

「新規事業創出については、メディカルと4K関連の2つの事業について説明。メディカルは、すでに参入済みの医療用プリンタやモニター、カメラなどで2014年度売上高500億円を目指す。

加えて、デジタルイメージングの各要素技術を生かして、内視鏡などの医療機器向けビジネスや半導体レーザー、イメージセンサー、微細加工などを活かしたライフサイエンスに参入予定。M&Aも積極的に行ない、「将来のソニーの事業の柱の一つにする」という。将来的に1,000億円の売上を目指す。」

オリンパスへの出資は、医療分野での事業基盤強化のために必要な投資となるわけです。1,000億円の売上は、現在のソニーにとって決して大きなものではありませんが、医療を業務用途とみますと、きちんしたやり方を取れば売上高が大きくなくても、一定水準の収益を確保できます。

また、医療市場は新興国や新・新興国の経済力強化に伴い、今後大きな成長が見込めます。この成長分野で事業基盤を強化するやり方は合理的です。

例えば、内視鏡機器でオリンパスと提携して行うのであれば、世界ナンバーワンになる施策の構築と実行が必要です。

ソニーとオリンパスの両者がナンバーワンになって初めて「Win/Win」の世界を作れます。他社を圧倒的にぶっちぎる技術と製品の創出が成功のカギになります。

一方、オリンパスの視点からみますと、資本増強を除けば、ソニーとの提携で、デジタルカメラを手掛ける映像事業の再生です。この市場で激しい競争をしているキャノンなどとの競合メーカーに対して圧倒的な競争力を持つことが再生可能の必要条件となります。

デジタルカメラやビデオカメラの市場は、スマートフォンの売上が急拡大しているため、今後大幅な拡大は難しいとみます。しかし、市場自体がなくなるわけではありませんので、この市場ではナンバーワンのシェアを取って確実に利益が見込める事業とする必要があります。

このように、ソニーとオリンパスは、両者とも赤字状態の事業を持っており、新規事業や成長事業の構築が急務となっていますので、双方の経営資源を最大有効活用して、2社連合が医療機器やデジタルカメラなどの分野でナンバーワンになることが必要です。

2社が、今回の提携をどこまで実事業で提携効果を短期間に最大化できるかどうかが重要です。切れ味のするどいアライアンス・提携を期待し、注目していきます。

ところで、同日付の別の日経記事によると、オリンパスの有力候補先の一つであったパナソニックは、経営の主軸に据える環境・エネルギー事業の強化を優先し、出資を見送る方針を固めたとのこと。

これは合理的な考えであると共に、パナソニックは初めからオリンパスとの提携に名乗りを上げる必要はありませんでした。

パナソニックは、最優先課題として蓄電池などを活用した環境・エネルギー事業の強化であるからです。

「二兎追うものは一兎をも得ず」です。パナソニックは徹底した集中化と専門化が大事です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

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