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村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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日経記事;"日産、国内生産能力15%減 神奈川の1ライン停止"に考察

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皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月21日付の日経新聞に、『日産、国内生産能力15%減 神奈川の1ライン停止』タイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日産自動車は7月から主力生産拠点、追浜工場(神奈川県横須賀市)の生産ライン2本のうち1本を停止し、国内の車両生産能力を15%(年間約20万台)削減する。同工場で生産している小型車の一部はタイで組み立て、輸入する。

自動車業界ではトヨタ自動車も国内生産能力を2014年にも10%強削減する方針。円高や内需の低迷を背景に、基幹産業の自動車で国内生産体制を見直す動きが広がってきた。

日産が主力拠点の生産ラインを停止するのは、仏ルノーの傘下に入り、村山工場(東京都武蔵村山市)を閉鎖して以来、11年ぶり。

日産グループの国内生産能力は、現在の年135万台から115万台程度に減る。余剰能力を削り、残るラインの稼働率を高め生産を効率化する。

12年度は残業や休日出勤などにより、能力を上回る122万台(前年度比2%増)の国内生産を計画している。カルロス・ゴーン社長が約束している国内生産100万台は今後も維持する。

追浜工場には生産ラインが2本あり、年産能力は43万台。電気自動車「リーフ」を含め小型車7車種を生産している。

このうち「ノート」は全面改良を機に、7月から日産自動車九州(福岡県苅田町)に生産を移す。「ティーダ」は国内生産を終了する。「ティーダラティオ」はタイ工場でつくる小型セダンと統合し、日本に輸入する。今夏から年間1万台程度を輸入する方針。

日産が主力車を輸入するのは「マーチ」に続き2車種目となる。次期「ブルーバードシルフィ」もタイから主要部品を輸入し、追浜で最終組み立てだけをする「ノックダウン生産方式」を採用する見通しだ。

日産の11年度の世界販売台数は484万台だった。16年度までに760万台以上にする目標を掲げる。主に中国やブラジル、ロシアなど新興国で生産を拡大する。

追浜で休止する設備は試作ラインに転用し、マザー工場として新興国で新型車を素早く生産するための支援をする。リーフのようなエコカーの生産や、輸入車の整備拠点としての機能も強めていく。国内需要が拡大する際は生産ラインとして再開する可能性がある。今回の生産能力削減では人員を減らさない。

車両工場の役割分担も明確にする。中大型車が主体の日産自動車九州には新たに小型車を移し、量産拠点としてコスト競争力を高める。栃木工場(栃木県上三川町)は高級車ブランド「インフィニティ」の主力工場として品質を重視する。

自動車業界ではトヨタが14年にも国内の生産能力を1割強(年間50万台)減らし、310万台体制にする。需要変動に応じて生産台数を調整しやすくする。国内にもの作りの基盤を残し、雇用を守るためのぎりぎりの取り組みが広がってきた。』

トヨタは2014年に国内の生産能力を現在より1割強(50万台)少ない310万台に減らし、余剰能力の削減と同時に需要変動に応じて柔軟に生産量を調整できる体制を築き、円高が続く環境でも国内300万台の生産規模を維持すると、6月20に発表しました。

日産も同じような減産・生産調整を行うとみていました。日産は上記記事にありますように、同様な国内生産の減産と調整を行うと発表しました。

国内の自動車は、現在エコカー補助金の効果もあって、軽やハイブリッド車などの低燃費自動車が売れています。しかし、エコカー補助金の原資は、遠くない将来に無くなる見込みです。

各自動車会社は、その後の国内市場では販売数量が大幅に低下するとみています。それは、今までの経験則に基づいています。

国内全体をみても、少子高齢化、人口減少、若者の車離れなど、自動車業界にとっては決して前向きな市場環境ではありません。

異常な円高で各自動車会社の輸出収益は圧迫され、低下しているのは明らかです。自動車産業は、現状の円高が続けば輸出収益はますます低下して行きます。

従って、日産やトヨタが、国内工場の生産台数を減らし、輸出車も減らして海外工場での生産台数を増やすのは、極めて合理的です。

その動きは止められませんし、止める必要もありません。

同日付の記事によると、トヨタ、日産、ホンダの2012年3月期の単独営業損益は合計6344億円の赤字とのこと。単独決算は、各自動車会社の国内での経営状況を反映しており、円高が赤字を生み出す状況を端的に示しています。

私もメーカー勤務の経験がありますので、単独決算で大幅赤字の状態を長く続けることは経営にとって決して良いことでないことは知っています。

常識的には、赤字事業を続けると企業の体の中に毒がまん延することになりますので、事業の大幅縮小や撤退などのやり方を取る必要があります。

しかし、日産とトヨタは国内事業の大幅縮小は、現時点では考えていないようです。

20日のトヨタ、及び21日の日産に関する記事では、両社とも国内生産拠点は、世界事業中で日本の工場は世界の工場を生産技術面で支えるマザー工場としての役割が高まる、とのこと。

両社とも、新興国市場での事業展開が売り上げ拡大のポイントになっています。新興国市場では、現地の要求に合った仕様、機能、性能、価格のものを出さないと、売れません。

少量生産でも収益が取れる生産のやり方が必要になります。その最新の生産方式を研究・実現する場を国内工場存続の必要性に考えています。

また、両社の発表内容をみますと、国内工場は最先端の技術を必要とする環境対応車の研究開発拠点としての役割も担う形になります。この点からも、国内工場はマザー工場として必要になります。

単独決算の赤字状態を脱却するには、国内工場の生産数量は、国内需要分だけにする必要があります。そのために輸出分の生産数量を減らしたりするのは合理的であり、重要なことです。

両社は、国内雇用を守ると表明していますので、どこまで減産や生産車種の調整で対応できるかがポイントになります。今後の対応に期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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